変化に強い組織づくり (コラム2017/12/07)

変化に強い組織づくり

「変化に対する柔軟性」は、現在のマネジメントのキーワードです。 「女性活躍推進」「ダイバーシティ&インクルージョン(多様性に起因する様々な排斥や区別を取り払い、誰もが対等な関係で関わり合い、社会や組織に参加する機会を提供することを目指す」 )」「変化を素早くキャッチアップする製品・サービス開発体制」「優秀な人財の確保と定着」など、変化への対応力を試される経営課題が山積しています。

組織も個人も「変化に対する柔軟性」を備えることの重要性を認識しているにも関わらず、なかなか変わらないのは、 なぜでしょうか? そして、どのようにすれば、変化に強い組織、個人になれるのでしょうか?

◆変化への柔軟性に影響を与えるメンタルモデル

価値観や経験、文化、慣習に基づいた独自の思考のことを【メンタルモデル】と言い、私たちの思考や判断は、すべて自身のメンタルモデルを基盤にしています。 変化に対する柔軟性が高い人は、「変化は必ず起こるもの」「変化を受け容れ、 対応することでチャンスが生まれる」というメンタルモデルを持っています。 そして、このようなメンタルモデルの人たちが、イノベーターとなります。

一方、変化を嫌い、従来の経験から得たものから 脱却することが難しい人たちがいます。 彼らは、過去の成功体験(あるいは、失敗体験) からの学びを【考え方、判断、行動パターン】として 意識・無意識的に刷り込んでいますので、変化を認め、対応することが容易ではなく、場合によっては 抵抗勢力になります。

問題は、メンタルモデルやその人のパターンが、他者からは 見えないということです。 さらに、自分自身ですら意識していない場合もあります。 メンタルモデルを変えることが難しいのは、そのためです。

◆変化を嫌い、挑戦を避けるメンタルモデルがどのように形成されるのか?

サーカスの象が逃げ出さないための訓練方法をご存知でしょうか?子象を太い杭に鎖でつなぎ自由な動きを制限することにより、象は、鎖の半径内でしか行動できない、鎖を切って自由に行動しようと挑戦するのは無駄な努力である、というメンタルモデルを形成します。すると、象が成長して力が強くなり杭を抜ける状態になっても、杭を抜いて逃走することを試みさえしなくなり、自由な行動を諦めてしまいます。

このように、ストレスの回避が困難な環境に長期にわたって置かれた人や動物は、その状況から逃れようとする努力すら行わなくなるのです。このことを、心理学者・マーティン・セリグマンは「学習性無力感」と名づけました。子どもの頃から既成概念に合わないような経験をしたことがない、あるいは、そのような機会がなかったり、機会はあっても挑戦することを許されてこなかったりした人たちは、事例のないことに挑戦することへのリスクを過大評価する傾向が生まれます。

 

◆挑戦を避ける人の免罪符

変化に対応して挑戦することを避けたい人は、以下のような免罪符を持っています。


今まで会社に貢献してきたのだから、現状を評価されるべき
②少しくらい報酬が減ってもリスクを負いたくない
③自分ひとりくらい変わらなくても大勢には影響がない
④自分のやり方を変えることに違和感を感じる。
⑤求められていることは理解できるが、やり方がわからない。

 

変化に強い組織づくりの第一歩

人の言動はメンタルモデルに基づいており、メンタルモデルは、長い時間をかけて形成されたものであること、そして、挑戦を避ける人は、自分なりに正当性のある免罪符を持っていることをご理解いただけたでしょうか?このような理解の基に、変化に強い組織づくりの第一歩を提言いたします。
全員を変えようとするのではなく、上記免疫モデルの③~⑤の人をターゲットに、以下の機会を設定します。

その場合、彼らが懸念するリスクを最小限にとどめて挑戦できるよう、変革に理解のある上司をプロジェクトのスーパーバイザーとして任命し、頻繁にフィードバックができるチームを作ります。
1.会社が置かれている現状と近い将来の社会・業界・顧客の変化について話し合い、危機感を醸成する
2.自身のメンタルモデルを認識し、メンタルモデルが言動に与える影響を理解する
3.変革リーダーとして周囲に影響を与えることにより何が変わるのか、具体的なイメージを持つ
4.変化をチャンスに変えるための問題解決・意思決定スキルを身につける
5.小さなチャレンジプロジェクトを始動
上記「問題解決・意思決定スキル」を活用し、チームとして小さなチャレンジ(改善・改革)を実行する機会を提供する

 

引き算力

将棋界で長年第一線に立つ、
羽生善治棋聖が、史上初の
「永世7冠」を達成しました!
47歳という決して若くはない年齢、
体力の衰えも実感しつつ、不退転の決意で
臨んだ勝負だったと。

20代は「読む力」、30代は「直観力」、
そして40代は?という記者の問いかけに、
「無駄なことを省いて、引き算で考えることが大事」
という”引き算力”という言葉を
挙げていらしたことが、印象的でした。

「引き算=減らすこと」だと思いがちですが、
減らす、という意味だけではなく、
「新たな価値を生み出す引き算」もあるのですね。

禅、茶道、俳句に和食。
どれもシンプルにすることで、
その価値を高め、私たちの心に
訴えかけてくれます。

引き算こそが、実は私たち日本人の
伝統の中に息づいているものであり、
強みなのかもしれません。

周りを巻き込む

東京の朝は快晴、
今日は少し暖かい1日になりそうですね。

さて、今日は半年間の改善活動発表会。
事前に送られてきた資料を拝見しながら、
皆さんの活動に想いを馳せています。

周りを巻き込みながら、楽しく、
効率的に仕事に取り組める方法を実現。
成果も着々と上がっている様子です。

改善リーダーには、メンバーと一緒にゴールの絵を描き、
そこに至るシナリオを紡ぎだす力が必要です。
ゴールに到達するのに何より大事なことは、
実現のために必要な能力、資源、情報を持っている人々を
巻き込んでいく「巻き込み力」が大切になってきます。

”役職や権限がない・・・”
だったらあきらめるのではなく、
役職や権限のある人を巻き込んでいく。

”周りが聞く耳をもたない・・・”
であれば、相手がなぜ聞く耳をもたないのか、
相手を理解することから始めてみることです。
無理やり相手に押し付けても、
主体的にやってみよう、という気持ちは生まれません。
時間はかかっても、相手と対話することを大事にする。

”経験やスキルがない・・・”。
ならば、今置かれている状況こそ、
経験を積んだりスキルを磨くチャンスです。

リーダーシップとは、自分が自ら動く、ことから始まります。
人を巻き込むためには、まずは自分が
逃げることなくあきらめることなく、
自らも動き続けることで、
周りの人々を巻き込み動かす力に他なりません。

自分の中に小さなリーダーシップの芽はあります。
一歩づつ歩むこと、小さなことを積み重ねること、
自分が動くことでほかの人々を動かすリーダーシップは、
今、どんな立場からでも踏み出していける。
そんなことを実感する朝です!

振り返りと集中

予防学者、石川善樹氏と、
宗教学者、釈徹宗氏との対談記事を読了。

最初に論じているのは、
現代人の集中時間はどんどん短くなっていて、
連続して集中できる時間は、ほぼ8秒!
金魚の集中は9秒続くのに、
それ以下だといいます・・。

ついついスマホに手がのびて、
ネットにアクセスし、はまり込んだり、
絶えずSNSをチェックしたり。
そこからまた刺激が入るので、ますます
集中できない。

また、昔の農作業は日が沈むと
やめざるを得なかったが、
頭脳労働は家でもできるので、
脳内では、いつまでも仕事が終わらない。
だらだらやると、脳のリカバリーも効かず、
どんどん疲弊してしまう。
そこで大事なのが、「振り返る」時間。
脳は1日を振り返り、明日はこうしよう、
というところまで整理できて、
初めて今日の仕事が終わったと認識します。
明日、やるべきことを整理しておけば、
翌日も集中できるのだと。

また、ハーバードビジネススクールの先生は、
「1日の仕事を終えたら、必ずその場で振り返り、
最も印象的だったことを1行でも書くこと」を
推奨しているといいます。
これが5日たまると何らかの気づきがある。
何の感情も生まれない、が続いたら、
惰性になっているかもしれないので、
何かを変えた方がよい。

人間は感情の生き物なのに、
そこを無視し、「やるべきこと」ばかりを
やっていると、心がどんどんつらくなり、
依存や逃避が起きることも。
さらには、気を紛らわしているだけでは、
心身に破綻をきたすこともあるかもしれません。

1日の振り返り習慣。
大事ですね!

”おかげさま”と”ありがたい”

おかげさまで、今年もあと1か月。
無事に12月を迎えることができました。
ありがたいことです。

「おかげさま」。
陰で支えてくれている
人、モノ、に気づくこと。

「ありがたい」。
有り難きこと。
そうそう簡単にはないこと。
「有る」ことに感謝。

うまくいっているとき、
それは、自分の頑張りの賜物。
自分がもたらした結果。
ついつい驕ってしまいがちですが、
そんなときこそこの言葉を
思い出したいです。

当たり前のように使っている
言葉の意味は、実はとても深いのですね。

働き方改革〜「オフィスも働き方改革(6)」(コラム2017/11/30)

“環境音と仕事の生産性の関係”

環境音は仕事の生産性と密接に関わっていることがいくつかの研究成果で把握できます。

ドイツ連邦環境機関のシニアリサーチオフィサーでもあるWolfgang Babisch博士によると、科学者はノイズを「不必要な音」として定義しており、耳障りなだけでなく、心理面と脳にも負担を与えるものしています。

Babisch氏によると、ノイズそのものの性質もありますが、変動するノイズは一定で動くノイズレベルよりも人を苛立たせ、内容がない人の会話はさらに広帯域のノイズよりも気が散り易いと言います。

「認知的に、その中でも最も気が散る音は人の会話だと多くの研究調査が示しています。人間は人の会話に対して約1.6の周波数帯域を持っていて、もし、誰かの会話が聞こえてきたら、聞こうという意志が働かなくても、1.6の周波数の内の1.0を使ってしまうことになります。これには耳にフタをするわけにはいかないのです。つまり、残りの0.6だけで自分の内なる声を聞くことになるのです。」

今日、オフィスで遂行されている仕事から起こるノイズレベルも問題です。あるオープンレイアウトのオフィスでは、そのノイズ音は60から65デシベルといわれています。そのレベルは混雑している高速近くの85デシベルと比べると低く、冷蔵庫の音の40デシベルと比べると高くなります。しかし、知覚レベルでは仕事に集中できないことは確かです。ドイツではドイツエンジニア協会が仕事タイプによるノイズ基準を設けています。オフィスでの単純なプロセスワークには70デシベル、知的作業には55デシベルという基準を設定しています。ナレッジワークというのは複雑で創造的思考、意思決定、問題解決、綿密なコミュニケーションなどを伴う作業と定義しています。特にこのナレッジワークで、社員の成果が向上すれば、企業が前進することは間違いありません。

ナレッジワークのために推奨されるノイズレベルは1人での作業に加え、討論やミーティングにも関係してきます。実際、上記の協会は医者が手術を行うノイズはオフィスワーカーが1人でまたは他者と一緒にナレッジワークをするのと同じレベルの基準を設定しています。

■「最も気が散る音は人の会話だと多くの研究調査が示唆しています。」

オープンレイアウトのオフィスでの通常のノイズレベルは60から65デシベルで、集中するには騒がしく、話す声が邪魔するため、効果的なコラボレーションをも妨げる可能性があります。もし、約1メーター離れて1対1の会話をする際に人が普通に話す音声のノイズレベルは約60デシベルです。つまり、同範囲でのノイズレベル、例えば、まわりで人が話していると、音声が邪魔され、すべての言葉を聞き取ることが不可能になります。「それにも関わらず、話していることが理解できるのは人間に備わった大脳皮質の機能によるものです。しかし、それは活発なプロセスでもあるため、長時間にわたり慢性的にノイズにさらされることでこの効果は期待できないばかりか、その機能にまで悪影響を及ぼすことになります。」と彼は言います。

言い換えれば、つまり、音響対策が悪い環境ではワーカーは他者の話を聞かないように努力するのと同じぐらい、他者の話を聞こうとすることで容易にストレスにさらされてしまうということです。つまり、すべての面でマイナスに働くということになります。

参照:
https://www.steelcase.com/asia-ja/research/articles/topics/collaboration-privacy/much-noise/

これらのことは誰もが経験しています。カフェやレストランなどで、やたら声の大きい人がいると、忽ち快適性は失われストレスに転化します。オフィスも同様です。環境音対策は働き方改革にとって必要不可欠のものです。環境音は空調や照明などと同様、重要な環境であり生産性の要因です。

また静寂であれば集中できるかというと決してそうでないことです。アメリカで環境音に関する研究調査結果が出されています。

50デシベル程度の静かな環境(例えば図書館など)で作業をするよりも、70デシベルのノイズがある環境(カフェなど)の方がクリエイティブになるというのです。

ただし85デシベルの高レベルのノイズになるとクリエイティブは発揮できなくなります。適度なノイズは作業の生産性を上げるのに重要なファクターなのです。

■音環境ソリューション
それではどのように環境音を設定すればよいのでしょうか。
Treasure氏はこの状況を解決する方法は様々な「場」を与えることだと言います。作業内容やスペースを使用するユーザーにあわせて音響を考慮することです。ワーク環境はただ単に外観だけではなく、人間のあらゆる感覚、特に聴覚に配慮することが重要です。「音に注目することはスペースを設計する上での新たなツールになります。意図的に計画された音響はスペース全体をより生産的な場へと変化させます。」とTreasure氏は述べています。

環境音のソリューション企業に相談することをおすすめします。例えば、コクヨは「サウンドマスキングシステム」を提案しています。

オフィスにおいて、間仕切りを通して隣室の会話が洩れてきたり、また大きなオープンオフィスで遠くの人の会話が非常に小さなレベルだが聞き取れてしまうというような、オフィスのセキュリティや生産性が阻害される場面がしばしば見受けられます。
サウンドマスキングシステムは、空調音のような背景音をわざと部屋に流すことにより、隣室からの音漏れや遠くからの小さな音を聞こえなく(マスク)することで、オフィスのセキュリティや生産性を保とうとするものです。

参照:http://www.kokuyo-eng.co.jp/products/sound_masking.html

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