新入社員・若手社員の成長スピードを高めるアクティブラーニング

新入社員・若手社員の成長スピードを高めるアクティブラーニング

4月からいよいよ、新年度ですね。新入社員を迎えて、新たな仕事を開始する方も多いのではないでしょうか。
VUCA時代を生き抜くためには、これから入社する新入社員、若手社員の成長が鍵を握っていると言っても過言ではありません。
そこで今日は「質とスピード」の両面にこだわって人材を育成していくための秘訣についてお伝えします。

~目次~

アクティブラーニングの学習効果

スタンフォード大学が取り組む”教育革命”

講義前に「事前テスト」や「グループ演習」を入れる<アウトプット→インプット学習法>

まとめ

1. アクティブラーニングの学習効果

人材育成というと、担当者はまず「どのようにしたら成長を促進できるか?」という問いを立て、

  • OJTシートを活用してOJTを可視化・標準化する
  • フィードバック文化を浸透させる
  • one-on-oneミーティングを実施する

といった方法論を一番に考えてしまうことが多いものです。
いずれも重要なことではありますが、今の時代はスピードも重要です。
つまり、早期に成長を促進させるためには”学習の質”を変えることも重要です。
丁寧にやり方を指導してもらって取り組むタスクと自分で意味を考え、やり方を工夫して取り組むタスクでは、どちらが成長を促進するでしょう?答えは明らかです。
そこで大切になるのが、アクティブラーニングを取り入れることです。

アクティブラーニングは、内発動機を高め、自律的に学習する力を養うもので、今では小学校から導入されている学習法です。
ラーニングピラミッドはアメリカ国立訓練研究所(National Training Laboratories)によって明らかにされた理論で、7項目の活動における学習定着率を表しています。従来の受動的な学びであるパッシブラーニング:「講義」「読書」「視聴覚」が上段に位置しているのに対し、能動的な学習であるアクティブラーニング:「グループ討論」「自ら体験する」「他の人に教える」という3つの項目では高い学習効果が得られています。

学習定着率で最も高いのが「他の人に教える」ことで90%、最も低いのが「講義」で5%です。

教育においては受動的に講義を受けるだけでは学習定着率が低いことがわかります。それと比較して、グループワークやクラスディスカッションなど、能動的に講義に参加することにより、効果的な学習を得ることができるのです。

2.スタンフォード大学が取り組む“教育革命”

■「ハーバードやMITは古い–スタンフォードこそ本当の“教育の革命”に取り組んでいる」

2012年5月10日 by Gregory Stanfordの教授たちが、メディカルスクールでは講義を廃止する、という大胆な提案を行っています。
メディカルスクール副学部長のCharles Proberと、経営学の教授Chip Heathが、The New England Journal of Medicineにこう書いておられます。

“20世紀の大半において講義は、効率的な知識移転の方法であった。しかし、知識を完全にビデオで配布できる今世紀においては…テクノロジー、エンタテイメント、デザインなどすべての領域で、YouTubeが数十億のビューをサーブしTEDが数百万人にトークを届けていることに見られるように…講義はむしろ、貴重な時間の浪費ではないのか?”

そして二人が提案しているのは、

“学習の立体化(多面化)だ。学生は教室で教授の話を聞くだけでなく、YouTube上のKhan Academyのレクチャーを家で見たり、問題を解いたりする。学生たちは、そのアイデアが気に入ったようだ。生物化学のコースで授業内容の立体化を試したところ、出席率が30%から80%に急増した。読者の中には、Khan Academyは世界的な頭脳と比較にならない、と思う方もおられよう。しかしProberとHeathは、ノーベル賞を受賞した物理学者のクラスと、院生たちの協力を得ながら問題を解くクラスの、1週間の実践結果を報告している。それによると、最後のテストの平均得点は、後者(講義のないクラス)74に対し、前者(ノーベル賞クラス)は41で、倍近い違いがあった。 “後者のクラスの学生たちは、ちょうどライト兄弟がキティ・ホーク号をいじくりながら学んだように物理を学んだのだ”、とProberらは説明している。革命後の組織や機関は、それまでとは似ても似つかぬものになるはずだ。でもHarvardとMITがやろうとしているのは、単に20世紀の教育をオンライン化することだ。一方スタンフォードは、“壇上の賢人”という教育の古いモデルに決別しようとしている。そして学習環境に永遠の生命(いのち)を通わせ、それを世界の情報に結びつけようとしている。”

この記事からわかるように従来の講義型授業では教育の進展はなく、アクティブラーニング型授業こそが教育を改革し、課題発見・解決能力、論理的思考力、コミュニケーション能力や多様な観点から観察する能力を育成するのです。

つまり企業の教育研修においても、アクティブラーニングを導入し、研修効果を高めることが求められているのです。
現代のめまぐるしく変化するビジネス環境で生き残るためには、定型作業をこなすだけではダメで、課題を発見し解決できる力が必要です。
指示待ちの人材では組織の活力が衰退し業績が低下します。

だからこそ、アクティブラーニングによって、コミュニケーションをより活発にし、積極的に他者と協力しあい、課題を解決するといった、”自ら考え、自律的に動く人材”を育てなければなりません。
アクティブラーニングの思想は人材育成そのものです。
実際に「講義」「グループ討論」「他の人に教える」の3つの項目で具体的に研修手法を考えてみましょう!

3.「講義」前に「事前テスト」「グループ討論」を入れる<アウトプット→インプット学習法>

通常の研修では、講義の後にグループワークやグループディスカッションの時間を設けています。
それを逆にすることで受け身の姿勢から能動的姿勢に変化します。なぜなら、はじめに内容がわかると「なぜなのか」深く考えようとする人が激減するからです。
そしてグループディスカッションの前に事前テストを取り入れます。
米国ベストセラー『脳が認める勉強法』によると、

”答えを推測したおかげで、勉強して覚えるときよりも覚えたいという意識が強く働き、正しい答えがより深く脳に刻み込まれる。「間違った推測」をすることで、次のテストでその問題もしくはそれに関係する問題に正解する確率が増す。また、予行演習としてテストを受けることには、教師の手の内を垣間見ることができるというメリットもある。「たとえ答えを間違っても、その後の学習効果は向上すると考えられる」”

とロバート・ビョークは言い添える。

“「そのテストによって、理解する必要のあることに意識が向くようになるからだ」 “

大学入学試験や資格試験での合格体験記での成果が上がる共通点は過去問を解くことです。
つまり参考書から問題集へ移るのでなく、いきなり問題集を解くことで「間違った推測」を数多く行い、「問題に正解する確率」が高まるのです。
これは経験した人であれば誰もが納得します。この勉強法を研修に活かします。
研修で概論や内容を説明する前に、講義の内容のテストをいくつか出します。それを個人で考え、答えを書きます。その後、ペアやグループでディスカッションし、他人の答えに至るまでのさまざまな思考の違いを学ぶことができます。
また「間違った推測」から講義の説明を聞く際、答え合わせや間違えた箇所の確認という側面が加わるため、受け身の姿勢から積極的に説明を聞く姿勢へと変化します。
さらに「事前テスト」→「ディスカッション」→「講義」で終了せずに、その後、応用として「ペア、またはグループディスカッション」「他の人に教える」ことを加えると、学習定着率は90%まで高まる可能性があります。
アクティブラーニングには組み合わせの工夫が必要です。
聞くだけの講義もこの流れに沿うだけで、より一層の学習効果を期待できるのです。

4.まとめ

アクティブラーニングによる学習を経験することで、自ら考え、周りに影響を与えることを体感することができます。
私たちの学びには座学と経験学習がありますが、アクティブラーニングは、両者のメリットを取り入れ、学習テーマに対する興味関心を深め、学習意欲を刺激する学習法として注目されています。
アクティブラーニングなどの能動的学習法をベースにした学びのデザインを行うことにより、研修効果を高め、若手社員、新入社員の成長を促進することに寄与します。

BPSが提供するアクティブラーニング研修はこちらからご確認いただけます。

働き方改革〜残業時間削減に向けて(2)

残業時間削減のためにノー残業デイを設定したものの、他の日に業務のしわ寄せがきて、結局残業が減らないというループに陥っていませんか?

残業時間を減らすためには、業務効率化に踏み込むことが一番の早道です。

BPSは、業務効率化、事務改善のための教育や仕組みづくりを強みとしており、多くのノウハウを持っています。

今回は、その中から、業務効率化の第一歩である「今やっている仕事をやめる」考え方をお伝えいたします。

~目次~

残業削減の最優先事項は「その仕事をやめる」こと

「やめていい仕事」10項目

「やめる」「なくす」のノウハウ

1.残業削減の最優先事項は「その仕事をやめる」こと

残業削減策において、「減らす」ことより「やめる」「なくす」発想の方が段違いに効果的です。

不要な仕事をやめてしまえば、より顧客満足に対する業務に集中でき収益アップにもつながります。

働き方改革において、就業時間内に必要業務を完遂させ、各自のワークライフバランスを実現させることが目的なのです。

誰もが知っている「パレートの法則」を仕事に適用すると、重要な仕事である2割の項目をやってしまえば、仕事の8割は達成したことになります。

逆に考えると、さほど重要ではない仕事の8割の項目では仕事の2割しか達成できないのです。後者において、生産性が低い理由は要らない仕事を多く含んでいるからです。

この仕事の8割にメスを入れて、全社的にもやめる仕事を決めてはどうでしょうか。

仕事でもプライベートでも時間を作るポイントはやめることを決めて、バッサリと切り捨てることです。

どの企業もあまりにもやることだけを無我夢中にこなしています。やることが多いから残業はなくなることはありません。

しかしやらないことを決めて実行すれば残業はなくなる可能性大です。

カイゼンの手段は「やめる」「減らす」「変える」の3つの行動が主軸です。最も簡単に実行できて効果的であるのが、「やめる」ことなのです。

2.「やめていい仕事」10項目

一体、一般企業ではやめていい仕事がどれだけあるのか、10項目ほどリストアップしてみました。

社内のメール、電話をやめる

同じフロア内のメールは廃止すべきです。人間関係が希薄になり、仕事に支障を来すからです。

またチャットワーク導入によりメールや電話の回数や時間を省くことができます。


■メールとチャットワークの比較

参照:http://www.chatwork.com/ja/compare/

電話の取り次ぎをなくす
会社の携帯を持っている社員は取引先に「電話は携帯の方にかけてください」と伝えておけば、直接本人にかかります。固定電話でのやり取りは顧客向けに絞るべきです。

資料作成をやめる
データなどはコンピュータ処理において、自動転記させます。敢えて資料を作成しないことです。また会議資料はパワポできれいに仕上げる必要はなく、テンプレートで簡潔に作成します。加えてペーパーレスにしてPCで見るようにします。

報告のみの会議をやめる
報告のみの会議の場合や定例の会議での大した議題がない場合は廃止します。

会議の議事録を作成することをやめる
ホワイトボードの記録を写真撮影します。

集中力を阻害するものをやめる
出社して誰もがメール閲覧しますが、緊急な用事であれば相手から電話をかけてきます。

まずメール閲覧が必要な部署以外は、出社後2時間以内はメール閲覧禁止にすることです。

最も頭が冴える時間帯に重要な仕事を処理することに集中します。

また「がんばるタイム」の設定も有効です。

集中作業中に外部からの電話が回される、上司や同僚から声をかけられるなど、一つひとつは業務遂行に必要な事柄であっても、集中力の持続を阻害する「雑音」がオフィスには意外と多いものです。

こうした「雑音」を一定時間遮断し、お互いが邪魔せず、邪魔されずという境を作ることで効率的な業務遂行を実現しようとする取組みです。

回覧をやめる
すべての書類やレポートなど、回覧があると仕事が中断し、読まなくてもいいものが大半です。

情報は送りつけるのではなく、必要であれば取りにきてもらう発想に切り替えることです。Webや実際の掲示板に回覧資料を置けば済みます。

伝言メモを手書きして渡すことをやめる
伝言メモは手書きからメールにして、メモを渡したり渡す相手を探したりする手間をなくします。

「探す」ことをやめる
名刺はアプリ活用でPCに取り込み検索し、資料はGmailで送るとクラウドで永久に保存できることから検索が確実になります。

「待つ」ことをやめる
例えば稟議書が紙ベースだと承認まで時間がかかり、仕事に影響を及ぼします。

稟議を電子化すると、

1)書類の作成が簡易的になり、紙の使用もなくなるので、コストが削減できる

2)人の行き来がなくなり、どこで滞留しているのかサーバー上で把握できる

3)監査時の効率がアップする、などのメリットがあります。

以上のように、会社には不要な業務が蔓延っています。業務の棚卸しから、付加価値のない業務は「やめる」「なくす」で実践することです。

3.「やめる」「なくす」のノウハウ

また弊社の藤井より新刊「早く帰りたい!仕事術」では、

1. 悪い習慣をゼロにする

2. 段取りのムダをゼロにする

3. 環境のムダをゼロにする

4. コミュニケーションのムダをゼロにする

5. チームのムダをゼロにする

等で「やめる」「なくす」ノウハウが満載です。

こちらとあわせて「やめる」「なくす」を残業削減の最優先事項として取り組んでいくことをお勧めします。

書籍「早く帰りたい! 仕事術 3時間分のムダがなくなる30のコツ」藤井美保代

出版社:日本能率協会マネジメントセンター 価格:1,400円(税別)

発売日:平成29年1月28日

[Amazon.co.jpでのご購入はこちら]

AI時代の能力開発

「AI時代の能力開発」

「20年後、あなたが望もうが望むまいが現在の仕事のほとんどが機械に代行される」
(2014年、Google・CEO ラリー・ペイジ)

「自律的な能力開発」を求める企業が増えています。

能力開発課題を自分で決め、目標を設定して自分で取り組むことが期待されていますが、御社の社員は、どこまでその期待に応えられているでしょうか?

多くの業務がAIに置き換わろうとしている現状では、「今のままの仕事のやり方」を続けることが難しくなっています。

ここでは、AI時代に生きる私たちが、自分の存在価値を高めるための能力開発の考え方をご提案いたします。

~目次~

AIに代替されやすい仕事、されにくい仕事

有意味感は人間らしい重要な感覚

AI時代に存在価値を高める能力開発のポイント

1.AIに代替されやすい仕事、されにくい仕事

英オックスフォード大学でAI(人工知能)などの研究を行うマイケル・A・オズボーン准教授は、人間が行う仕事の約半分が機械に奪われる、と予測しています。

すでに私たちの生活の中でもAIが活用され始め、メルカリは、出品商品の分類をディープラーニング(タスクをコンピュータが学習する機械学習)を組み込んだAIが行うことにより省力化を実現しています。

このような時代にあって、私たち人間は、どのような能力開発を行うことにより存在価値を高めることができるのでしょう?

以下は、AIに代替されやすい仕事、されにくい仕事のマトリクスです。

出典:藤野 貴教氏(「2020年 人口知能時代 僕たちの幸せな働き方」著者)によるコラム

この中で、「構造的」というのは、定型的でマニュアル化しやすい業務のことです。

つまり、定型的かつ論理的、分析的、統計的な業務というのは、AIに代替されやすいということです。

2.有意味感は人間らしい重要な感覚

では、AIの強みと弱みは何でしょう?

AIは、タスクについての問いを持たず、データを全部学習してパターンを探り出すことが得意です。

「何のためにこのデータを学習するのか?」という問いを発し、意味づけをすることはありません。

私たち人間にとっては有意味感(行動の意味や価値を認識すること)がやりがいにつながりますが、AIには、そのような感情や意識がありません。

この感覚は、とても人間らしい重要なものです。

しかし、現場ではどうでしょう?

「そもそも、このプロセスって何のために必要なんでしょう?」という問いを発する社員がいた場合、その問いにきちんと向き合う風土があるでしょうか。

このような問いに取り組むことが、実は、働き方を変えて生産性を上げるヒントやイノベーションのきっかけになるのではないでしょうか。

3.AI時代に存在価値を高める能力開発のポイント

これからの社会人にとって、AIに代替されにくく自身の存在価値を高める能力開発のポイントは以下のとおりです。

1.「仮説思考」「人間理解」「創造」「協働」「価値創出」をテーマに特定分野の達人になる!
=組織が求めるコンピテンシープラスアルファの強みを伸ばす

どの分野の達人になりたいのか、どの分野で秀でたいのかを決め、訓練計画を立てる

※達人(プロフェッショナル)とは?
・特定分野において、素人を圧倒する知識・知見を有している
・圧倒的な知識、知見を持っているために、他の人なら見過ごしてしまう情報のつながりを感じ取り、地図(塊)として認識することができる(重要性を発見、認識、記憶できる)
(例) 脳外科医は、脳のMRI画像を見て異常を見つけることができる
優秀な経営者は、社員と対話するだけで経営課題を発見することができる

2.達人になるための目標を設定する 
①基礎スキルを鍛える目標(知識、技能)
②固有のスキルを身につける目標(強みを活かす)

3.鍛錬の方法を考える(知見獲得には時間がかかることを理解して取り組む)
①モデル(理想形)から学ぶ
・達人(尊敬する上司、先輩、同僚)の研究=どこが「すごい」のかを分析し、真似る
・鍛錬の方法を試行錯誤して効果的な練習方法を身につける
②ケーススタディ
・ある出来事について「仮説を立て」「自分ならどうするか」を考えシミュレーションを行う
・自社あるいは同業界の出来事をケースにして対処の仮説を立てる

捉え方を変えれば、AI時代には、AIに仕事を奪われるのではなく、AIを活用することにより、これまで以上に人間の強みを活かす仕事が可能になります。

変化はチャンス!と捉え、1人ひとりの能力開発の考え方も変えていきたいものです。

自律的な能力開発を求めているものの、社員の意欲が今一つ意欲が高まらないと感じていらっしゃる場合は、時代の変化を認識することで危機感を醸成し、今後の働き方、生き方を考える機会を設定することが効果的です。

BPSの研修を「自律的能力開発」の土壌づくりにご活用ください。

「部下に良い影響を与え、変容を促すコミュニケーションとは?」

部下に良い影響を与え、変容を促すコミュニケーションとは?

生産性が高く活性化した組織にするために、コミュニケーションが注目されています。

コミュニケーション能力は誰にとっても必要なスキルですが、人を動かして成果を出すことが求められるOJTリーダーやマネジメント層にとっては特に重要で、人の育成だけでなく活気ある職場づくりを左右します。

ここでは、相手にプラスの影響を与え、自分で考えて主体的に動く人財を育成するためのコミュニケーションの考え方をご紹介します。

~目次~

フォロワーに良い影響を与えるリーダーとは?

コミュニケーション時に生じる2つの作用

部下の行動変容を促すコミュニケーション

1.フォロワーに良い影響を与えるリーダーとは?

リーダーシップのポイントは、人間的魅力により相手に良い影響を与え、フォロワーの変容を促すことです。では、私たちは、どのような相手から良い影響を受けるのでしょうか?

進むべき道を示してくれる人、自分を認め、励ましてくれる人、あるべき姿を見せてくれる人・・・様々な要素があるのでしょうが、ここでは「ある状況下で自身が選択すべき最善の行動に気づかせてくれて、その行動を後押ししてくれる存在」と定義し、そのような存在であるためのコミュニケーション行動を考えます。

2.コミュニケーション時に生じる2つの作用

生物学の世界では、私たちの身体を構成している細胞が相互にコミュニケーションを行っていることがわかっています。

ある細胞が分泌細胞自体に作用することをオートクライン、比較的近くの細胞に作用することをパラクラインと呼びますが、このような細胞間コミュニケーションが起こる時、情報を発信している細胞自身がレセプターと呼ばれる【受容体】を出し、自分が発信している情報を受信していたことが発見されました。

実は、人間が物事を理解する際にも「オートクライン」と「パラクライン」と呼ばれる仕組みがあります。 自分が発した言葉を最初に聞くのは自分です。

頭の中に浮かんだことを言葉や表情、行動として表出しながら、その言動を通じて「こんなことを話しているのか」と確認することを「オートクライン」と呼び、相手に自分の言葉を伝えて作用を起こそうとすることを「パラクライン」と呼びます。

「話す」という行為は、自分の考えや思いを相手に伝えることを目的としているようですが、実は、自分自身の内なる考えや思いを自己確認する「オートクライン」の行為でもあるのです。

ところで、あなたは、自分が話している時「あれ、なんでこんなことを話してしまったのだろう?」と思うことや、話の途中で主旨が変わっていくことを体験したことがありませんか?

これは、自身の中に生まれたリセプター(受容体)が自分の考えを再確認することによって起こることです。

このように、私たちは、自分の内なる考えを外に出してコミュニケーションを行うことにより自分の考えを改めて認識し、アイディアをまとめたり、発展させたりすることができる生物なのです。

3.部下の行動変容を促すコミュニケーション

オートクラインは自分のアイディアを明確にするために大切な作用ですが、聴き手の態度によって効果が変わります。

聴き手がリセプターを持って聴いてくれること、さらに、話し手の思考を刺激する発問をしてくれることにより、話し手のオートクライン効果は向上します。

リーダーは、フォロワーの思考を深め、良質なオートクラインを引き起こすコミュニケーションを行うことにより、より良い影響力を発揮することができるのです。

一方、管理職と部下の間に溝が生じるのは、両者が相手に対するリセプターを作っていないことに起因しています。

例えば、こんな会話がないでしょうか?

部下「今回は、私の不注意でミスが起きてしまい申し訳ありませんでした」
上司「はぁ!?ミスはみんなに迷惑をかけるんだよね。しかも、不注意か。」

この会話の場合、部下はストレスを感じるだけで、本来必要な「ミスの防止策」に思考が及びません。

悪くすると、次回からミスを報告しなくなるかもしれません。

このように、聴き手にリセプターが作られていない会話は、解決志向にならないのです。

では、リセプターがある会話は、どうなるのでしょう。

部下「今回は、私の不注意でミスが起きてしまい申し訳ありませんでした」
上司「不注意だったのですか?」
部下「はい、そうです。。。」
上司「ミスは予防できたほうがいいよね?」
部下「はい、もちろんです」
上司「どうしたらミスが起こらなくなると思う?」

この会話では、上司のリセプターが部下の言葉を受け止め、そのことにより部下にもリセプターを作らせています。

昨今の若手社員は、叱られる、責められることに対するストレス耐性が弱くなっていると言われています。

そのような相手を頭ごなしに叱ることは、相手の変容につながらないだけでなく、時には、ストレス過多に追い込むことすらあります。

上司が部下の話しを受け止めるリセプターを持ち、相手のオートクラインを作動させ、部下が自己決定により行動する状況を作ることで、部下は、自分で考え、動く人財に変容することができます。

BPSの研修では、相手のモチベーションを上げて行動変容を後押しするコミュニケーションの取り方を身に着けることができます。

管理職、メンター、OJTリーダーなど、育成に携わる方のトレーニングにご活用ください。

時間外労働削減の取り組み事例

時間外労働削減の取り組み事例

時間外労働削減は、多くの企業が取り組んでいる働き方改革課題です。

やみくもに残業を減らすだけでは生産性向上に繋がらず、かえって社員のやる気を損なうこともあります。

成果を挙げている企業の共通点を探ることにより、実践可能な施策を考えてみませんか?

~目次~

目的合理性とファクトが説得力を生む

成果事例にみる共通点は「業務改善」

全員定時退社で前年比160%の業績を達成

まとめ

1.目的合理性とファクトが説得力を生む

「働き方改革」の重要指標として時間外労働の削減が叫ばれていますが、その目的は、生産性の高い働き方を実現することにより優秀な人財を長期に亘り確保すること、そして、多様なライフスタイルの人財が働き続けることができる環境を創りだすことのはずです。

イトーヨーカ堂は、店舗調査により<残業時間が長い店舗ほど売上が少なく、食品廃棄ロスが多い>という結果を得ました。このようなファクト(事実)があると、時間外労働削減に説得力が生まれます。

時間外労働削減施策は、「そもそもの課題解決」の観点に立って設計されることが望ましいのではないでしょうか。

2.成果事例にみる共通点は「業務改善」

厚生労働省では、【そもそもの課題解決策】の一環として時間外労働削減に取り組み、成果を挙げた事例を「時間外労働時間削減の好事例集」にまとめています。
⇒ http://www.mhlw.go.jp/newinfo/kobetu/roudou/gyousei/kinrou/120703_01.html

この事例集で紹介されている事例の共通点として、「社内業務改善」に取り組むことを通して時間外労働削減を実現したことがあります。業務改善の成果が数字として現れるのには時間がかかることも多いため、トップダウンで取り組むことが重要です。

時間外労働削減の好事例集(厚生労働省)より転載

3.全員定時退社で前年比160%の業績を達成

厚生労働省がまとめた事例とは別に、毎日残業ゼロ、定時の18時に社員全員が退社しているにも関わらず、毎年前年比160%の業績を達成している企業があります。

「北欧、暮らしの道具店」を運営する株式会社クラシコムです。

クラシコムは、創業当初から女性を中心とした組織になることを意識して、女性が働き続けることができるクラシコム流ワークスタイルを実現するための業務フレームワーク「ECRS」を全社員に浸透させています。

最初に考えることは、「排除(Eliminate)=そもそもやらなくてもいいのでは?」。

次に、「統合(Combine)=この業務とあの業務を一緒にやればいいのでは?」。

その次に、「順序の変更(Rearrange)」を行い、

それでもこれまでの方法で解決できないときだけ、業務の合理化や効率化を図る「単純化(Simplify)」をするという流れです。

このフレームワークを業務推進のルールとして組織に浸透させることで、本当に必要な仕事に集中して取り組み、残業ゼロだけでなく、業績向上、そして、優秀な人財の確保という成果を実現しています。

0何のために何を目指すのかというビジョンと共に、シンプルでわかりやすい実行フレームワークを示し、組織全体に浸透させることが、働き方改革のポイントなのかもしれません。

4.まとめ

業務改善を通して時間外労働削減を成功させ、生産性とやる気を高めるためには、クラシコムのように社内の共通言語を浸透させることがカギになります。

共通言語が目指す目的や内容に社員が納得し、前向きに取り組む風土を醸成するのは、育成を担う管理職でありメンター社員です。

BPSでは、業務改善のフレームワークを共通言語として浸透させるために、業務改善研修と併せて育成担当者の研修をお勧めしています。

生産性を上げるアイデア その1

日本のホワイトカラーの生産性は、OECD加盟34カ国中の20番目と低いことが課題です。

ホワイトカラーの生産性を向上させる施策は様々ありますが、ここでは、業務効率化を進める際のヒントとして集中力を高める時間の使い方をご提案いたします。

~目次~

集中力の高まる午前中を活かす

「午前5時間制」の効果

企業における「午前4時間制」、または「午前4.5時間制」の導入例

小学校の教育現場から学ぶ「午前5時間制」

1.集中力の高まる午前中を

集中力の高まる時間は午前中とされ、特に午前10時から午前12時が最も高い時間帯といわれています。

一般的な企業の勤務時間帯が9時から18時であれば、午前中は3時間であり、勤務時間の4割にも満たない状況です。

仮に8時30分~17時30分の勤務時間とし、昼食を12時30分以降にすると、午前の部は4時間となり勤務時間の半分を集中力の高まる時間として確保できます。

前者と単純計算で比較すると、4時間÷3時間≒1.33となり33%の能率向上が図られます。

2.「午前5時間制」の効果

鳥取市立美和小学校の「午前5時間制」を紹介します(2016年11月4日の読売新聞朝刊)。

「給食前に通常より1時間多い授業をこなす「午前5時間制」に取り組んでいる小学校がある。

子どもの集中力が高い午前中を積極活用し、学力向上を目指す試みだが、『午後にゆとりが生まれ、教員の多忙感も解消できる』との声も聞かれる。

(中略)登校時刻は昨年までと同じだが、なわとびや朝の読書などの授業前の活動をやめ、1時間目の開始を25分早めて午前8時15分とした。

給食は5時間目終了の12時半から。

6月に実施したアンケートでは、約4割の児童が午前5時間制の導入で「勉強がしやすくなった」と回答。

保護者の4割超が「生活リズムの改善を意識するようになった」と答えた。」

このように企業においても始業時刻を早めて、午前の集中力の上がる時間をより多く確保することです。

結果的に能率が上がり、精度の高い業務をこなし残業時間も抑制するのです。

加えて終業時刻が早まることで家族団らんの時間も増え、自己啓発にも投資できます。

但し部署によっては顧客の時間ニーズに合わせる必要があり、柔軟に対応する必要があります。

下記の例では2案あり、A案は午前の部を3h→4hへ1時間増やし、B案は午前の部を3h→4.5hへ1時間30分増やしています。

共に午前の部が増加した分、午後の部がそれだけ短縮されます。あくまでねらいは始業時刻と昼食時間の変更により、午前の部を多く配分し、朝の集中できる時間を増やすというものです。

3.企業における「午前4時間制」、または「午前4.5時間制」の導入例

企業における「午前4時間制」、または「午前4.5時間制」の導入例

BPSでは、ミスゼロの仕事術やタイムマネジメント、段取り術の研修により、業務効率化のためのスキル獲得と意識改革に注力し、研修を導入された企業様において多くの変化を生み出しています。

業務効率化に取り組んでいるものの手ごたえを感じられないとお考えの企業様は、ぜひご相談ください。

若手の成長をもたらす<リフレクション>

若手の成長スピードに差が生じる要因として【リフレクション(内省)の充実度】がありますが、リフレクションは各自の内面で行われるためブラックボックス化しており、質を高めるよう働きかけることは容易ではありません。

~目次~

自分らしい成長を促進するリフレクション

D.A Kolbの経験学習サイクル

リフレクションの機会を設定する

1.自分らしい成長を促進するリフレクション

進歩とは、反省の厳しさに正比例する   本田宗一郎

ある調査によれば、組織内での職位が上がれば上がるほど内省にかける時間が長くなるとのことです。

トップが内省を重視していることは、本田氏の言葉からもわかります。

上記の名言において本田氏は、「反省」という言葉を用いていますが、意味するところは「リフレクション(内省)」であると考えます。

そして、リフレクション(内省)とは自分の体験をふりかえり、そこから気づきや学びを得ていく「学び方」です。

リフレクションは、知識学習とは異なり、起こった事象の捉え方や取り組み方、人との関わり方や価値観についての気づきや学びを促し、自分らしく成長していくことを可能にしてくれます。

しかし、現場ではどうでしょう?

目の前の仕事への対応に終始し、リフレクションの機会を得ないことが多いのではないでしょうか。

◆リフレクションは、成長を促進する重要な機会

業務を振り返る際、「●●ができた」「○○はできなかった」だけでなく、「あることに対して工夫したことは何か」「うまくいったことにより、何を学び、どのようなことに気づいたのか?」を考察することにより、自分の思考の癖=パターンに気づくことができます。

また、うまくいかなかった場合は、要因分析だけでなく、「何をどのように変えればできるのか?」を考察することが重要です。

2.D.A Kolbの経験学習サイクル

社会人学習におけるリフレクションの重要性を訴える研究者は多いのですが、ここでは、D.A Kolb(コルブ)の経験学習サイクルを元にリフレクションについて考えます。

◆D.A Kolbの経験学習サイクル
経験から学んだことを【独自のノウハウ(知見)】とするためには、概念化(一般化)が重要です。概念化された経験は、繰り返し活用できるスキルになるからです。

コルブの経験学習サイクルは、具体的な経験を観察・内省し、概念化した上で再試行(もう一度やってみる)ことを繰り返すことを推奨しています。

・コルブ(D.A Kolb)の経験学習サイクル

◆経験から学ぶプロセスを考える

成長機会を作る「具体的経験」とは?

経験学習サイクルの出発点は経験です。

しかし、すべての経験が省察に値するわけではありません。

経験から学ぶためには、まずは学ぶ意味を感じる<良質な業務経験>を選択することが必要です。
<良質な業務経験>とは、予測しなかった結果に出会うことができる経験と言われています。

ルーティン業務の中では省察の必要性を感じることができません。

従来どおりのパターンを繰り返して期待する結果を得られるのであれば、そのほうが合理的だからです。
しかし、これまでのやり方が通用しない業務を経験し、予測しなかった結果に出会うと、それまでの自分自身の行動パターンを批判的に振り返ろうと思います。

多くの研究者は、従来の能力が通じない経験のことを「ひと皮むける経験」と呼んでいます。

新入社員にとっては、すべての業務が「ひと皮むける経験」かもしれませんが、ある程度のキャリアを重ねた社員にとっては、プロジェクトや異動、日々の業務の改革、改善を経験することが該当するでしょう。

「省察」のポイント

省察の際には、メタ認知が必要です。
メタ認知とは、自身の考え方や行動を第三者的視点で客観視することですが、文字で読むほど容易ではありません。

私たちは、どうしても自身を正当化してしまい、批判的、客観的に眺めることが苦手だからです。
また、業務を行いながら省察することも容易ではありません。

そのため、研修など日常業務とは離れた環境に身を置いたり、他者から問いかけてもらったりするなど、支援を受けて省察することが有効です。

「概念化」のポイント

省察を行った内容は、今後も活用できるようにするために「持論」としてまとめます。概念化とは、他の場面や状況に応用できるある種の教訓です。

例えば、「プロジェクトリーダーとして精一杯やったのに、他のメンバーとの間に意識のギャップが生まれ、プロジェクトを成功に導くことができなかった」という経験を経て、「もっとみんなを巻き込むべきだった」というだけでは、概念化できたとは言えません。

概念化とは、例えば、「チーム作りの重要要素は、プロジェクトスタート時にプロジェクトの意義と成功イメージを全員で定義・共有した上で、リスクを予想し、役割分担、スケジュール決定することである」というようなことです。

ここまで落とし込むことにより初めて、次のプロジェクトマネジメントに活かすことができる教訓となります。

「試行」のポイント

上記のように概念化を行ったとしても、このままでは仮説でしかありません。

そのため、本格的に実行する前に検証する必要があり、それが「試行」の意味です。

ただし、この場合は、データをとって厳密に検証するのではなく、「やってみる」というレベルで構わないのです。

むしろ、緻密さを求めて実行が遅れるよりも、やってみることのほうが重要です。

3.リフレクションの機会を設定する

現場で多くの業務を体験させ、リフレクションは本人任せというのでは、若手の成長を促進することはできません。

良質なリフレクションの機会を設定するためには、研修機会や上司、先輩社員がリフレクションの重要性を理解し、若手の経験学習を支援する風土づくりが求められます。

BPSでは、研修中はもちろんのこと、研修後のフォローアップとして質の高いリフレクションを行う機会をご提供しています。個別の成長支援フィードバックも可能です。

若手社員の成長スピードと質向上のため、研修に加えてリフレクションプログラムの導入をご検討ください。

変化に強いマインドセットを育てる

変化に強い組織を作ることは喫緊の課題ですが、その実現要因の一つに社員のマインドセットがあります。

今回は、「従来のやり方・考え方を続けるほうが心地よい」という考え方が生まれる理由を考察した上で、従来どおりのやり方・考え方に揺らぎを与え、変化を成長機会に変えるマインドセットを育てる方法を提言します。

~目次~

脱皮できない蛇は滅びる

変化に強い組織の実現を妨げるマインドセット

変化を成長機会に変えるマインドセットを育てる方法

変化に強いマインドセットを育てる

1.脱皮できない蛇は滅びる

「脱皮できない蛇は滅びる」
これは、哲学者ニーチェの言葉です。

世界が大きく変化を遂げている今、変化に強い組織の在り方、個々人の生き方が問われています。

柔軟で多様性を受け容れることができる組織やキャリア形成が必要になり、これまでの働き方、生き方から脱皮することが求められています。

とはいえ、すべての人が変化を受け入れ、挑戦する意欲を持てるわけではありません。

人間には、変化や多様性を楽しむ人(イノベーター)、やむを得ず変化と多様性を受け入れようとする人(フォロワー)、変化や多様性を望まない人が存在します。

変化に強い組織に脱皮するためには、イノベーターがフォロワーに良い影響を与え、変化を望まない人がマインドセットを変える環境を提供し、持続的・主体的に学習する社員を増やすことが必要です。

2.変化に強い組織の実現を妨げるマインドセット

「ラーニング・オーガニゼーション(学習する組織)」という言葉を耳にされたことがあるでしょう。

「ラーニング」という言葉の意味は、変化に対応して、自ら新たな知識・技術・行動・思考・態度・価値観・世界観を獲得したり生成したりすることです。(「学習する組織~現場に変化のタネをまく」 (光文社新書) より引用)

組織も人も、学習して新たな知見を身につけることが、変化の激しい時代を逞しく生きる術です。

ところが、残念なことに、変化を”リスク“と捉える人が一定程度存在します。

今回は、変化をリスクと捉えるマインドセットに揺らぎを与え、変化を成長機会と捉えるマインドセットに変える方法を提言したいと思います。

以下の図は、私たちが変化を受け入れ進化を遂げる際のマインドセットの動きを表現しています。

●コンフォートゾーン

現状維持の領域で、慣れ親しんだ思考・行動パターンから出ない状態です。

本人にとっては、新たなことに挑戦するリスクがないため、快適で安全な領域です。

●ストレッチゾーン

自分を成長させ、進化を遂げる(ストレッチする)領域です。

学習と新たな経験により成長することができますが、リスクを負うことがあり、ある種の痛みを伴います。

●デンジャラスゾーン

現在の能力を大きく超えるハイリスクで無謀な挑戦領域です。

私たちの思考や行動の40~80パーセントは習慣化(パターン化)していると言われています。

習慣化していることのメリットは、過去の成功パターンに従うためリスクが少なく安心と感じ、しかも判断に時間がかからないことです。

一方、慣れたやり方や考え方ばかりを選択すると、「これは、こうあるべき(=当たり前)」という思い込みが生まれ、新しいやり方や他の可能性を排除しようとする状態であり、成功体験に固執し多様性を排除する状況が生まれます。

これは、図で示した「コンフォートゾーン」に留まっている状態で、私たちが変わろうとする意欲を妨げています。

自分の価値観やパターンに囚われると、異なる価値観を受け付けない「柔軟性に欠ける硬いマインドセット=Fixed mindset」が出来上がります。

そのようなマインドセットは多様性を受け入れることを避けて「慣れ親しんだ現状と考え方」を維持しようとします。”慣れ親しんだ現状の維持”を望むマインドセットでは、「現状を続けることが組織にとって望ましいのか」が重要なのではなく、自分にとっての当たり前を維持するほうが低リスクであると考えます。

3.変化を成長機会に変えるマインドセットを育てる方法

Fixed mindsetを持っている人が、新たな知識・技術・行動・思考・態度・価値観・世界観を獲得することを選択し、変化を成長機会に変えるマインドセットを育てる方法として以下を提言します。

・変化の実態を理解する

身の回りでどのような変化が起きており、自分にどのような影響を与えるかを具体的に理解する)

・すぐに結果の出る小さな進化(学習)を体験し、「想像よりリスクが小さく、自分にもできる!」ことを実感する

・自分が変化・進化したことにより充実した結果を得た経験を思い出す

・変化に対応する具体的な行動や学習方法を知る

・「変化・進化」の具体的なメリット(価値)をリストアップする(手の届きそうな身近な事例)

・「変化・進化」を評価する環境を醸成する(変化を推奨する社内風土、変化・進化に積極的な知人を増やす)

・「変化・進化」を遂げることでより良いキャリアを築いた身近な人(モデル)を紹介する

・「変化・進化」に対応しないことがリスク(脅威)である事例を示す

最後の方法はショック療法ではありますが、非常に硬いマインドセットを持った人には有効かもしれません。

BPSの研修には、Fixed mindsetに揺らぎを与え、「小さなことから変えてみよう!」と思える仕掛けがあります。

環境変化を具体的に知り小さな変化を起こす決意ときっかけを作り、成功体験を積むことを通して、変化を受け入れる土壌が生まれます。

BPSが提供する研修は、こちらからご覧いただけます。

「女性目線」のソリューションがサービス革新を生む

女性活躍推進施策が定着してきた一方で、女性の特性を活かした施策になっているのだろうか?という課題も見えてきたのではないでしょうか?

今回は、事例をもとに「女性目線のソリューション」を生み出す考え方をご紹介いたします。

~目次~

業界の常識を変えるソリューション

「4つの安心」による差別化戦略

女性目線を活かした付加価値の提供

1.業界の常識を変えるソリューション

8社ものTV取材を受けた話題沸騰のコインランドリーがあります。

それは、神戸市にある株式会社クレシアが運営している「ほっと倶楽部」です。

この会社がすごいところは既存のコインランドリーのサービス概念を百八十度転換したことにあります。

一般的なコインランドリーとの違いを下記の比較表にしました。

一般的なコインランドリーでは男性も女性も取り込む全顧客ターゲットです。

一方、ほっと倶楽部は女性専用であり、女性目線でサービスを作り直しています。

2.「4つの安心」による差別化戦略

この手法は異業種においても大変参考になる事例であり、注目に値するのは「4つの安心」による差別化にあります。

①エコランドリーはもとより、②女性スタッフが常駐することで安心して洗濯できること、③洗濯しない生活を届ける「洗濯代行(集配・お預かり)サービス、④1回利用の度に洗浄・消毒を実施する清潔の徹底度、まで発案したことに驚嘆します。

商店からコンビニへ発展したように、一般的なコインランドリーやクリーニング店をトータルパッケージサービスとして提供することがほっと倶楽部の経営の真骨頂と言えます。

(図1)一般的なコインランドリーと「ほっと倶楽部」比較~(HPより編集加工)http://cl-hotclub.com/

3.女性目線を活かした付加価値の提供

商品においても、サービスにおいても企業が顧客に提供するのはソリューションです。平成26年7月「経済産業省経済産業政策局」によると、家計支出のうち妻の意思決定割合は、日本では74%という調査結果です(世界では64%)。

ソリューションにおいて、女性目線で考えることは不可欠の時代です。

「女性目線で見直し」→「コンセプトの構築」→「特徴の絞り込み(差別化)」→「トータルパッケージサービスとして付加価値の提供」――この一連の流れは女性をターゲットとした企業の商品・サービス革新を生む、応用すべきフロー概念です。

この事例には書かれていませんが、エコランドリーを成功に導いたのは、組織内での協働にあると推測されます。

女性活躍推進においては、「女性目線での現状の見直し」から「ソリューションパッケージ構築」までの全工程を任せるのではなく、組織内で強みを活かした役割分担がなされることがポイントです。

つまり、いきなりチャレンジさせるのではなく、強みを活かして育てる環境が必要です。

仕事力を強化・向上するプログラムを通じて、女性社員の感性を活かす能力開発を行ってはいかがでしょう。

やり抜く力を高めるためには?

目標達成力や業務遂行モチベーションを高めることは、多くの組織の課題です。

目標設定時には「今度こそやり抜こう!」と誓っても、数か月経つと目標そのものを忘れたり、思い通りに進捗せずに諦めたりすることもあるのではないでしょうか?

私たちが、決めたことを先延ばしにしたり諦めてしまったりするのは、意志が弱いからでしょうか。

人材育成に欠かせない、やり抜く力を高めるためのヒントをお届けします。

~目次~

先延ばし方程式

脳の働きから考察する先延ばしの克服

やり抜く力を高める方法

1.先延ばし方程式

行動科学の領域で「先延ばしとモチベーション」について研究しているカナダ・カルガリー大学ビジネススクール教授のピアーズ・スティール氏は、先延ばしは脳の構造に要因があると指摘しており、その考え方を「先延ばし方程式」として紹介しています。

この方程式の分子である「期待×価値」は、モチベーションです。

達成の可能性(期待)が高く、目標の魅力(価値)が大きければ大きいほど、我々の行動意欲が高まります。

 一方、分母の「衝動性×遅れ」は、行動を妨げる要因です。

目の前に楽しそうなことや今すぐやってしまいたいことがあると、そちらを優先したい衝動が生まれ、価値を手に入れるまでの時間がかかればかかるほど、先延ばしの誘惑が強くなります。

2.脳の働きから考察する先延ばしの克服

人間の脳は、大きくわけて3つに分類されます。自律神経、免疫、ホルモンの働きをコントロールする「脳幹」、快不快や衝動をコントロールする「大脳辺縁系」、そして、予測と制御などの知性を司る「前頭葉」です。

前頭葉は、進化の過程で最後に成長した部位のため、幼児期は未発達で、セルフコントロールを修得するにつれて発達していきます。

つまり、目標の期待×価値が大きくても、前頭葉で衝動性を制御できないと、先延ばしという結果が待っていることになります。

3.やり抜く力を高める方法

では、先延ばしを克服して、やり抜く力を高めるためには、どのような方法があるのでしょうか?

スティール氏は、以下の方法を提唱しています。

1.課題を小分けにして小さな達成感を何度も味わい、その過程を記録する

2.自分のやる気を鼓舞してくれる仲間や自分を勇気付けてくれる物語を持つ

 例:目標達成や業務遂行の成果と課題を共有し、解決策を一緒に考える機会を設定する

3.達成時の様子を視覚化する(脳内コントラスティング法)

寝る前にやり遂げた時の様子を頭の中で詳細に映像化し、次に、今の自分を映像化して対比する。

このような対比(コントラスト)を行うことで、実現させたのと同じ刺激を脳に与えることができる。

4.失敗や先延ばしの元凶をリストアップして予防策を考えておく

 例:メールが元凶であれば、決めた時間以外は見ないようにする

5.ネガティブ表現を止めて意識的にポジティブな表現を使う

 例:「メールを見ないようにしよう」 → 「11時40分と16時30分にメールを見よう」

「できない理由を考えることを止めよう」→「どのようにすればできるか3つ以上考えよう」

6.新しい生活習慣を作る

難しい課題は効率の良い午前中に取り組む、就寝前の5分間は脳内コントラスティング法を実行する など

7.ご褒美を設定する

小分けにした課題を達成する都度、魅力的なご褒美を受け取るよう決めておきます。

ご褒美は、モノでなくても大丈夫です。大好きな音楽を聴く、友だちと食事をするなど、心から楽しいと感じられることを、ご褒美として設定することで、「先延ばし方程式」の分母である「価値」の値を大きくします。

モチベーションが高い人は、やり抜く力を高める方法を自分の行動習慣として定着しています。

組織に転用する際には、研修を通じて個々人の思考・行動習慣を振り返り、自発的に「行動を変える習慣を持とう!」と思わせたり、リーダーや管理職が若手に対するフィードバックに応用したりことが有効です。

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