2017年12月1日

働き方改革〜「オフィスも働き方改革(6)」(コラム2017/11/30)

“環境音と仕事の生産性の関係”

環境音は仕事の生産性と密接に関わっていることがいくつかの研究成果で把握できます。

ドイツ連邦環境機関のシニアリサーチオフィサーでもあるWolfgang Babisch博士によると、科学者はノイズを「不必要な音」として定義しており、耳障りなだけでなく、心理面と脳にも負担を与えるものしています。

Babisch氏によると、ノイズそのものの性質もありますが、変動するノイズは一定で動くノイズレベルよりも人を苛立たせ、内容がない人の会話はさらに広帯域のノイズよりも気が散り易いと言います。

「認知的に、その中でも最も気が散る音は人の会話だと多くの研究調査が示しています。人間は人の会話に対して約1.6の周波数帯域を持っていて、もし、誰かの会話が聞こえてきたら、聞こうという意志が働かなくても、1.6の周波数の内の1.0を使ってしまうことになります。これには耳にフタをするわけにはいかないのです。つまり、残りの0.6だけで自分の内なる声を聞くことになるのです。」

今日、オフィスで遂行されている仕事から起こるノイズレベルも問題です。あるオープンレイアウトのオフィスでは、そのノイズ音は60から65デシベルといわれています。そのレベルは混雑している高速近くの85デシベルと比べると低く、冷蔵庫の音の40デシベルと比べると高くなります。しかし、知覚レベルでは仕事に集中できないことは確かです。ドイツではドイツエンジニア協会が仕事タイプによるノイズ基準を設けています。オフィスでの単純なプロセスワークには70デシベル、知的作業には55デシベルという基準を設定しています。ナレッジワークというのは複雑で創造的思考、意思決定、問題解決、綿密なコミュニケーションなどを伴う作業と定義しています。特にこのナレッジワークで、社員の成果が向上すれば、企業が前進することは間違いありません。

ナレッジワークのために推奨されるノイズレベルは1人での作業に加え、討論やミーティングにも関係してきます。実際、上記の協会は医者が手術を行うノイズはオフィスワーカーが1人でまたは他者と一緒にナレッジワークをするのと同じレベルの基準を設定しています。

■「最も気が散る音は人の会話だと多くの研究調査が示唆しています。」

オープンレイアウトのオフィスでの通常のノイズレベルは60から65デシベルで、集中するには騒がしく、話す声が邪魔するため、効果的なコラボレーションをも妨げる可能性があります。もし、約1メーター離れて1対1の会話をする際に人が普通に話す音声のノイズレベルは約60デシベルです。つまり、同範囲でのノイズレベル、例えば、まわりで人が話していると、音声が邪魔され、すべての言葉を聞き取ることが不可能になります。「それにも関わらず、話していることが理解できるのは人間に備わった大脳皮質の機能によるものです。しかし、それは活発なプロセスでもあるため、長時間にわたり慢性的にノイズにさらされることでこの効果は期待できないばかりか、その機能にまで悪影響を及ぼすことになります。」と彼は言います。

言い換えれば、つまり、音響対策が悪い環境ではワーカーは他者の話を聞かないように努力するのと同じぐらい、他者の話を聞こうとすることで容易にストレスにさらされてしまうということです。つまり、すべての面でマイナスに働くということになります。

参照:
https://www.steelcase.com/asia-ja/research/articles/topics/collaboration-privacy/much-noise/

これらのことは誰もが経験しています。カフェやレストランなどで、やたら声の大きい人がいると、忽ち快適性は失われストレスに転化します。オフィスも同様です。環境音対策は働き方改革にとって必要不可欠のものです。環境音は空調や照明などと同様、重要な環境であり生産性の要因です。

また静寂であれば集中できるかというと決してそうでないことです。アメリカで環境音に関する研究調査結果が出されています。

50デシベル程度の静かな環境(例えば図書館など)で作業をするよりも、70デシベルのノイズがある環境(カフェなど)の方がクリエイティブになるというのです。

ただし85デシベルの高レベルのノイズになるとクリエイティブは発揮できなくなります。適度なノイズは作業の生産性を上げるのに重要なファクターなのです。

■音環境ソリューション
それではどのように環境音を設定すればよいのでしょうか。
Treasure氏はこの状況を解決する方法は様々な「場」を与えることだと言います。作業内容やスペースを使用するユーザーにあわせて音響を考慮することです。ワーク環境はただ単に外観だけではなく、人間のあらゆる感覚、特に聴覚に配慮することが重要です。「音に注目することはスペースを設計する上での新たなツールになります。意図的に計画された音響はスペース全体をより生産的な場へと変化させます。」とTreasure氏は述べています。

環境音のソリューション企業に相談することをおすすめします。例えば、コクヨは「サウンドマスキングシステム」を提案しています。

オフィスにおいて、間仕切りを通して隣室の会話が洩れてきたり、また大きなオープンオフィスで遠くの人の会話が非常に小さなレベルだが聞き取れてしまうというような、オフィスのセキュリティや生産性が阻害される場面がしばしば見受けられます。
サウンドマスキングシステムは、空調音のような背景音をわざと部屋に流すことにより、隣室からの音漏れや遠くからの小さな音を聞こえなく(マスク)することで、オフィスのセキュリティや生産性を保とうとするものです。

参照:http://www.kokuyo-eng.co.jp/products/sound_masking.html

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