コラム「インターリーブ学習を取り入れる」(2018年5月18日)

考える教育研修(4)「インターリーブ学習を取り入れる」

■その常識は間違い?:効果的な学習法
授業を聞きながらノートをとる。ひとつのテーマを集中して勉強する。一貫して学べる環境に身を置く。これらは「効果的な学習方法」の正反対にあると、UCLAの心理学者ロバート・ビョーク氏はいう。

その代わりにビョーク氏が勧めるのがインターリーブ(interleaving:交互配置、挟み込み)だ。例えばテニスなら、サーブを1時間練習するのではなく、バックハンドやボレー、オーバーヘッド・スマッシュ、フットワークなど幅広い技能を混ぜて練習することだ。1度の集中練習によってサーブの能力を大幅に向上させるのと違い、インターリーブは、多くのスキルをほとんど気づかない程度に向上させる。しかし、やがてこれらの小さな向上が積み重なっていくと、同じ時間をかけてひとつひとつのスキルを順に習得する場合よりも、はるかに大きな成果が得られるという。

効果的なインターリーブには、それぞれのスキルをそれぞれの「位置」につかせる効果があるとビョーク氏は話す。「ある情報を他の事柄と関連付ける形で習得すると、はるかに大きな学習効果がある」。
(ただし、関係のない技能を混ぜることは意味がない。テニスのサーブを練習するときに、シンクロナイズド・スイミング、ヨーロッパの都市、Javaプログラミングを混ぜてもだめだ。)

さらにビョーク氏は、学習を行う場所についても指摘する。学んだ場所と同じ場所でその情報が必要になる場合はそこで学習してもいいだろうが、寮の部屋や事務所や図書館の2階でない場所でも情報にアクセスしたい場合は、学習する場所を変えるほうがいいという。インターリーブや場所を変えるというテクニックは、数学であれフランス語であれ、社交ダンスであれ、何かの技能をマスターしようというときに役立つ。さらに、分散効果(spacing effect)も役に立つ。分散効果は、1885年にドイツの心理学者、ヘルマン・エビングハウスが最初に記述した現象だ(長い期間をかけて数回学習したほうが、短期間で繰り返して学習するよりも学習効果が高いという現象)。

学習してから時間を空けてテストをすると、空いた時間が長いほど、多くのことを忘れている。ところが学習してから時間を空け、それから再び学習した場合、空けた時間が長いほど2度目の学習後には多くのことを覚えている、とビョーク氏は説明する。「記憶のなかの何かにアクセスするとき、われわれは、それが記憶の中に存在していることを明らかにする以上のことをしている。単なる再生とは違うのだ。記憶から取り出した情報は、将来、さらに思い出しやすくなる。記憶の取り出しがうまくいけば、その取り出しが困難で厄介であるほど、得られる利益は大きい」

間隔を空けて行われる2度目の学習については、その間隔を、1度目の学習で得た情報をかろうじて思い出せるという状態に保たなければならない。混沌とした記憶の中から情報を取り出す作業が大変であればあるほど、2度目の学習における習得効果は強化されるのだ。2度目の学習があまりに早く行われると、その時の学習は簡単すぎる。

以上のようなことから、ビョーク氏は、授業の最中にノートを取るのではなく、授業の後でノートを取ることを勧める。授業の情報を意識的に思い出すことは、単に黒板を書き写すよりも効果的だからだ。苦労すればするほど学習効果も上がるのだ。
(参照:WIRED|https://wired.jp/2012/02/17/everything-about-learning/

 

■ブロック学習とインターリーブ学習

一般的なやり方である、単元ごとにまとめて学んでいく学習法がブロック学習です。一方、何かを学習する際にあえて関連性のある違う科目を混ぜる学習法をインターリーブ学習といいます。


2007年、南フロリダ大学が行った実験では、10〜11歳の男女24人に対して、「面の数、辺の数、点の数、角度の数」の問題学習を行いました。半数の12人には面の数、辺の数、点の数、角度の数と順番に解くブロック学習で、もう一方の12人には、問題の種類をランダムに混ぜたインターリーブ学習としたのです(双方、問題の数と休憩時間は同条件)。翌日4種類すべて1問ずつ出題するテストを実施したところ、インターリーブ学習のグループの正解率は77%、ブロック学習のグループは38%と、ほぼ2倍の開きとなりました。

■インターリーブ学習を取り入れる

この効果的な学習方法を企業における研修活動に活かしたらどうでしょうか。上記のポイントは2点あります。まず1点目は、研修制度を同じことをひたすら繰り返す学習である「ブロック学習」から、複数の項目、スキル、以前の研修の復習等を混ぜて行う「インターリーブ学習」にすることです。過去の研修を終わったものとせずに、復習を取り入れることでより理解度は増し、記憶は定着します。また個々の項目、スキルなどもその違いがはっきりとわかるようになり、個々の特徴も類型化できます。

また研修テーマがAからEまで5項目あり、全5回としたら、一つずつ終わらせるやり方でなく、5つの研修をランダムに混ぜて、各回にAからEすべてを入れるようにします。人間は同じことを続けていると、飽きがきます。そう考えると、定期的に刺激を取り入れないと、単調なことをずっと続けていては人間の機能は停滞することがわかります。つまり脳は刺激を与えなければマンネリ化するのです。その意味でもインターリーブ学習は理にかなっているといえます。

2点目は研修の最中にノートを取ることを止めさせることです。実際ノートを取ることに集中して、講師の話を聞いていないことはよくあります。どうしてもノートを取りたい場合は質問すべき事項、補足で覚えておきたいこととか、本当に必要最小限のことに絞るのです。そして研修の最後の時間にノートにまとめる時間を与えれば、各自が工夫するようになり、研修内容を理解し自分の言葉にできます。

最後に研修場所も研修室や会議室だけでなく、外部研修にしたり、他の場所へ環境を変えたりすることで、脳の働きが活発になり、研修の成果も上がります。このように学習法や学習場所の工夫だけで、研修成果が顕著に変わるものであれば、「まず、やってみる」ことをおすすめします。

 

 

 

ATDに行く理由

ATDでの学びを整理しながら、
そもそもなぜ毎年行くのか、を
改めて考えてみました。

私にとってのATDは、
「脱、現状満足」の場です。
もうこれでいいとか、
こんなものでなんとかなるか、
と思ったら終わり、
現状満足の先には成長も変革もありません。

自分にとってのモチベーションの源は
「チャレンジ」であり「成長」。
ATDに来ると、知的好奇心を刺激されるだけではなく、
まだまだだなあ、と内省しきりだったり、
あ、こんなことを取り入れてみよう!という
閃きをいただけたりという発見多しです。
この刺激こそが、自分を前に向かわせて
くれる原動力になります。

相当自分のことを都合よく解釈する(笑)
傾向のある自分を、真摯な気持ちにさせてくれるこの場。
今回は75周年でしたが、100周年までは
行きたいなあ、と思います。

あと25年!
頭も体も元気でいられるように、
鍛えてまいります。

シャスタのこと

今日は、ATDに行く前に訪れたシャスタのことを
書いてみます。

『 呼ばれた人しか訪れることができない 』
と言われる、聖地シャスタ。

シャスタ山は、
シャスタ(男性エネルギー)と
シャスターナ(女性エネルギー)、
男性と女性のエネルギー磁場が、
2つの山頂に重なっていて、
陰陽のエネルギーが調和している
珍しい聖山だと、宿のオーナーが
教えてくださいました。

人間も同じ。
私たちの内側には男性性と女性性、両面が存在します。
シャスタ山は陰陽のエネルギーが調和し、
訪れた人の男性性(陽)と女性性(陰)の統合が自然と促進され、
内側でのバランスが取れていくのだといいます。

バランスが整うことで、本来の自分に戻り、
エゴではない、魂からの願いがわかるようになるともいいます。
シャスタに行くと、「魂の本来の声が聞こえ、
人生の使命に気づかされる」と言われているのも、
こんな事情があるからかもしれません。

「ありのままの自分を信じたい」
「もっと自分を愛したい」
「自分が思うがごとくシンプルに生きたい」

そう思っていても、ついつい自分の気持ちよりも
周りの気持ちを優先させてしまったり、
評価や周りの価値観に縛られてしまう。
シャスタに行くと、そんなことから、
解放されるような気がします!

変化に備える

「これからの20年で人類は、かつてない変化を迎えることになるだろう」と、
オバマ氏も話していたように、第4次産業革命とも言われる今、
私達はこの破壊的な変化に向けて、どう対処する必要があるのか?
そんなことを考えさせられた、ATDでもありました。

ATDチェアマンからも、以下のようなメッセージが、
発信されました。

『AI をはじめとしたテクノロジーの進化が、
ナレッジ・ワーカーを含むあらゆる職業に影響を与える。
何百万という仕事が自動化され、人間の仕事がロボットに
取って代わられることに対して、私たちはみな恐れを感じている。
そこで私たちに求められるのは、自分たちの仕事やスキルを再定義することだ。。
その中でタレント開発に関わる私たちは、AI の時代における
新しいタレント開発を生み出していくことが必要だ』。

こうした”リ・スキル”をどのように支援していけば良いのか。

・わたしたち自身がデジタル・トランスフォーメーションについて学び、
 タレント開発のありかたを今一度考えていくこと
・個々を中心に据えた学習環境を整えていくこと
・個別にカスタマイズされた学習を、即時に継続的に提供できること。

しかし、67%のCEOがAIやマシーンラーニングなどへの
投資は決めているが、従業員のリ・スキルに対する投資を
決めているのはわずか3%に過ぎない。というデータも紹介されていました。

私たちの仕事そのものが、デジタル・トランスフォーメーションの
大きなうねりの中にあるのは事実ですが、
それを恐れているだけでは、明るい未来は期待できません。
変化の波にしなやかに乗りながらも、
自分の強みやらしさを活かせることができれば、
いいなあ、と思います。

2018年6月開催の公開セミナー情報を追加更新しました

2018年6月開催の公開セミナー(8件)を追加しました。

《6月8日(金)》仕事の質とスピードを高める「4つの力」向上セミナー 主催:日本能率協会(東京) 担当:鶴田 理絵
《6月12日(火)》「ミスゼロ」マニュアル作成セミナー 主催:日本能率協会(東京) 担当:鶴田 理絵
《6月14日(木)〜15日(金)》【女性活躍支援プログラム】キャリアデザインコース 主催: 九州生産性本部(福岡) 担当: 千葉 裕子
《6月20日(水)》1日でしっかり学ぶ!女性のための営業スキル向上セミナー 主催: 日本能率協会(東京) 担当: 村井 絵里奈
《6月21日(火)》「ミスゼロ」マニュアル作成セミナー 主催:日本能率協会(名古屋) 担当:鶴田 理絵
《6月22日(金)》リーダーの「5つの仕事力」強化研修 【基礎編】 主催: 日本能率協会(東京) 担当: 菓子田 圭子
《6月22日(金)》「ムダゼロ」時短しごと術実践セミナー 主催:日本能率協会(大阪) 担当:鶴田 理絵
《6月28日(木)》「思考力・想像力・判断力」強化セミナー 主催:日本能率協会(東京) 担当:鶴田 理絵
その他はこちら⇒ 公開セミナー一覧

パーパスを明らかにする

ATDセッションの中で、「パーパス(目的)」について、
ずいぶんと取り上げられていました。
ブリット・アンドレアッタ氏のセッションでは、
パーパスに関する、こんなデータの紹介がありました。

・71%のミレニアルが仕事を選ぶ要因に、目的意識を挙げている
・94%の人が自分の能力を、世の中をよりよくするために生かしたいと思っている
・89%の人が自分の興味あることを通じて、社会変革に貢献したいと思っている

しかし、50%の人が「仕事に意義を感じられない」、
という現実も横たわっています。

パーパスは、脳神経の保護に効果を発揮し、
目的意識を持つことで、以下のような効果も出ています。

・痴呆症に対するリスクが半分になる。
・脳卒中のリスクが72%が減った。
・加齢がスピードダウンした。
・10代の人たちの、欝の確率が下がった。

『自分が何のためにこの世に生まれ、
どんな貢献をしたいのか』。
『企業は何のためにこの世に存在しているのか』。

そんな本質的な問いを
投げかけられているような時間でした。
今回のATDではヒューマニティ(人間性)を
考える機会が多くあったように思います。

オバマ氏のメッセージ

アメリカサンディエゴで行われた、
ATD(Association for Talent Development)
カンファレンスから戻ってきました。
例年以上に刺激的で、心に染み入る
メッセージをたくさんいただいた日々でした。。

今回のカンファレンスは75周年の節目の年、
ということもあり、基調講演者は、
バラク・オバマ前大統領。

会場前には朝の5時前から行列ができ、
登場された折には、大歓声と全員総立ちで大喝采。
大変な盛り上がりでした。
オバマ氏は、リラックスした雰囲気でソファに座り、
ATDのCEO,トニー氏との、
対談形式で話が始まりました。

ゆっくりと丁寧な口調で、
オバマ氏、両親、祖父母、
そしてパートナーのミシェル氏も、
裕福な家庭の出身ではなかったが、
教育を通じてに成功を掴んだこと、
教育が人生を変えること、
教育の大切さを語っていました。

印象に残ったことは、以下の話です。

「自分が何かになりたい」というよりも、
「自分がやりたいことを明確にすること」が大事。
社長になりたい、富豪になりたい、ではなく、
何をやっていきたいのか。
自分がやりたい、と思うことを、
一つずつ積み重ねていくことだ。

自分の価値観(バリュー)を持ち、
それに沿って生きることが大事だ。
変化激しき時代だからこそ、現実を直視し、
いろいろな人々の言葉に耳を傾けながらも、
自身のバリューや信念に基づいて
一歩ずつ変化を生み出していくこと。

圧倒的な存在感と、体現者だからこその、
ありかたそのものの影響力に、
しばらくは、口もきけませんでした。
あとからしみじみ感じ入るお話でした。

ATDでの気づきを、これからしばらくの間、
綴ってまいります。

シャスタ

サンフランシスコ国際空港に着きました。
あと1フライトで、シャスタの最寄空港、
レディングに到着予定です。

アメリカの聖地といえば、
セドナとシャスタ。
一昨年セドナに行った時は、
パワフルでダイナミックなエネルギーに
圧倒されました。

これから訪れるシャスタは、
「聖なる水の聖地」とも言える場所です。
写真を見ているだけでも、
シャスタ山を中心に、山、滝、湖、緑が
広がっています。
まだまだ雪深いところもあるようですが、
大自然を楽しめそうです。

自然の中に身を置くことで、
自分が整い、パワーが漲ってきます。
内なる自分の声と対話できるのも、
こういった場所ならでは。

明日は最低気温が1度になるようですが、
しっかり防寒し、シャスタの山歩きを楽しみます!

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