指は自分に

「自分が失敗したと感じたことと、
どう向き合うかは大切だと思う。
人との付き合いにも当てはまると思うが、
うまくいかなかった原因をどこに向けるのか。

うまくいかなかった原因を、最初に自分以外の
第三者に求めてしまう人はなかなか前へ進めない。
まずは自分に何が足りなかったかを問うべきだろう。
それができて初めて失敗を次への力に変えられるし、
その人自身の成長を自ら促すことができるのではないだろうか」

競争を経験してきた世代も、不惑を迎え、
リーダーシップや組織論に悩むことが多くなる。

「人を見極め、導きながら人を動かす、
ということはとても大変なことだろう。
人の上に立つ立場は日々神経をすり減らしていくことになる。
人に使われる立場は、思うようにできない
ストレスを抱えていることが多いだろう」。

「言えることは、それぞれの立場にそれぞれの苦労が
存在するということだ。上の立場の人間は下の立場の人間に
敬意を払う。下の立場の人間も上の立場の人間に対して敬意を払う。
そのような関係を構築するには、いろいろなことへの意識が
高くないとできないうえに、時間もかかるから、
とても難しいことだが、それができたらその組織はとんでもなく強いだろう」。

イチローの言葉です。

脳の仕組みを知る

医療現場で脳のリハビリに従事し、
脳科学の知見を深めてきた
作業療法士、菅原洋平さんの
執筆記事は、実践的で面白いです。

脳の基本は、「脳は臓器である」
ということをまずはちゃんと認識すること。
胃がもたれるなあ、と感じたときには、
少し食事を控えたりするけれども、
脳に対しては、「いくらでも生産性は
向上できるはず」と、詰め込みすぎてしまいがち。
これでは却って非効率です。

また、仕事をサクサク片付けるためには、
「環境整備」が脳の効率を左右するといいます。
脳内では、私たちが何かをみるたびに、
「やるかやらないか」という選択が
無意識に行われています。
この無意識の選択には、実は大量のエネルギーが
使われているのだと!机の上に多くの資料が積んであるだけで、
肝心の仕事に取り掛かる前からすでに脳は
疲れはじめているのです、これはまずい!
そのようなムダな努力を回避するためには、
「余計なものは見ない」を徹底することに限ります。

5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけは、
まさに余計なものを観ないための環境整備。

わずかな隙間時間についついスマホを
見てしまうのも、時間の有効活用どころか、
「寸暇を惜しんで脳のエネルギーを消費している」
という状態に陥っているのだそうです・・。

ちゃんと脳の仕組みを知っておくこと、
大事ですね。

自力と他力

高野山で、”自分の拠りどころを見つめる”
豊かな時間を過ごし、1週間が経ちました。

分刻みで慌ただしく過ぎていく日常は、
思考が常に動いていますが、
高野山の時間は、「今ここ」に
瞬間瞬間向き合える、とても贅沢な時間でした。

朝の勤行から始まり、お坊さんのお話、
そして阿字観という名の瞑想。
高野山の空気は澄んでいて、
緑が美しく、青い空がまぶしい。
手入れされた宿坊、庭には、
人の想いが込められています。

1200年前、この地を拓いた
空海さんの想い。

3月に室生寺に行った折、
何百段もある階段を自力でゼイゼイと
言いながら登りましたが、
その先に待っていて下さっていたのは、
絶対他力の阿弥陀如来でした。

自分でやるのは、達成したときの
充実感がありますが、
絶対他力とは、ただ信じて委ねること。
しかし、その方が圧倒的にレベルが高いのですね。
自力の先には他力がある。

これまでの人生、自分が頑張れば何とかなる!の、
「馬車馬系」で来ましたが、
大いなるものに「委ねる」ことも大切だと。
そんなことを思った、高野山での時間でした。

生産性向上、働きがい向上の鍵(コラム2017/08/01)

生産性向上、働きがい向上の鍵は、組織への愛着心!

2012年の調査で、グローバルコンサルティングファームのタワーズワトソン(NYSE,NASDAQ: TW)は、『持続可能なエンゲージメント(会社への自発的貢献意欲の持続性)が会社の業績に影響する』ことを明らかにしました。

出典: Towers Watson’s Global Normative Database

エンゲージメント(engagement)の文字通りの意味は、「約束」や「婚約」ですが、経営用語としては、「個人と組織が共に成長する関係」を表現する言葉として使われています。
また、昨今では、ユーザーとブランドとの結びつきや、商品を購入する前後の関係性を重視する姿勢を背景に、マーケティング分野で注目を集めています。

従業員のエンゲージメント」は、【会社の存在価値や事業の方向性に対する共感】を物差しとして従業員の現状を把握する概念で、会社の成長に対する従業員の自発的な貢献意欲の度合いを示しており、具体的には、以下の3点で構成されます。

1.会社の方向性に対する理解(組織の目指す方向性を理解しそれが正しいと信じている)
2.帰属意識(組織に対して帰属意識や誇り・愛着の気持ちを持っている)
3.行動意欲(組織の成功のため、求められる以上のことを進んでやろうとする意欲がある)

タワーズワトソンの調査では、従業員エンゲージメントを “継続的に高く維持する” ための要件を検証し、エンゲージメントに影響を与える要素を明らかにしました。
その結果、日本においては、トップ5に以下の項目が挙げられました。

1.ストレス、作業負荷のバランス 
2.企業の社会的認知や使命
3.直属上司との関係
4.会社目的や目標に対する共感
5.福利厚生

(以上、『グローバル・ワークフォース・スタディー』より抜粋引用)

かつては会社に対するロイヤルティ(忠誠心)が高いと言われた日本人ですが、行き過ぎたロイヤルティは社員の自立や多様性、革新を疎外します。
イノベーションや自発的な改善が求められる現在は、ロイヤルティではなく、「エンゲージメント」が重視されるようになりました。エンゲージメントは、メンタルヘルス対策に積極的に取り組むための組織運営に最も求められるキーワードでもあります。

様々なエンゲージメント調査によれば、会社や会社のメンバーに強い絆を感じ、共感、愛着、帰属意識を持って情熱的に仕事に打ち込んでいるエンゲージメントの高い従業員は、そうでない従業員に比べて、生産性が20%、努力の度合いが57%、定着率においては87%も高まることが分かっています。従業員エンゲージメントの高い企業の営業利益率は、そうでない企業と比べて約3倍高かったことも分かっています。

エンゲージメントの高い従業員は、会社の目指す方向を理解し、会社のメンバーと一緒に働くことを誇りに思い、会社の成長・発展に貢献したいという強い気持ちを有して自発的に考え、行動します。さらに、定着率が高く、会社を良くする(業績、風土改革)ことに意欲です。

正社員だけでなく、多様な働き方の社員のエンゲージメントを高めるためには、以下がポイントになるのではないでしょうか。

1.働きやすさ
適材適所、業務に集中できる、ライフステージに合わせた働き方を選択できる
2.処遇納得度(評価や報酬の透明性と納得度)
3.コミュニケーション(他部署、上司含めて社内の風通しが良いか)
4.参加・参画度(自己重要感、承認欲求が満たされる仕組み)
5.やりがい・自己成長(ステップアップの仕組みと支援、褒賞)