法相宗の大本山薬師寺と、
律宗の総本山唐招提寺。
仏教興隆のために人生をかけた、
玄奘三蔵と鑑真和上のお心に触れるため、
先日、訪れました。
ジープ島から戻って以来、
「息」の大事さを感じていますが、
この「息を磨く」とは、そういう場所に身を置き、
先人のお心に触れることでもあるのだなあ、と。
また、日々を丁寧に生きることも、、
何かの変化をもたらすのかもしれません。
丁寧といえば、
染織家で紬織の人間国宝、
志村ふくみ氏の「一色一生」の言葉。
『自分の色というものは、
たった一つしかないのかもしれません。
それを求めてもらいたいと思いますね。
一つしかない色だけど、喜びや悲しみなど様々な感情、
刺激によって輝いていく。
その色に出逢うための人生じゃないですか。
それと同じように、
人の人生も織物のようなものだと思うんです。
経(たて)糸はもうすでに敷かれていて
変えることはできません。
人間で言えば先天性のもので、
生まれた所も生きる定めも、
全部自分ではどうすることもできない。
ただ、その経糸の中に陰陽があるんです。
何事でもそうですが、織にも、
浮かぶものと沈むものがあるわけです。
要するに綾ですが、これがなかったら織物はできない。
上がってくるのと下がってくるのが
一本おきになっているのが織物の組織です。
そこへ緯(よこ)糸がシュッと入ると、
経糸の一本一本を潜り抜けて、トン、と織れる。
私たちの人生もこのとおりだと思うんです。
いろんな人と接する、事件が起きる、何かを感じる。
でも最後は必ず、トン、とやって一日が終わり、朝が来る。
そしてまた夜が来て、トン、とやって次の日が来る。
これをいいかげんにトン、トン、と織っていたら、
当然いいかげんな織物ができる。
だから一つひとつ真心を込めて織らなくちゃいけない。
きょうの一織り一織りは
次の色にかかっているんです』。