働き方改革〜「オフィスも働き方改革(2)」(コラム2017/07/13)

オフィスも働き方改革(2)

 オフィス環境は生産性向上のためのインフラです。生産性向上の変数としての要素を「オフィスの壁面カラー」「光・照明」「香り」「アイデア創出」「レイアウト」等に分けて、あるべきオフィス環境を考察してみます。今回は「オフィスの壁面カラー」「光・照明」の2項目に焦点を当てます。

■オフィスの壁面カラー
 一般的にオフィスの壁面はグレー系やホワイト系で統一されているのが多く見受けられます。常に私たちは無意識に色に影響されているのはご存知でしょうか?例えば、グレーは光が跳ね返ってくる反射率が24%しかなく、光に乏しい色です。反射率の低いグレーは人のやる気を生み出す心理的モチベーションを与える光を実に76%も奪っているのです。逆に、和室に多いベージュという色は、反射率が50%と、人間の肌色と同じ反射率でもあり、程よく光を与えてくれるので、筋肉も緩和されて穏やかな心地にさせてくれる心理効果があるのです。
 1970年代のイギリスのある工場では、女性の欠勤率が高いことが悩みの種でした。そこである時、工場の壁の色をグレーから明るいベージュに変えて見ると、休む人が減り、さらに事故も減ったと言う報告があります。色は私たちの気分やその場の雰囲気を変えるだけでなく、仕事の生産性にも影響を与えていることがわかります。

 米テキサス大学の研究者Nancy Kwallek氏は色が生産性に与える影響を調査するため、被験者を3つのグループに分け、赤、白、水色それぞれの部屋で与えられた作業を同じように完成させる実験を行いました。そのうちさらに被験者を2組に分け、何人かを壁の色が見えにくいように高い仕切りで囲い、残りの何人かを壁の色が見えるように低い仕切りで囲って作業をさせるようにしました。実験の結果、赤い部屋では高い仕切りで囲われた人の生産性に影響はなかったのに対して、低い仕切りで囲われた人は赤色によって生産性が妨げられる傾向にありました。しかしこの両組とも白色の部屋では仕切りの高さに関係なく、他の色の部屋より多くの作業ミスが見られたのです。「白は人の生産性を妨げるのにもかかわらず、ほとんどのオフィスが壁に白やオフホワイト、またはグレーを使っている。」とKwallek氏は言います。「研究の中には、働く人の大多数が青や青緑色の環境を好むという結果も出ている。」青や水色は私たちに良い影響をもたらすようです。
⬛壁面カラーと心理的影響の相関

参照:http://hackletter.com/?p=2833

 一方、著名な心理学者のAngela Wright氏によると、心理状態に影響するのは色の強さで、色そのものではないと指摘しています。同氏は「刺激的な印象を与えるか、それともリラックスさせるかを決めるのは、色そのものではなく色の強さです。強く濃い色は興奮感を与えて、薄い色は人を落ち着かせる」と解説しています。

 下図はこのコンセプトをうまく表しています。

A Year of Productivityとのインタビューで、従業員の仕事の種類にどの色が適しているかをWright氏は色ごとに分類しています。

・青色ベースで、一部にオレンジ色が差し色となっているものは心の仕事に適している。
・黄色は創造力をかきたてるので、デザイナーに最適。
・赤色は肉体労働を伴う職業に最適。
・緑は会計士や金銭に関わる全ての職種に適している。

 このように色を壁面、アクセントカラーに上手に取り入れていきましょう。

■光・照明
 窓に関するドイツの法的な事例を紹介します。ドイツの職場規制では職場における労働者の安全と健康のための目標が設定されています。この規制の中に技術的な規則としてASRがあり、労働社会、連邦省で公表されています。 ASRのA.3.4Beleuchtung(ライティング1)に以下の記載があります。

・職場における自然光の影響は、従業員の健康と安全のために必要である限り考慮されます。
・職場は、可能な限り十分な自然光が得られなければなりません。自然採光は照明が人工照明よりも好まれます。
・自然光は、一般に人々の健康と幸福にプラスの効果を持っています。

また、A.3.4Beleuchtungの元になったドイツの社会障害保険発行の
「BGI / GUV-I 7007 02/2008職場の昼光-高まるパフォーマンスと健康- 企業の実践のための実用的なガイド」は、主に中小企業向けに目的とされたもので、以下の記載があります。

・「外部への視覚的なつながり」はもはや明確な決定がされていなくても、それが従業員の幸福のために非常に重要です。
・従業員は仕事場で外を見ることができるようにすべきです。また打合せ室や休憩所でも外を見ることができるようにすべきです。

ドイツではこのように、窓からの採光と、窓からの眺望の重要性が就業規則に記載されています。ドイツには省エネ基準の前提条件として、窓がしっかり使われるベースがあります。

具体的に窓から6m以内を採光がとれる状態とし、主たる職場環境(個室)を定めています。
※参考文献:『窓の生理的・心理的効果とその魅力』板硝子協会 建築環境WG 2016年1月

 わが国では労働安全衛生規則 第四章 採光及び照明(第六百四条-第六百五条)でつぎのように規則が定められています。

(照度)

第六百四条 事業者は、労働者を常時就業させる場所の作業面の照度を、次の表の上欄に掲げる作業の区分に応じて、同表の下欄に掲げる基準に適合させなければならない。ただし、感光材料を取り扱う作業場、坑内の作業場その他特殊な作業を行なう作業場については、この限りでない。(表)

(採光及び照明)

第六百五条 事業者は、採光及び照明については、明暗の対照が著しくなく、かつ、まぶしさを生じさせない方法によらなければならない。

2 事業者は、労働者を常時就業させる場所の照明設備について、六月以内ごとに一回、定期に、点検しなければならない。

 ドイツと日本では、自然光に対する認識が全く違うことに驚かされます。自然光による効果はあらゆる調査で有効性が認められています。ピースマインド総合研究所では、A社(Webシステム開発企業)とB社(コンサルティング企業)2社の従業員88名に対して調査を行いました。太陽光を反射させて室内に取り入れる採光ブラインド「ソーラーガイドシステム」をオフィスに設置。設置前と設置後における「生理面・心理面のストレス評価」を、4つの手法を用いて調査しました。太陽光を取り入れたオフィス環境は、従業員のストレス値を全体的に減少させ、特に「職場環境」をストレス要因と感じる意識が減少、「全体的な気分」「活気」が改善しました。また、健康さへの感覚、仕事のパフォーマンスにも改善傾向があります(下図)。

 一方、「人間関係」「仕事以外の日常活動」「抑うつ」「イライラ」「疲労」「身体愁訴」などの項目においては、十分な改善傾向が見られていないようです。しかし、「太陽光によってストレスが増えた」「気分が悪化した」といったマイナスの結果は出ていません。

 教育施設については、自然光と学習に対する集中力やストレスの度合い、出欠席率の関連性が海外で数多く調査されています。 例えば、ある調査によると、自然光を取り入れた教室の学生では、窓のない教室の学生よりも、疲労の減少や出席率の増加が見られるようになったとのことです。
※参考文献: Report The distinctive benefits of glazing

 病院建築の設計において、自然光の効果と患者の健康改善効果の関係性が調べられています。日当たりの良い方位の部屋は日当たりの悪い部屋に比べて、患者の滞在期間が短いというデータがあります。また、手術後の回復に関してもある実験で明るい病室と薄暗い病室に入院している患者を比較し、明るい病室の入院患者の方が必要な鎮痛剤の量が21%少なくて済んだという報告があります。
※参考文献: Report The distinctive benefits of glazing

 以上の通り、人間は自然光を好み、自然光がない部屋ではストレスを感じて生産性に影響を与えます。さらに、最近の研究では、科学者Mirjam Muench氏によって人工光が人々に睡眠を促す即効性があることも証明されています。
「夕方の時点で、日光に当たった人のが明らかにがさえていました。深夜の時点では、人工光に当たった人の方が明らかに眠そうでした」(Mirjam Muench氏)。
 つまり、窓が多い場所に従業員を配置することはとても有益である、ということがわかります。自然光は光熱費のかかる人工光に比べて光熱費ゼロであり、敢えて壁で自然光を遮ることはコスト、生産性の面でムダであり、人間中心のオフィスでないといえるのです。

藤井聡太四段にみる教育改革の視点(コラム2017/07/01)

藤井聡太四段にみる教育改革の視点

破竹の勢いで最年少棋士・連勝記録を更新している藤井聡太四段の強さについて様々な報道がされていますが、先日のテレビ番組で面白い解説がありました。

対戦した棋士によれば、藤井四段の将棋には「ここが明らかに弱い」という弱点がなく、相手の機先を制する指し回しが特徴のようです。そして、差し回しの斬新さがAI将棋に似ている、と評されていました。
人間である棋士は、劣勢に立ったとき、負けるリスクに怖さを感じて守りに集中するそうですが、藤井四段は、怖さを感じていないかのように、先手必勝で攻撃してくるとのことでした。
その藤井四段の将棋が変わったのは、AI将棋を研究し始めてからのようです。
AIの良さと定石の良さを組み合わせたのが藤井四段の将棋、と解説されていました。

この話を聞き、アジア選手権女子シングルスで世界ナンバーワンの中国選手に勝った平野美宇選手の卓球を思い出しました。
中国選手に勝って世界一になるために彼女が取り組んだのは、相手の攻撃に攻撃で応戦する卓球とのことでした。試合をテレビで観戦しましたが、かなりのスピードで打ち合う攻撃的な卓球で迫力がありました。
これもまた、新たな時代の卓球スタイルと言えるのでしょう。

戦う土俵は異なりますが、彼らはイノベータであることが共通しています。

日本は今、既成概念を変えるイノベータを育てる教育に舵を切ろうとしています。
それが、「2020年問題」と言われる教育改革・教育再生で、その目的と目指す能力は以下のとおりです。

教育改革の目的:
1. 個々人の自立や協働に必要な主体的、継続的な力の育成
2. 社会を生き抜く力の養成
3. 世界で活躍できるグローバル人材、イノベーション人材の育成
4. 未来への飛躍を実現する人材の養成
5. 誰もが教育機会へアクセスできる環境の整備

◆学力の3要素
1. 知識・技能の学力(知識技能を備えているだけでなく、適切に活用できる力)
2. 思考力・判断力・表現力(正解のない問題を解決する力)
3. 主体性・多様性・協働性(ありたい姿を明確にして、多様な人との協働を通して
社会に貢献する力

2017年現在、改革の全容は確定していませんが、学習指導要綱や教科書制作においては、すでにその内容が反映されています。授業スタイルとしては、「教える授業」から「考え、探求する授業」への移行が進んでおり、すでに全国の高等学校、大学で「アクティブ・ラーニング」を導入した授業が行われ、小中学校でも同様の動きがあります。

アクティブ・ラーニングとは、生徒がお互いに協力しながら学ぶ学習方法で、体験学習・問題解決学習・調査学習ど主体的な討論やグループワークによって探求を深めます。

中でも、秋田県はアクティブ・ラーニングを取り入れた授業にいち早く取り組んでおり、ある中学では、英語授業を生徒が企画し、生徒が作成した教材を使ってデモ授業を実施。他の生徒から評価を受ける探求型授業を行っています。

そして、大学入試問題も大きな変革が検討されています。2020年からは、教科ごとの試験に「合教科・科目型・統合型」による試験を加えることが検討されており、理系の問題に文系の要素が加わるなど、総合的な学力が問われるようになります。

また、文部科学省の中央教育審議会が公表している内容には、「小論文」「面接」「集団討論」「プレゼンテーション」「調査書」「活動報告書」「資格・検定試験などの成績」「各種大会などでの記録」などを入試に活用する方針も打ち出されています。  この改革の本質は、評価ポイントが「どれだけの知識・技能を有しているか」から、「どれだけの知識・技能を主体的に活用できるか」に変わることです。

◆教育改革の背景

 教育改革の背景にある大きな要因として、以下3点が指摘されています。

1.グローバル化、世界の変化への教育的対応

2.日本の人口動態(少子高齢社会における生産年齢人口の減少)

※生産年齢人口:年齢別人口のうち労働力の中核をなす15歳以上65歳未満の人口層

3.世界のGDPに占める日本の割合の低下

つまり、大きく変化する世界情勢の中で、少子高齢社会に突入している日本の活力を維持するためには、社会課題を設定し、周囲を巻き込んで解決策を試行錯誤できる探求型人材が必要になっているのです。

◆組織内の人材開発に与える影響は?

藤井四段は、中学の教師に対して「授業を理解しているのに、なぜ宿題が必要なのか?」を問い、宿題の意義について30分間のディスカッションを行い、意義を納得して宿題に取り組むようになったそうです。すでに、教育改革が目指す21世紀型教育を受けた人材が社会に出始めています。

彼らは、従来の考え方や仕事の進め方などの既存の常識に対して本質的な意義を問い、問題提起を行う傾向があります。そして、組織方針の背景にある考え方や行動の目的を明示しないことに違和感を覚えるでしょう。彼らの能力を引き出すためには、これまで以上に社内の対話やフィードバックが重要になります。半期に一度の考課フィードバックではなく、日々の仕事の中で頻繁なフィードバックを行い、彼らの課題感を引き出し、部門や階層を越えたフラットな対話ができる場を設定することにより柔軟な発想を活かすことができます。

今後、改革型教育を受けた人材が社会に輩出されることになりますが、彼らを受け容れる会社、先輩社員が、従来の考え方、働き方や評価方法に固執していると、彼らの能力を伸ばすことが難しくなります。

教育の変化に伴い、組織における人材開発のあり方も変化することを求められるのではないでしょうか?

働き方改革〜「オフィスも働き方改革(1)」(コラム2017/06/20)

オフィスも働き方改革(1)

世の中の進歩は著しく、変化に対応していくためにも、企業には新たな製品やサービスを求められています。一日中パソコンに向かい合って、アイデアは出てくるでしょうか。様々な場所に行ったり体験したりしたことや、知らない知識を得たり、いろんな人に出会い話をしたことなどと、自ら持っている知識と関連づけされて、アイデアとなるのです。従来型での個人が埋没するオフィス環境では交流も雑談も少なく、創造性を発揮することは困難です。

科学ジャーナリストのスティーブン ジョンソン(米国)はTEDプレゼン「良いアイデアはどこで生まれる?」で次のように述べています(2010年9月)。

「私たちは人からアイデアをもらいます。コーヒー店で偶然会った人からアイデアをもらって、新しい形態に縫合して、新しいアイデアを生み出します。そうやって革新が起きるのです。つまり革新や熟考とは何かについての概念を一部変える必要があります。熟考といえばこんな姿でした。こちらはケンブリッジ時代のニュートンとリンゴです。像はオックスフォードにあります。座って熟考したり、リンゴの落下を見て万有引力の法則に気づいたりします。でも、歴史的にみると革新を生み出す空間とは、実はこのような姿をしています。酒場での政治的な集まりをホガースが描いたものです。当時のコーヒー店もこのような様子でした。混沌とした状況でアイデアが飛び交い、さまざまな立場の人が集まって、新しく面白く予測不能な衝突が生まれていそうです。より革新的な組織を作りたいなら、変に思えてもこれに少し似た空間を作ったほうがいい。皆さんのオフィスをこうしたほうがいい。それが私のメッセージです。」

これから言えることは、創造性を発揮するには、異質な人同士の交流や雑談が起点となることです。

それを実現するオフィスのあり方について、「20のアイデア」を紹介します。
■オフィス活性化(創造性の発揮)のための20のアイデア

① フリーアドレス制にする
② 開放的なミーティングスペースを設ける
③ リフレッシュスペースを設ける
④ 他社と共同利用できるオフィスを設ける、または賃借する

⑤ オフィスレイアウトを変形、多角形にする
⑥ 部署間の仕切りをなくす
⑦ 音楽部屋やハンモックを導入して、従来のオフィスの枠を外す
⑧ 時間帯によって変化するBGMを導入する
⑨ 自然光が降り注ぐナチュラルルームを設ける
⑩ サテライトオフィスを設置する
⑪ バランスボールを椅子にする
⑫ スタンディングデスクを設置する
⑬ 昼食の一部を負担し、より美味しい昼食メニューを提供する。あるいは従業員同士の対話を促進するため、同僚との昼食代の一部支給する
⑭ 社員食堂のレイアウトや什器を利用人数によって変更できるようにする。またはカフェ風に変更する
⑮ ミニ図書館スペースを設ける。様々な雑誌を定期購読する
⑯ 打ち合わせの場としてのキッチンを設ける
⑰ 観葉植物をふんだんに取り入れる
⑱ ロビーをサロンとして開放する
⑲ ロビーを個展スペースとして一般開放する。または社員のアートの発表の場とし、仕事以外の創造性を発揮させる
⑳ 近くのカフェと提携しコスト負担し、打ち合わせの場として提供する

またアドビは、創造性が企業業績に大きな影響を与えるという調査結果を発表しています。主な調査結果は以下のとおりです。

「創造性を重視する企業は、収益、市場シェア、競争優位性の点で競合企業を上回っていることが判明」

・ 創造性の向上に取り組む企業は、同業他社より高い増収率を達成
:本調査では創造性の向上に取り組んでいる企業の 58%が、2013 年度に前年度比 10%以上増の増収率を達成しています。これとは対照的に、創造性の低い企業で前年度比 10%以上増の増収率を達成したのはわずか 20%に留まっています。
・ 創造性の高い企業ほど市場シェアが高く、競争優位を確保
:本調査から、創造性の高い企業ほど市場シェアも競合他社より高く、市場のリーダーとしての地位を築いている傾向があることが明らかになりました。市場シェアが高く、市場のリーダーとしての地位を築いていると回答した企業のうち、創造性の高い企業は創造性の低い企業の約 1.5 倍です。
・ 対象者の大半が創造性の向上により好影響がもたらされると回答しているが、自社の創造性については「高くない」と回答した企業が全体の61%を占めている
:自社の活動が、クリエイティブだとすぐにわかる企業とクリエイティブな企業とまったく同じであると答えた企業は、11%に過ぎませんでした。51%の企業は、自社はどちらとも言えない、あるいはクリエイティブな企業と同じではないと答え、10%は、自社の活動は実際には、クリエイティブな企業とは正反対であると考えていました。
・ 創造性の高い企業ほど働きがいのある企業として評価されている
:従業員にとって快適な職場環境は、創造性を育む「肥沃な土壌」です。創造性の高い企業の 69%が国内で「働きがいのある企業」として評価・表彰されたことが明らかになりました。創造性の低い企業でこのような受賞歴があるのはわずか 27%でした。

出典:http://blogs.adobe.com/japan-conversations/creativedividend/

アメリカのグーグル、アップル、アマゾンなどの成長企業の共通点は創造性の高さに尽きます。その仕掛けとして、人間性重視の企業風土、ICTの活用、クリエイティブなオフィス環境があります。生産性を高めるICTやクリエイティブなオフィス環境はコストでなく、投資と捉えています。

但し、資金の限られた一般企業にとっては最先端のオフィス環境を作るのは厳しいものです。経済産業省では、2007年よりクリエイティブ・オフィス推進運動実行委員会を設置し、知識経済化の進展を背景に、その担い手である企業組織が柔軟かつ活動的に生産性・競争力を向上させ、個人の能力の質を向上させるためのオフィス環境を構築すべく活動を行っています。

(社)ニューオフィス推進協議会では、クリエイティブ・オフィスの定義を次のように述べています。
「クリエイティブ・オフィスとは、知識創造行動を誘発する、空間・ICTツール・ワーカーへのはたらきかけ(3つの加速装置)と、組織の目標とプロジェクトのゴールに向けたマネジメント(駆動力)の双方を備え、組織の創造性を最大限に発揮するための働き方に適した「場」を指します。こうしたクリエイティブ・オフィスを実現することにより、「12 の知識創造行動」の連鎖からなる知識創造サイクルが回り、組織は目標に向けて成長・進化します。加えて、コミュニケー ションの活性化、モチベーションの向上、目標・理念の共有促進といった効果が生み出されます。クリエイティブ・オフィ スの実現がもたらすこうした効果の結果として、企業の競争力や業績の向上がもたらされると期待されます。」
※ クリエイティブ・オフィスの考え方は、野中郁次郎氏が提唱した組織的知識創造理論・SECIモデルの考え方をベースにしています。

図1 「12 の知識創造行動」
図2 創造理論・SECIモデルの考え方
参照:
http://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/consumergoods/downloadfiles/flow_diagram.pdf

12の知識創造モデルをオフィスでの行動の例としたものが表1です。
表1 12 の知識創造行動のモデル

参照:
http://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/consumergoods/downloadfiles/H21_office_report.pdf

(社)ニューオフィス推進協議会の知恵や事例をオフィスづくりの基盤としたいものです。また諸外国のオフィスづくりの先端企業からも学ぶべきことが多く、これらに触発されながらオフィスの働き方改革を進めていくとよいでしょう。
次回では、クリエイティブ・オフィスの具体例やオフィス環境づくりのノウハウを紹介します。

働き方改革「テレワーク」(3)(コラム2017/06/12)

働き方改革「テレワーク」〜(3)在宅勤務のエッセンス

テレワーク導入企業の多くが生産性向上を認めているように、集中してデスクワークを行うには、電話や上司や同僚との会話などで中断されることが多いオフィスより、誰にも邪魔されなく静かな自宅の方がはかどるのは自然です。在宅勤務では誰かに見られているわけでもないので、自己管理をしっかり行うことが必要です。そのためには、モチベーション、時間の管理、障害の排除、部屋の環境などをきちんと構築することです。
これらのノウハウを5つ紹介します。

1. やり始めることが先で、モチベーションは後
2. 前日にタイムスケジュールを作成しておく
3. 障害を排除する
4. 仕事がやりやすい環境をつくる
5. 他社の社員から学ぶ・模倣する

1. やり始めることが先で、モチベーションは後
人間の脳には「作業興奮」という仕組みが備わっていると言われています。これにはアメリカのレナード・ズーニン博士という心理学者が提唱した「ズーニンの法則」があります。最も簡単な「やる気アップ法」で、面倒なことでも最初の4分間さえ乗り切れれば、あとはスムーズに進めることができるというものです。
例えば掃除はしたくないと思っても、いざはじめて見ると段々とのり始め、いつの間にか熱中してしまうものです。たいていの人は勉強も仕事も運動も、最初はなかなかエンジンがかからないのが常です。しかし体からいざ動き始めると、何でもやってのけます。つまり物事はやり始めることが大切で、後は慣性の法則でやり続けるだけのことなのです。
やる気というモチベーションをあれこれ悩んだり、様々な手法を試みるより、「まず4分だけやってみる」「とにもかくにもやり始めること」を仕事のスタートとすることです。日々習慣化するために、壁には「たった一つの自分との約束:4分だけやってみること」を標語として貼り、マイルールにしましょう!

2.前日にタイムスケジュールを作成しておく

事前準備として、在宅勤務の前の日にやるべきことを書き出して1日のタイムスケジュールを作っておきます。そうすることで、朝からスタートダッシュできます。仕事のスピードはどれだけ早く手をつけるかにかかっています。早期着手により、タスク全体の納期も早い段階から把握でき、スケジュール管理が容易になります。加えて進捗管理が計画的になり、上司への報告も具体的かつ正確性も有します。目標達成度を高めるために、進捗管理として壁にスケジュール表を貼り、達成の都度、マーカー処理しましょう。たったこれだけのことで、脳を刺激し達成感を味わい、さらに「がんばろう!」という意欲が増してきます。

3. 障害を排除する
せっかく仕事に集中できたのに、メールやスマホが気になって中断するケースも多いものです。通常であればメールチェックは1日2~3回で十分です。時間を決めてそれ以外はチェックしないようにします。また集中力を阻害するスマホは別の部屋に置き、昼の休憩時間だけ使用するルールを守ることです。一旦スマホを覗くと、仕事とは関係のないSNSやネットサーフィンに入り込んでしまうため要注意です。

デスクの上は、処理する仕事に関係する書類だけ置き、一つの仕事をやり終えたら書類は全て片付けてから、次の仕事に取り掛かる「ワンオペルール」とします。関係のない書類が混ざるとミスや紛失につながり、ムダな仕事時間が増えてしまいます。

4. 仕事がやりやすい環境をつくる
(1) 部屋のレイアウト
集中できる部屋の配置で大切なことは、背中の向き方が重要です。これは人間の無意識の防衛本能によるもので、背中に空間が広がると集中できないと言われています。入り口のドアが視線内に入ることも大切です。後ろにあると、ドアが気になり、注意力が散漫になるからです。部屋で机の配置を考える時には、背中を壁に向けドアの入口の方へ向いて仕事をすると良いでしょう。机は本棚が目の前に付いていないものをお勧めします。目に本や漫画、ベッドなどが入ると、どうしても気が散ってしまうので、最初から視界に入れないようにします。また机を壁にくっつけて置いてみると、前に大きな壁があり、それが圧迫感を生みます。その圧迫感が心の中に抑鬱感生み、それが憂鬱感につながっていくといわれています。押入れをデスク代わりにすることはNGです。

座る位置のポイントは「採光」で、最も仕事や勉強に適している机の配置は、「窓を左側にした配置」です。このように座ると、太陽光が左から入ってくるので右利きの場合、勉強する際に手元が明るく、影が邪魔になりません。電気スタンドなどを使うときも同じように左側におきます。ちなみに左利きの場合は逆になります。また窓に向けて机を置くと気が散ってしまって勉強ができないという調査結果もあります。ちなみに集中力を高める色はブルー系やグリーン系の寒色系が良いとされています。カーテンなどに用いてみましょう。
参照:NHKテストの花道「徹底活用シリーズ第3弾 “場所”」
https://www.nhk.or.jp/hanamichi/p2012/121217.html

(2) 仕事とプライベートの環境を分ける
プライベートとのメリハリをつけるため、リビングで仕事をする際にはリビングのシャッターを閉めたり、パーテーション等で仕切ることです。これにより在宅の気配がなくなり、仕事に集中できます。

(3) デスクや椅子への投資
デスクにキャスターをつけると、移動が簡単になり普段は壁際に置いて洗濯物の片付けなどの作業台にし、仕事の時だけリビングの窓際に移動してデスクワークができます。
デスクワークは1日中、座り放しだと腰に負担がかかり、健康上良くありません。高さを変えられる昇降デスクにすると、立ったままで仕事ができ、脚のむくみなども軽減でき、肩こりや背中の痛みもなくなります。さらに眠気もなくなり、仕事に集中する時間が増えます。その上、無意識に余計なサイトを閲覧することがなくなることも利点です。

出典:afpbb.ismcdn.jp

立ちデスクワークの場合、パソコンはちょうどいい高さにできるモニターアームを使用します。

座る場合の姿勢も重要です。フットレストを置くと正しい姿勢で座ることができます。また長時間座っても疲れない高機能の椅子を購入してみることも在宅勤務を快適にするための投資です。

5.他社の社員から学ぶ・模倣する
在宅勤務を効率良くする工夫やコツは他社の社員から学び、模倣することが生産性を向上する早道です。

【在宅勤務、効率アップの工夫やコツの例】
●始業・就業時間、子供の送迎などの中抜け時間、仕事内容などの予定を同僚に事前にしらせておく
●資料作成、企画立案などに集中できる時間を確保しておく
●同僚と週間予定を共有、チームの仕事を「見える化」する
●メールやチャットのやり取りをダラダラと続けない
●家事などは休憩時間にまとめて済ませる
●メールでのやり取りする時間より電話や直接会って話すほうが早い場合は後者を選択する
●出勤する日と同じ時間に起きて、ひげを剃り、身だしなみを整える
●職場のメンバーに、何時までにどの業務を終わらせるとメールで周知し、自分にプレッシャーをかける
●家で社員証ストラップを着用し、家にいても仕事中だと子どもに分からせる
●在宅勤務の予定を事前に妻に知らせておき、外出を促す
●自室にこもり、入室禁止にする
●休憩時以外は私用スマートフォンの電源を切る
●普段の職場環境に近づけるため。静かになりすぎないよう音楽をかける
●職場のメンバーとのコミュニケーションをスムーズにするため、1時間ごとにタイマーをかけメールをチェック
※各企業の社員の取組事例から抜粋

出典:日本経済新聞(朝刊)2017年2月7日号
日本経済新聞(夕刊)2017年2月13日号

これらの5つのポイントを踏まえての在宅勤務により仕事とプライベートの両立を図り、ワークライフバランスを実現しましょう!

どんな社員も成長させる<若手社員の育成法>(コラム2017/06/05)

どんな社員も成長させる<若手社員の育成法>

最近、新入社員ではなく、OJTリーダーや先輩社員が5月病になるケースがあるようです。指示や教えたことを理解できない新入社員へのイライラを募らせてしまうためです。
そして、その結果、育成を諦めて放任する、感情に任せて叱責し、新入社員を離職させてしまうこともあります。

仕事を理解するスピードが多少遅くても、指示の理解度が低くても、素直、まじめ、一生懸命に学び、自身の行動を改善する姿勢があれば成長します。
しかし、自分なりの判断基準や持論にこだわり、指示やアドバイスを素直に受け止めないと、学びの機会と量が減り、成長スピードが遅くなってしまいます。

スタンフォード大学・心理学教授のCarol Dweck(キャロル・ドゥエック)博士は、このような状態を<Fixed mindset>(固定された思考態度)と呼びます。
博士の研究によれば、<Fixed mindset>を持つ人は、「人の能力や創造性は天性のものであり努力しても変わらない」と考えます。そのため、失敗を恐れ、挑戦を避けます。
一方、<Growth mindset>(成長する思考態度)を持つ人は、努力すれば成長することを信じているため、「学びたい」という意欲から、すべての行動が始まります。
そのため、挑戦を喜んで受け止め、逆境にあっても粘り強く耐えます。
そして、博士は、<Fixed mindset>を<Growth mindset>に転換できることを証明しています。

人財育成に当たる人は、自身が<Growth mindset>の持ち主であることが求められます。その上で、<Fixed mindset>の若手社員を育成する際には、相手の成長を信じ、粘り強く係わり、育成方法を工夫していただきたいものです。

<Fixed mindset>の若手を育成する際の留意点は、以下のとおりです。

・わかりやすい指示・説明と確認
・スモールステップで成功体験を積ませる
・適切なフィードバック
・ポジティブ表現を使う
・努力により大きく能力が伸びた体験談(事例)を話す

 

◆わかりやすい指示・説明と確認
忙しい現場では、指示や説明が丁寧とは言えません。
理解力の高い若手社員であればそれでも問題ありませんが、<Fixed mindset>を持つ社員は、自分なりの解釈をする傾向がありますので注意が必要です。
段階を踏んで話し、メモを見ながら復唱させ、意図どおりに伝わっているかどうかを確認してください。

◆スモールステップで成功体験を積ませる
  業務全体を説明して一気にやらせるのではなく、まず、確実にできそうな一部をやらせます。そして、指示した業務が完了した後に次のステップの指示を出します。
ダメ出しばかりではなく、「丁寧にやってくれて助かった」「早かったね」などのフィードバックと同時に改善点を指摘しましょう。

 

 

 

 

◆適切なフィードバック
フィードバックとは、ある行動に対する評価を伝えることです。
良かった点と改善点、次の段階に進むための留意点をセットにして伝えましょう。
一方的なフィードバックではなく、最初に本人に振り返りをさせ、その後に、こちらのフィードバックを伝えます。
そして、フィードバックは、行動の直後に行うと効果が高まります。

◆ポジティブ表現を使う
若手社員、特に新入社員に対しては、どうしても、できていないことを指摘する場面が多くなります。課題を向き合うのは大切なことではありますが、<Fixed mindset>を持つ社員は、課題の指摘を自分自信にNGが出されたと受け止め、学んで成長することを諦めてしまいます。また、脳は、否定形を理解しづらいと言われています。
課題を伝える時は、「●●を変えたらもっと良くなるよ」「●●はできているから、次は○○○に挑戦しよう」などとポジティブ表現で話します。
また、注意を促したい時も、「期限に遅れないよう提出すること!」というより、「○月○日の何時までに必ず提出」という表現のほうが理解されます。

◆努力により大きく能力が伸びた体験談(事例)を話す
<Fixed mindset>を持つ社員は、成功事例を聞くと「あの人は、元々能力が高いから私とは違う」と捉える傾向があります。
成功事例から学ぶことは大切ですが、うまくいったことだけでなく、「こんな苦労があった」
「以前は、○○さんもダメ出しをされることが多かった」など、課題を克服して成長した事例を話すほうが学びにつながります。


社員の成長スピードやマインドセットには多様性があります。
優秀だから伸びるのではなく、貪欲に学ぶ姿勢があるから伸びるし、その姿勢を作るのが育成を担う者の使命、と考えたいものです。

働き方改革〜「テレワーク(2)」(コラム2017/05/31)

働き方改革「テレワーク(2)」〜企業事例

テレワークは弊社においても、遠距離通勤や移動時間ロスのムダを解消し、社員のワークライフバランスを実現するために実施しています。Web上で作業できることは、出勤せずとも在宅勤務で遂行できます。
テレワークの導入目的は、

① 社員のワークライフバランスの向上
② 人材の確保
③ 育児介護期の社員の勤務促進
④ 遠隔地での雇用の実現
⑤ BCP(災害時等の事業継続)対策
⑥ 生産性の向上
⑦ コスト削減

です。
企業の利益の源泉はもちろん、モノやサービスですが、それを生み出すのは人財です。モノやサービスの付加価値向上にはどれだけ人財の持つ能力を最大限に発揮するかが求められています。働き方改革は企業活動を永続的に行うためにも必要不可欠です。その有効な手段がテレワークであり、特に①〜④の目的達成が企業経営を強固にするものです。

わが国ではテレワークが導入期でもあり、トライアルで始める企業が増え始めています。そこでテレワーク導入をうまく進めている企業の事例を2社紹介します。
(1) ユニリーバ・ジャパン
「WAA」は働く場所・時間を社員が自由に選べる制度です。
• 上司に申請すれば、理由を問わず、会社以外の場所(自宅、カフェ、図書館など)でも勤務できます。
• 平日の6時〜21時の間で自由に勤務時間や休憩時間を決められます*1。
• 全社員が対象で、期間や日数の制限はありません*2。

「WAA」の導入により、たとえば次のような働き方が可能になります(図1)。

図1

■ 導入の背景
ユニリーバは、ダイバーシティ(多様性)の推進を重要な経営戦略の一つと位置づけています。すべての社員が自分らしく働きながら、一つのチームとして最大限能力を発揮することが、ビジネス成長の基盤だと考えているからです。そのため、日本でも早くから採用・昇進の際の機会均等を徹底するとともに、多様な働き方ができる制度・環境の整備を進めてきました。在宅勤務制度やフレックスタイム制度は、性別や年齢を問わず、多くの社員に活用され、ユニリーバ・ジャパンの高い女性管理職(課長職以上31%、2016年6月現在)にも貢献しています。
(参照:ユニリーバ・ジャパンHP
https://www.unilever.co.jp/news/press-releases/2016/WAA.html)

(2) 日本IBM
■ One IBM
IBM はグローバルに加速するビジネスのスピードと競争環境の変化に対応するため、「One IBM」というスローガンを掲げ、世界140社以上ある法人のビジネスプロセスを一つに統合した企業形態である「Globally Integrated Enterprise( GIE、地球でひとつの企業)」の実現に向けて、経営変革に乗り出したのです。GIE によって、各現地法人の機能を統合し、「経営資源の最適化」を推進したために、社員は国を超えて仕事をするようになりました。
■ 導入の背景
IBMにとってのワークスタイル変革は、One IBMを実現するために場所と時間の柔軟性の確保が必要となったのです。
■ ワークスタイル変革のポイント
① 目的を明確にする
One IBMとなって仕事をするようになると、コミュニケーションをとる相手と時差や勤務場所の違いがあるため、深夜や早朝に業務を行ったり、Web 会議などで打ち合わせを行う必要が出てきます。それに対して IBM は、社員の勤務時間と勤務場所に柔軟性を確保することで対応しました。ここで留意すべきことは、企業がワークスタイル変革を考える際には、「ワークスタイル変革ありき」ではなく、会社としての目的をまず明らかにする必要があります。目的を明確にして、そのために制度やシステムを整備する、そういう順序で進めることが重要です。
② コミュニケーション基盤は皆が日常的に利用できるようにする
会えない社員とスムーズに仕事ができるようにするためには、コミュニケーションおよびコラボレーション基盤の整備が大変重要です。IBM では現在5種類のコミュニケーションツールを使って仕事をしています(図2)。


こうしたコミュニケーション・コラボレーション基盤は日常的に社員全員が利用することがポイントです。特定の事業部や役職者、在宅勤務者に限ってしまうと、使い分けが煩雑になり、蓄積される情報が限定され、やがて使われなくなってしまいます。皆が日常的に利用できるようにすることが極めて重要です。

③ 働く場所は仕事に応じて積極的に使い分ける
日本IBMでは現在、5種類のワークプレイス(働く場所)があります。

このように複数の選択肢が用意されており、社員には積極的に使い分けることが求められます。明確な目的意識を持って、毎日の仕事を自分で組み立て、どこで仕事をするのが一番効率的かを考える必要があります。仕事の内容は日々変わるため、上司が部下に指示するのは現実的ではなく、社員が自ら考え、使い分けないとうまくいきません。加えて、全社員に利用機会が公平に与えられることも重要です。そうでないと、テレワーク適用者が他の社員に気兼ねして、テレワークを使いづらくなってしまいます。

④ 自律的に仕事ができるように社員が意識を変える
日本IBM では、ワークライフバランスを重視し、人事制度を変えてきています。「仕事と生活のバランスへの考慮が必要」とした上で、勤務場所や勤務形態に柔軟性を認めるe-ワーク制度の推進やライフステージの変化をフレキシブルにサポートするさまざまな制度を通じて、社員のより良いワークライフバランスを促進しています。制度には、以下のものがあります。

勤務制度の運用では、会社よりも社員に多くのことが求められます。テレワークは自分一人で仕事をするため、結果を出すように自己管理が必要になります。IBM の経験上、自律的な仕事の仕方はキャリアが浅い場合には、かなり困難です。One IBMの変革を始めた当初はさまざまな試行錯誤がありましたが、10年以上経った今ではすっかり定着しています。その中で大きく変化したのが個々の社員と管理職との関係です。One IBM 以前は管理職が日常業務を管理し、業務目標を設定していましたが、現在はコーチングに徹しており、業務目標は社員と共に設定するようになっています。

■すべての出発点は会社を変えていこうという強い想いを持つこと
このようにワークスタイルを変えることによって、IBM の社員は効率的に仕 事ができるようになりました。例えば埼玉県の和光市に住んでいる社員が午後1時に四谷(東京都新宿区)でお客様と打ち合わせがあるとすると、以前は業務開 始時間に本社(東京都中央区)に出勤し、打ち合わせ後も本社に帰社していたため、通勤を含めて移動に約130分も費やしていました(図3)、しかし、池袋のサテライト・オフィスを使うようになってからは約70分で済み、約60分も移動時間を短縮できるので、明らかに一日の業務効率が上がります。

テレワークでは皆が利用できる機会と権利を持つ「公平性」や、災害時などの特殊な状況ではなく日常的に使う「慣れ」、諸制度や評価を含めたきちんとした「運用」が重要になります。これらを踏まえた上で、ワークスタイルだけでなく、経営戦略や企業文化、経営理念なども含めて総合的に見直していく必要があります。同時に社員から経営者まで全員が、自らを変える、会社を変えるという意志をもつことが重要です。
(参照:「IBMのテレワーク運用事例に見るワークスタイル変革のポイント」IBMコラボレーション・ソリューション)

この2社ともに働き方改革を経営戦略として位置づけており、単に手段だけが先行していないことに注目すべきです。目的意識が明確になればなるほど、目標達成は現実のものとなります。後日アップ予定の「テレワーク(3)」では実際の在宅勤務を上手く行っているビジネスパーソンの事例を踏まえて、在宅勤務のエッセンスをお伝えします。

働き方改革〜「テレワーク(1)」(コラム2017/05/18)

働き方改革「テレワーク」〜キーワードは「どこでもオフィス」

日本テレワーク協会によると、テレワークとは、情報通信技術(ICT)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のことです。テレワークは働く場所によって、自宅利用型テレワーク(在宅勤務)、モバイルワーク(顧客先や移動中に、パソコンや携帯電話を使う働き方)、施設利用型テレワーク(サテライトオフィス勤務:勤務先以外のオフィススペースでパソコンなどを利用した働き方)の3つに分けられます。
一般的な勤務制度では、朝起きて身支度し車や電車などの通勤手段を使って、コストや体力、時間を費やして職場に赴きます。果たして全員が出勤する必要性があるのか問い直すことです。もし通勤にかける時間をなくして、在宅勤務に切り替えたら、企業にとっては通勤手当、職場スペースや光熱費等のコスト削減に加え、在宅勤務者は電話や雑談等の仕事中断がなくなり生産性が向上します。在宅による子育てと仕事の両立、家事の平行処理、そして家族との会話も増え、親の介護も可能になります。
もちろんメリットばかりでなく、企業の情報漏洩のリスク増加、労働時間の把握が困難、コミュニケーション不足による隔たりなどのデメリットもあります。但し、できない理由から在宅勤務をやらないのではなく、メリットの効果の方が大きいことに注目すべきです。
総務省「平成 27 年通信利用動向調査」によると、テレワーク(在宅勤務、サテライトオフィス勤務、モバイルワークを含む)を「導入している」と回答した企業は 16.2%で、「導入していないが、具体的に導入予定がある」と回答した企業と合わせても全体の2割程度です(図表 4-1-3-1)。一方、テレワークを「導入している」と回答した企業にとって、テレワーク導入効果は「非常に効果があった」と「ある程度効果があった」を合わせて約8割の企業が「効果があった」と回答しています。

これらからテレワークの導入は6社に1社程度ですが、テレワークの導入企業の多くが導入効果を認めています。総務省の「地方創生と企業におけるICT 利活用に関する調査研究」(平成27年)からテレワーク導入企業の実現した効果と導入時の課題を抽出すると、下表の通りとなります。
■ テレワーク導入企業の実現した効果と導入時の課題

総務省「地方創生と企業におけるICT 利活用に関する調査研究」(平成27年)によると、テレワーク導入企業の5割以上が生産性・業務効率の向上を実現し、通勤・移動時間の短縮はもちろんのこと、3人に1人の割合で社員のワークライフバランスを実現しています(上位3項目)。テレワーク導入時の課題の上位3項目は「情報セキュリティの確保」「適正な労務管理」「社員同士のコミュニケーション」です。
「情報セキュリティの確保」については、それぞれ官公庁のガイドラインがありますので、リンク先をご参照ください。
→総務省の「テレワークセキュリティガイドライン(第3版)」
http://www.soumu.go.jp/main_content/000215331.pdf#search=%27テレワークセキュリティガイドライン%27
「適正な労務管理」については、労働基準局から手引があります。
→厚生労働省労働基準局労働条件政策課 「在宅勤務での適正な労働時間管理の手引」
http://nagasaki-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/library/nagasaki-roudoukyoku/kijun/201203/tebiki-12032901.pdf#search=%27適正な労務管理+テレワーク%27
「社員同士のコミュニケーション」については、次のようなICTを活用することです。

①シンクライアント・システム:ユーザーが使用する端末の機能は必要最小限にとどめ、サーバー側で処理を行う仕組み
②スマホの内線化
③チャットツール(テキストチャット・ボイスチャット)
④ビデオ会議・Web会議システム
⑤どこにいても「一緒に仕事」ができるコミュニケーションツール

コミュニケーションではツールによる情報化だけでなく、どうコミュニケーションを図っていくべきかに注力すべきです。
その解決策とは、
・日報の活用:1日の活動内容を「日報」に記入、それを上司からトップに至るまで、「「報・連・相」をウエブ上で行い共有します。
・各メンバーがツール上で、「◯時まで無理!」「○の場所で打ち合わせ中」「16時帰社予定」など、スケジュールや居場所を知らせたり、拒否メッセージを表示したりして、現在の自分の状況をわかるようにすることです。これによりコミュニケーションが円滑に進みます。
・「居場所」確認ツールでメンバーがどこにいるのか確認できるようにします。メンバーがいる場所がわかれば、探すムダがなくなり、コミュニケーションの選択(会って話す/電話する/チャットするなど)が即判断できます。
・上司と部下は定期的に面談することも大切です。人事考課に基づき、目標設定、能力開発、教育研修などを実施し、業務の進捗状況の把握からサポートを行うことで、常にメンバーが必要とされていることを認識し、より前向きに業務に取り組めるようにします。

以上のことを念頭に置いて、テレワークはまず導入しやすい職種から始めると良いでしょう。適した職種は「営業」「研究・開発」「システム関連」「顧客サポート」「企画・調査」などが挙げられます。次回のコラムでは実際の企業の導入事例などを紹介していきます。

若手世代の特徴と育成の留意点(コラム2017/05/02)

若手世代の特徴と育成の留意点

公益財団法人日本生産性本部が主宰する「職業のあり方研究会」では、例年、その年の新卒入職者の特徴や就職・採用環境の動向などについて調査研究を実施し、命名を行っています。
平成29年度新入社員の特徴とタイプは以下のとおりです。

平成29年度 新入社員のタイプは「キャラクター捕獲ゲーム型」
(日本生産性本部プレスリリースより転載)
キャラクター(就職先)は数多くあり、比較的容易に捕獲(内定)出来たようだ。一方で、レアキャラ(優良企業)を捕まえるのはやはり難しい。
すばやく(採用活動の前倒し)捕獲するためにはネット・SNSを駆使して情報収集し、スマホを片手に東奔西走しなければならない。必死になりすぎてうっかり危険地帯(ブラック企業)に入らぬように注意が必要だ。
はじめは熱中して取り組むが、飽きやすい傾向も(早期離職)。

秋の意識調査 2016年12月発表
【過去最高】54.6% 条件のよい会社があればさっさと移るほうが得である
【過去最高】37.8% 自分には仕事を通じてかなえたい「夢」がある
【過去最高】86.3% 残業が少なく、平日でも自分の時間を持て、趣味などに時間が使える職場が良い
【過去最高】61.5% 会社の親睦行事には参加したい
【過去最高】84.1% 子供が生まれたときは、育休を取得したい

以前から指摘されてきたことですが、会社に対するエンゲージメント(愛着)が低下し、離職・転職に対する抵抗感が減少する傾向は、年々強くなっています。
しかし、こうした全体的な特徴に当てはまらない若手社員も存在しますので、育成に当たっては、先入観を持たず1人ひとりの特徴をしっかり考慮して対応することが重要です。
今回は、上記を前提に、現代の若手社員の主体性を伸ばす育成について考察します。

この数年、内定者研修、新入社員研修を通じて感じるのは、「正解を求める」傾向が強く、パターン外の課題に対応する力が弱いこと、「ワークライフバランスを重視し、仕事を楽しみたい」と考える若手社員が増えたことです。

正解を求めるが故に、曖昧なことに対して自ら一歩を踏み出さない(正解のわからないことに主体的に取り組んだ結果、失敗したり間違いを指摘されたりして傷つきたくない)、楽しく仕事をしたいが故に没頭するような働き方をしたくない、という意識が働くように思います。

仕事を楽しむのは大切なことですが、試行錯誤して困難を乗り越える段階を経て【楽しい】領域に到達するのであって、「最初から最後までわくわく楽しい仕事」は存在しません。ゲームのように最初は熱中して取り組み、飽きたら次の楽しいことに取り組むという姿勢では、仕事で成果を挙げる楽しみに到達することはできないのです。

そして、仕事の現場では、早期に主体性を発揮する社員を求めています。主体性を発揮することを躊躇する傾向がある若手社員と主体性を求める上司、先輩社員の間にはギャップが生まれ、双方にストレスが溜まります。その結果、早期離職という選択をする社員が増えているのは残念なことです。

しかし、「失敗を恐れず挑戦せよ!」という掛け声だけでは彼らを主体的にすることはできません。
では、どのように接すれば良いのでしょうか?

◆若手の主体性を伸ばし、課題への対応力を強化するには?
ここでは、3つの方法をご提案します。
1. 意識的かつ頻繁にフィードバックを行う
フィードバックとは、行動の具体的な評価を行動した相手に伝え返すことをいいます。フィード(Feed)の意味は食べ物を与える、つまり栄養を与えることを意味しますので、フィードバックは、相手の糧になる内容であるべきです。
単に褒める、叱るではなく、次の行動を改善することに資する内容であって欲しいものです。

2. 指示、命令、依頼する時は、背景(理由)を添え、実行後にフィードバックする
「明日までに●●業務を完了する」という指示の場合、なぜ明日なのかを伝え、他業務との兼ね合いを確認し、優先順位を考えさせます。
さらに、業務完了後にはフィードバックを忘れないようにしましょう。
褒めるだけでなく、完了した業務の質、要した時間、工夫などについて示唆を与える内容とします。改善が必要な場合は、こちらから一方的に話すのではなく、若手に考えさせる質問を行い、考える癖をつけることが大切です。

3. 質問により問題解決思考を鍛える
例えば、若手社員がミスをした時、どのように問いかけますか?
多くの方は「なぜミスをしたと思う?」と原因を問う質問をされるのではないでしょうか?確かに原因究明は重要ですが、他者から「なぜ●●したのか?」と問われると、多くの人は、自分が責められている気がして言い訳をしようとします。
「正解ではないことをすると自分自身に×印が付く」という意識が強い若手社員には、特にこの傾向が強く見られます。
そのような場合は、「どのようにしたらミスが防げると思う?」「次はどうする?」という質問に変えると、頭の中が解決思考に切り替わります。
そして、解決思考が習慣化すると、新たな課題にチャレンジすることのハードルが下がります。

このように、若手社員への関わり方を変えることにより、彼らの主体性を高めることが可能です。

若手社員育成に当たっては、若手社員だけでなく、彼らと関わる管理職やリーダーの接し方を見直す機会が必要ではないでしょうか?

日本生産性本部では、新入社員を対象に就労意識をテーマとする調査を長年にわたって実施し、その年ごとの新入社員の特徴やデータの経年変化を発表してきました。また2003年以降、現代コミュニケーション・センターより新入社員のタイプ命名を引き継ぎ、毎年3月に発表しています。

■新入社員の特徴とタイプ(毎年3月発表)
学識経験者などで構成される当本部「職業のあり方研究会」では多くの企業・学校などの就職・採用担当者の協力を得て、その年の新卒入職者の特徴や就職・採用環境の動向などについて調査研究を実施し、命名を行っています。平成29年(2017年)度新入社員の特徴とタイプは以下のとおりです。
• 平成29年度 新入社員のタイプは「キャラクター捕獲ゲーム型」
キャラクター(就職先)は数多くあり、比較的容易に捕獲(内定)出来たようだ。一方で、レアキャラ(優良企業)を捕まえるのはやはり難しい。すばやく(採用活動の前倒し)捕獲するためにはネット・SNS を駆使して情報収集し、スマホを片手に東奔西走しなければならない。必死になりすぎてうっかり危険地帯(ブラック企業)に入らぬように注意が必要だ。はじめは熱中して取り組むが、飽きやすい傾向も(早期離職)。モチベーションを維持するためにも新しいイベントを準備して、飽きさせぬような注意が必要(やりがい、目標の提供)。
• 平成29年入社組の就職活動の特徴 
昨年から引き続き今年も新卒の採用に積極的な企業が目立ち、「大学等の卒業予定者の就職内定率」(厚生労働省・文部科学省)では2 月1 日時点で90.6%と昨年の87.8%から2.8 ポイント増加した(大学(学部)の場合)。スケジュールが前倒しになった影響もあるが、リーマンショック前の水準を上回り、2000 年以来最も高くなった。中堅、中小企業を中心に採用予定数を達成できない企業もあり、採用活動に工夫が求められる状況もあった。就職先の条件として異常な長時間勤務やパワハラのないことを重視する傾向が見られた。しかし、面接の場でこのようなことを質問することがはばかられる風潮が今なおあり、就活生を苦労させた。
当財団で実施している新入社員意識調査(6 月~7 月発表予定)は売り手市場であるか、買い手市場であるかで数値が大きく変化する項目があり、どのような変化が生じているか注目される。
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■新入社員 春の意識調査(毎年4月発表)
本調査は毎年春に実施する日本生産性本部 経営開発部主催の新入社員教育プログラム等への参加者を対象に行っています。27回目となった2016年度の結果概要は以下のとおりです。

【過去最高】これからの社会人生活が不安だ 52.4%
【過去最高】残業が少なく、自分の時間が持てる職場がよい 74.7%
【過去最高】年功序列での昇格を望む割合 42.3%
【過去最高】良心に反する手段で進めるように指示された仕事であっても従う 45.2%
【過去最高】インターンシップ制度で実習した会社に就職した割合 27.0%
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■新入社員「働くことの意識」調査(毎年6~7月発表)
当本部「職業のあり方研究会」と社団法人 日本経済青年協議会は、新入社員を対象に「働くことの意識」調査を実施しています。本調査は昭和44年度より毎年実施しており、この種の調査ではわが国で最も歴史のあるものです。48回目となった2016年度の結果概要は以下のとおりです。
• 「働く目的」では「楽しい生活をしたい」が増加(昨年度37.0%→41.7%)し、過去最高を更新した。「自分の能力をためす」は(昨年度13.4%→12.4%)過去最低を更新。「社会のために役立ちたい」も3.2ポイント低下(昨年度12.5%→9.3%)。
• 「人並み以上に働きたいか」では「人並みで十分」が昨年度よりさらに増加(昨年度53.5%→58.3%)して過去最高を更新するとともに、「人並み以上に働きたい」(昨年度38.8%→34.2%)を24.1ポイント上回り、両者の差も過去最大となった。
• 「デートか残業か」では、「残業」(昨年度80.8%→76.9%)「デート」(昨年度19.0%→22.6%)と、プライベートの生活よりも仕事を優先する傾向があるが、ここ数年は「デート派」が増加している。
• 「会社の選択理由」では、「能力・個性をいかせる」が増加し、今年もトップ(昨年度30.9%→33.2%)だった。「仕事が面白いから」は減少し(昨年度19.2%→17.3%)、5年連続で減少した(平成23年度26.8%)。
• 「どのポストまで昇進したいか」では、10年前(平成18年度)と比べ「社長」「専門職」とも減っている(社長17.8→10.8%。専門職26.4→17.8%)。女性を見ると「課長+係長+主任班長」が増え(18.9%→30.8%)、昇進志向が高まっている一方で「役職に付きたくない+どうでもよい」も増加(25.5→29.6%)し、二極分化傾向が見られる。
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■新入社員 秋の意識調査(毎年12月発表)
本調査は新入社員の入社半年後の意識変化の調査を目的に、毎年秋に実施する日本生産性本部 経営開発部主催の新入社員教育プログラム等への参加者を対象に行っています。26回目となった2016年度の結果概要は以下のとおりです。
【過去最高】54.6% 条件のよい会社があればさっさと移るほうが得である
【過去最高】37.8% 自分には仕事を通じてかなえたい「夢」がある
【過去最高】86.3% 残業が少なく、平日でも自分の時間を持て、趣味などに時間が使える職場が良い
【過去最高】61.5% 会社の親睦行事には参加したい
【過去最高】84.1% 子供が生まれたときは、育休を取得したい