やり抜く力を高めるためには?

目標達成力や業務遂行モチベーションを高めることは、多くの組織の課題です。

目標設定時には「今度こそやり抜こう!」と誓っても、数か月経つと目標そのものを忘れたり、思い通りに進捗せずに諦めたりすることもあるのではないでしょうか?

私たちが、決めたことを先延ばしにしたり諦めてしまったりするのは、意志が弱いからでしょうか。

人材育成に欠かせない、やり抜く力を高めるためのヒントをお届けします。

~目次~

先延ばし方程式

脳の働きから考察する先延ばしの克服

やり抜く力を高める方法

1.先延ばし方程式

行動科学の領域で「先延ばしとモチベーション」について研究しているカナダ・カルガリー大学ビジネススクール教授のピアーズ・スティール氏は、先延ばしは脳の構造に要因があると指摘しており、その考え方を「先延ばし方程式」として紹介しています。

この方程式の分子である「期待×価値」は、モチベーションです。

達成の可能性(期待)が高く、目標の魅力(価値)が大きければ大きいほど、我々の行動意欲が高まります。

 一方、分母の「衝動性×遅れ」は、行動を妨げる要因です。

目の前に楽しそうなことや今すぐやってしまいたいことがあると、そちらを優先したい衝動が生まれ、価値を手に入れるまでの時間がかかればかかるほど、先延ばしの誘惑が強くなります。

2.脳の働きから考察する先延ばしの克服

人間の脳は、大きくわけて3つに分類されます。自律神経、免疫、ホルモンの働きをコントロールする「脳幹」、快不快や衝動をコントロールする「大脳辺縁系」、そして、予測と制御などの知性を司る「前頭葉」です。

前頭葉は、進化の過程で最後に成長した部位のため、幼児期は未発達で、セルフコントロールを修得するにつれて発達していきます。

つまり、目標の期待×価値が大きくても、前頭葉で衝動性を制御できないと、先延ばしという結果が待っていることになります。

3.やり抜く力を高める方法

では、先延ばしを克服して、やり抜く力を高めるためには、どのような方法があるのでしょうか?

スティール氏は、以下の方法を提唱しています。

1.課題を小分けにして小さな達成感を何度も味わい、その過程を記録する

2.自分のやる気を鼓舞してくれる仲間や自分を勇気付けてくれる物語を持つ

 例:目標達成や業務遂行の成果と課題を共有し、解決策を一緒に考える機会を設定する

3.達成時の様子を視覚化する(脳内コントラスティング法)

寝る前にやり遂げた時の様子を頭の中で詳細に映像化し、次に、今の自分を映像化して対比する。

このような対比(コントラスト)を行うことで、実現させたのと同じ刺激を脳に与えることができる。

4.失敗や先延ばしの元凶をリストアップして予防策を考えておく

 例:メールが元凶であれば、決めた時間以外は見ないようにする

5.ネガティブ表現を止めて意識的にポジティブな表現を使う

 例:「メールを見ないようにしよう」 → 「11時40分と16時30分にメールを見よう」

「できない理由を考えることを止めよう」→「どのようにすればできるか3つ以上考えよう」

6.新しい生活習慣を作る

難しい課題は効率の良い午前中に取り組む、就寝前の5分間は脳内コントラスティング法を実行する など

7.ご褒美を設定する

小分けにした課題を達成する都度、魅力的なご褒美を受け取るよう決めておきます。

ご褒美は、モノでなくても大丈夫です。大好きな音楽を聴く、友だちと食事をするなど、心から楽しいと感じられることを、ご褒美として設定することで、「先延ばし方程式」の分母である「価値」の値を大きくします。

モチベーションが高い人は、やり抜く力を高める方法を自分の行動習慣として定着しています。

組織に転用する際には、研修を通じて個々人の思考・行動習慣を振り返り、自発的に「行動を変える習慣を持とう!」と思わせたり、リーダーや管理職が若手に対するフィードバックに応用したりことが有効です。

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コラム「地域No.1企業の危機対応力」(2018年10月1日)

気候変動による災害や地震は企業活動に大きなダメージを与え、危機管理能力が問われています。
9月6日に発生した最大震度7の北海道地震では、ブラックアウト(全電源消失)という想定外のことが起こり、生活インフラが大きな影響を受けましたが、その中で95%以上の店舗が営業を続けたコンビニ「セコマ」の対応に賞賛が集まりました。

セコマの一部店舗には店内でガス調理する施設があり、地震発生直後も、
おにぎりや総菜など温かい料理を提供し、道民の生活を支えました。

こうした対応に、SNSの投稿者は、
「できたてのおにぎりが出てくるなんて神すぎる」
「北海道の誇り」
など、非常時の対応に賞賛の声が上がり、多くのメディアで紹介されました。

セイコーマートによると、今回の北海道地震の折、道内に1100ある店舗のうち、
従業員が出勤できない店舗を除く1050の店舗が営業を継続。
会社が各店舗に配布している非常電源キットを使い、従業員の車などから電源を取ることにより、
停電中も、一部の店ではガス調理施設で温かい料理の提供を行うことができました。

セコマは、道や道内各地の自治体との間で災害時に食糧や応急生活物資を供給する協定を結んでおり、
今回も地震直後からパンや飲料水、菓子類などを提供しました。
一方で、地震により札幌市の自社物流センターの設備が一時損傷し、食品製造工場の稼働が一時停止し、
店内の商品棚がほぼ空っぽになったこともあったようです。

このように、非常時のマイナス影響をゼロにするどころか、地域住民が感動するほどの
<マイナスをプラスに変える危機対応>を実現できた背景には、
運営会社である株式会社セイコーマートの地域No.1戦略がありました。
セイコーマートの戦略には、地域企業が、地域住民に支持され、生き残るエッセンスが詰まっているように感じます。

●セイコーマートの特徴と地域NO.1戦略

本社:株式会社セコマ(北海道札幌市)
北海道で創業したコンビニエンスストアチェーン。
1号店は1971年に開店し、国内で同業のセブン-イレブンよりも早い。
コンビニエンスストア部門「顧客満足度全国1位」
北海道内の人口カバー率99.8%
(北海道の人口:約540万人、出店地域の人口合計:569万人)
人口の少ない地域や離島にも出店し、地域のライフラインとして住民に親しまれている。
セイコーマートクラブカート会員数:462万人

《地域No.1戦略を貫く経営姿勢》
・大手にまけないための戦略・・・「負けないために北海道を出ない」
・60種類を超える手作り惣菜とお弁当。添加物はできるかぎり使わない(お弁当は店内調理)
・物流会社、食品製造会社をグループ内に持ち、プライベートブランド品を多数品揃えすると同時に
自社配送ができることにより、今回の北海道地震での対応が可能になった。
・コンビニの代表的売れ筋商品である「おでん」「ドーナッツ」を置かず、安価で特徴のある独自の品揃えを貫いている。

同社の代表取締役・丸谷 智保氏は、同社の特徴について以下のように語っています。

「北海道は、東京の所得と北海道の所得を比べた時に、やはり経済格差があるんです。
だから1円でも10円でも安く販売するっていうのは「北海道のお店」としてやらなきゃいけないこと。
北海道で作られたものを使って、私たちの工場で製造して、お店に流通させている。
そういうプライベートブランドのおかげで安さは維持できている。」
(プライムニュース デイズ9月7日放送より)

コラム「日本が描く近未来~Society 5.0」(2018年9月7日)

「Society5.0」という言葉を聴かれたことがあるでしょうか?
「Society5.0」は、日本が描く近未来社会の姿であり、以下のように定義されています。
(参照:内閣府HP)

「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)」
狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、新たな社会を指すもので、第5期科学技術基本計画において我が国が目指すべき未来社会の姿として初めて提唱されました。

◆Socioety5.0が目指す社会とは?

高度成長期、経済停滞期を経て成熟した日本社会は、今、成長の踊り場にあると言われ、私たちは経済成長による豊かさを得た半面、富の集中や地域による不平等など格差を生んでいると同時に、人口減少と急速な少子高齢化による社会コストの増大など、多くの社会課題を生み出しています。さらに、グローバルな視点で見ると、進行する環境汚染の問題、南北格差の問題など、解決しなければならない課題が山積しています。一方で、IoT、ロボット、人工知能(AI)、ビッグデータといった社会の在り方に影響を及ぼす新たな技術の進展が進んできており、
これら先端技術をあらゆる産業や社会生活に取り入れ、経済発展と社会的課題の解決を両立していく新たな社会であるSociety 5.0の実現を
目指そうというのが、この提言の趣旨です。

◆Socioety5.0を実現するための人財像

このような新しい社会像を実現するためには、従来とは異なる能力を備えた人財が必要になります。
文部科学省では「Society 5.0の社会像」を踏まえて、「新たな時代を豊かに生きる力の育成に関する省内タスクフォース」を立ち上げました。
そのレポートが描いている「新しい社会を実現するための人財像」は以下のとおりです。
参照:「Society 5.0に向けた人材育成~社会が変わる、学びが変わる~(概要)
Society 5.0に向けた人材育成に係る大臣懇談会」レポート(平成30年6月5日)

現代が変革の時代であることは多くの人が漠然と意識していることですが、
「Society5.0」の提言を見ると、私たちは、日本社会の在り方そのものが大きな変遷を遂げる節目に生きているのかもしれません。

コラム「会議を見える化し、デザインする〜グラフィックファシリテーション」(2018年8月31日)

「会議を見える化し、デザインする〜グラフィックファシリテーション」

現在、会議やブレーンストーミング、ワークショップなど、議論を活性化させるグラフィックファシリテーションが注目されています。会議を見える化するデザインの新しい形といえます。場の空気も、参画意識のない参加者の意識までも変えるグラフィックファシリテーションの革新性のエッセンスを紹介します。

■グラフィックファシリテーションとは
対話(はなし)を見える化することで、場の活性化や相互理解をうながす技術です。会議やワークショップなどで話される内容を、グラフィックを使いながらリアルタイムに見える化していくことで、場を活性化させ、議論を深め、共感や相互理解をうながすことができます。
その結果、効率的な議論の拡散と収束が可能となり、新しいアイデア発想、合意形成、課題解決など、得たい成果が得られる技術、それが『グラフィックファシリテーション』です。
(参照:「グラフィックファシリテーションとは」一般社団法人 グラフィックファシリテーション協会)

■グラフィックファシリテーションの2つの働き
グラフィックファシリテーションには、大きく2つの働きがあります。
一つは『活性化』の働き。
グラフィックは人の感性にダイレクトに働きかけます。心を動かし、共感を生み、その結果として対話がはずんだり、アイデアが湧いてくる、といった効果があります。
そしてもう一つは『構造化』の働き。
ピクトグラムやフローチャートを活用して整理することで、複雑な内容が構造化され、わかりやすくなります。物事がシンプルに、明確になって、話し合いをきちんと収束させることができます。(出典:http://grafaci.or.jp/what

従来のテキストベースの議論の表現では、イメージが湧かず、相互の関係性を把握するにおいても人によって捉え方が違います。意見や数字など現実的なことだけを求めると閉塞感を脱しきれず、発想がなかなか広がらないものです。しかし思いや感情、感覚なども見える化し、共有すると二次元のイメージとなり、チームとしての一体感や発想が一気に広がるのです。

■グラフィックファシリテーションの方法
グラフィックファシリテーションを行う上で必要なツールは、
・ホワイトボードor模造紙
・マジックペン(3色以上)
です。その他にセロハンテープ、付箋、キッチンタイマーなどがあると便利です。

グラフィックファシリテーションの方法は次のように行います。

■記録の基本型
基本的な記録のやり方は4つです。「箇条書き型」は議論の流れを時系列に沿って振り返ることができます。ポイントとして、スペースを空けておくと、後で関連づけいしやすくなります。議論の内容によって、「グルーピング型」「関係図型」「マトリックス型」などに分けると、型の中で考えを深めていくので、抜けや漏れに気付きやすくなります。また枠組みに従って、強制的に発想させることもできます。
参照:
http://www.city.hekinan.aichi.jp/kyodoka/01kyodo/koza/H29/05kawara.pdf

他に、発想を広げたり、意見の全体像を把握するのに使える「マンダラ型」があり、企画会議に向いています。やり方は中央にテーマを書いて、周辺に発想を延ばしていくことができます。ルールとして、関係の近い項目を近い位置に、遠い項目を遠い位置に配置します。そして項目のまとまりに見出しをつけたり、矢印などで関係を見せることで、アイデアが出やすくなります。

■ファシリテーショングラフィックの効果
ファシリテーショングラフィックは議論が一枚の絵となり、次のような効果をもたらします。

・話の流れを俯瞰できる
・話の内容が分かりやすく伝わる
・触発されて新しい意見やアイデアが生まれやすくなる
・発言、発想が自由になり、創造的な対話を引き出す
・ギャップやヌケモレが分かりやすくなる
・活発な議論が物語になり、読んで楽しくなる
・記憶として定着し、次につながる
・共通理解と共感から、チームが一つにまとまる
・参加者全員が常に目的、課題解決に向かうため、会議の生産性がアップする
・参加しなかった人もビジュアルに理解でき、意識や行動を変えることにつながる

■ファシリテーショングラフィックの事例
日本財団「ママの笑顔を増やすプロジェクト」はママたちのリアルに寄りそい、たくさんのママの想い、「もっとこうなるとHAPPY!」という声とともに、ママたちと一緒に活動をしています。2014年7月から8月の間に開催されてママカレッジおきなわでは、グラフィックファシリテーションを行いながら進行しました。議論の流れが一枚の絵で把握できます。



出典:http://mamapro.jp/news.php/mamacollege_okinawa/2364

コラム「新卒採用にみるイノベーション」(2018年8月9日)

新卒採用にみるイノベーション

新卒採用の方法は、時代とともに変化してきました。

(HR NOTE webサイトより)

上記年表に見られるように、1980年頃から新卒向け合同企業セミナーが開催され、1995年頃からは、Web求人広告が登場しました。2000年頃からは、新卒の人材紹介サービスが誕生。その後は、学生がイベントやwebを通して自己PRを行い、企業がそれを見てアプローチする<スカウト型採用>やSNS(FacebookやTwitter)を利用したソーシャル・リクルーティングが始まります。
そして、2015年頃からは、自社を知ってもらうために学生と自社社員とが気軽に話せる場を設定する<ミートアップ>を取り入れる企業が出てきました。さらに、2016年からは、大量の学生のデータから自社に合う人財をマッチングする<AIマッチング>という手法がスタートしています。

自社の成長の担い手を発掘、採用するために各社ともしのぎを削っているわけですが、日本の若年人口の減少に伴い、優秀な新卒の採用はますます困難になっています。しかし、そのような現状においても、自社の戦力となる新卒人財を確実に採用できている企業があります。

◆セプテーニグループのオンライン採用
 参考:セプテーニグループ オンラインリクルーティングサイト
http://www.septeniholdings.co.jp/recruitment/recruiting/online_recruiting/

ネットマーケティング事業において急成長を遂げている同社では、採用と社員の成長を科学するために「人的資産研究所」を設立し、既存社員の活躍データを元に採用を科学的に分析。将来、自社で活躍できる可能性を秘めた人財をオンラインで自動選考(内々定まで)するオンライン・リクルーティングを実施しています。同社では、2009年より蓄積した約6000名のデータを用いて「活躍予測モデル」を設計し、この活躍予測モデルをもとにその人の入社後の活躍度を予測。現在は、この活躍モデルを使って採用判断の材料にしています。

◆同社が取り組む5つの採用施策

1.オンライン・リクルーティング
2.オンライン自己分析ツール
3.AIアドバイザー
4つの性格タイプ別に、AIが事業や働き方に対する質問に回答する。
4.キャリアフィードバック
採用の如何に関わらず、学生の特性に適した詳細なキャリア形成の考え方をフィードバックする。
5.VRインターンシップ
ヴァーチャルリアリティによるインターンシップ。
独自のデバイスを用いて同社で働く疑似体験ができる。


オンライン・リクルーティングは、主に地方の学生に対して提供しており、以下の効果が上がっているようです。

◆オンライン・リクルーティングの効果
・選考時間が9割削減
・地方学生の内定承諾率が4倍に増加
・地方大学の採用実績校が20校に増加

従来の採用方法の場合、地方の学生は、就職活動のために東京に来る必要があり、費用も時間もかかりますが、オンライン・リクルーティングは、このような学生の負担を軽減する効果があります。
しかし、新卒採用活動の主要目的は、自社で活躍する可能性を見極めることですから、安易に利便性を高めることは問題があります。

同社のオンライン・リクルーティングは、「人的資産研究所」が、データ分析を元に自社で活躍する人財特性を特定し、その特性を備えた人財を発掘するためのプロセスを緻密に組み立てているからこそ、期待どおりの成果を得られているのでしょう。さらに、オンライン・リクルーティングを利用した学生は、自身のキャリア特性を分析してもらい、働き方のヒントを得ることができます。採用されないとしても、このように人の成長を支援する企業姿勢に対する共感を得られるメリットもあります。

ネットマーケティングを事業の柱とする同社の強みがあるからこその採用手法ではありますが、採用活動においても、自社の強みを活かした工夫が求められる時代に突入しているといえるのではないでしょうか。