適応課題を解決する上で大切なこと

ハーバード・ケネディスクール教授、
ロナルド・ハイフェツ氏の「リーダーシップの真骨頂」
備忘録パート2です!
適応課題の特徴の一つは「即興的なものである」ことだ。
課題解決の道筋には、複雑な調整を行うプロセスが不可欠。
技術的課題は、念入りな計画を立て計画通り遂行することで
解決できるが、適応課題にはそれは当てはまらない。

『日々、今どこにいるのかを自問自答し、
修正や調整を行う必要がある』。

このことは、アイゼンハワー大統領のノルマンディー上陸作戦を振返っても
よくわかるのではないか。

大統領曰く「計画なしにノルマンディー作戦は遂行できなかったが、
上陸の瞬間、その計画を破棄せざるを得なかった」と。

将来起こる不足の事態を予測するためにも計画は重要だが、
計画そのものには価値はない。
つまり適応していくためには、日々、計画を
調整する必要があるということですね。

講演後半に教授が力説された「思いやり」ということも、
とても大事なメッセージでした。
適応課題を解決していく上では、様々な調整が必要だが、
良いことばかりではなく、喪失を伴うこともあるため、
100%お互いがwin-winという結果を導くことは難しい。
だからこそ、リーダーシップには「変化の痛みに対して、敬意を払うことが大事」。
喪失を伴う変化は痛みを伴う。
適応的変化を指揮するリーダーは、その喪失に対して思いやりを示す必要がある。
人は、失うものが多いからこそ、大きな抵抗を示すのだ。

喪失には以下の3つがある。

①物的喪失・・仕事や富、地位を失うこと。これは非常に受け入れがたい
②能力の喪失・・能力の境界線を突破するのはとても困難なこと。
誰もが自分の得意や分野に留まる方が居心地が良いが、
変化に対応できるようメンバーをラーニングゾーンに引き入れるのだが、
そこでは「わからない」と言える環境を作ることが重要

③忠誠心の喪失・・仲間、コミュニティ、家族、地域社会への忠誠心を
捨てざるを得ないことはつらいことだ。

最後に。
リーダーシップは危険な実践だ。
変化を求めるのだから。喪失もつきもの。
だからこそ、思いやりが必要。
これがあるからこそ、実践し続けていけるのだ。

私がこれまで仕事をしてきた政界・ビジネス界の成功者は、
人の話に耳を傾けることに多くの時間を割いてきた。
その上で戦略を練っていた。
課題の本質をどう捉えて、その課題のシナリオをどう描くのか。
人々の信頼をつなぎとめ、適応課題に対処していくことが大事だ。

リーダーシップとマネジメントは違う。
マネジメントとは主に技術的な課題に取り組む際、
権威ある立場から業務を遂行するプロセス。
リーダーシップは、人を関与させ、適応的な問題解決を
促すプロセス。

適応課題に向き合う3つの問い

ユニポス社主催の「人的資本・心理的安全性・組織学習の新潮流カンファレンスで、
ハーバード・ケネディスクール教授、ロナルド・ハイフェツ氏の
「リーダーシップの真骨頂」講演拝聴!
言わずと知れたリーダーシップ論の第一人者であり、
身近なところでは、「最難関のリーダーシップ」著者。
40年近くも政府・グローバル企業と一緒に研究を重ね、
リーダーシップについて発信し続けている方です。
今回の講演では、リーダーシップを正確かつ明確に捉えるための
考え方やアイデアを伝えたいと、多くの方の体験から得た教訓を
お話下さいました。

最初の問題提起。
「リーダーシップ研究の分野では、それぞれが自分の感覚で
言葉を使っている。リーダーシップというと思い浮かべる言葉は
「影響力」「パワー」「導く」「実践」「マネジメント」など、人それぞれだが、
まず理解すべきは「リーダーシップとは実践するもの」だということ。
ある種の問題を解決するために、人が実践するものであり、
平和で穏やかな時代には、必要ないものでもある。
問題もなく、きめられたことを粛々と行っている時は不要だ。
まだ解決策がに見つかっていない問題の前では、リーダーシップは不可欠。
ストレス多い不透明な時代には、私たちは多くの権威に頼ろうとするが、
自分たちが抱える課題には自分が向き合わないといけない。
例えばパンデミックは、適応課題の代表的なものだ。
パンデミックという状況の中でどう生き延びるのか?
どう乗り越えていくのか?パンデミックは権威ある立場の人たちだけで
解決できる問題ではない。communityの集合知が大事だ。
適応課題への向き合い方を考える時、私たちは自然から学ぶことができる。
自然界の生き物は数百万年のなかで驚異的な変化を遂げてきた。
しかし、その変化は長い年月をかけ、非常に保守的なものでもある。
リーダーシップの実践をこのことに当てはめてみると、
多くの人は変化に喜びを感じるものの、急激だとストレスフルになる。
人々に求められる変化を文脈に即して示すことが大事だ。
そして理由をきちんと伝えることだ。
おっと、冗長になってきましたが、
講演前半で最も印象に残った話は以下のくだりです。
『企業の課題は複数セットになっていることが挙げられる。
リーダーシップの実践においては問題のどこが技術的課題で、
どこが適応的かを診断しなければならない。
適応課題はやっかいな課題とか、イノベーティブな課題と
呼ばれることもあるが、敢えて適応、という言葉を
使っているのは自然界から学べることが多いからだ。
適応課題に向き合うとき、立てるべき問いは3つ』。

①地域社会や企業で保持すべきものは何か?
②どのようなカルチャーやDNAを捨てるべきか?
③私たちの歴史の中でもっともすぐれたものを未来に伝えるため
のイノベーションは何か?
講演後半にも目からうろこのお話、多々あり。
続きはまた後日、備忘録として書き連ねたいです!

 

中空構造

3連休は、娘の誕生日祝い、ゴルフ、説法参加と盛りだくさん。
さらに昨日は、アクティビティ競争最終日とあって、
駅まで会場までと、6キロ歩いて疲労困憊・・。
いかん、ちょっとドライブかけすぎ!
ということで、昨夜は21時に前には眠りにつきました。

さて、週末のclubhouseは、
参議院選挙が終わったタイミング。
そもそもの問いを立ててみる、ということで、
「そもそも日本とは何か?どういう存在なのか?」。
世界が揺らいでおり、日本の存在意義も問われている中で、
視座高く、且つ面白いお題をいただきました。

古事記神話から読み解く「中空」。
中心が「空」であることは、善悪、対立をも包含し統合する。
神話の中では、真反対にあるような2柱の神の中間に、
何の活動もしない「無為の中心」と呼ぶべき神が存在する。
例えば、イザナギとイザナミの間に生まれた、アマテラス、
ツクヨミ、スサノヲの中の「ツクヨミ」。

異なる価値や考え方を排除し合わずに、調和をもって
共存することを可能にする。
世界で起きている対立、分断。
そのような中で、日本の存在意義を、この視点で改めて
考えることができるかも、と思ったのでした。

しかし、私とは誰なのか?何者か?とアイデンティを
表に出すということは、わたしとわたし以外という分断を
生み出すことにもなる、という言葉も印象的でした!

人的資本経営への道筋

伊藤レポートでお馴染みの、
一橋大学CFO教育研究センター長の伊藤邦雄氏を
はじめとする方々のパネルディスカッション@オンライン視聴。
テーマは「人的資本経営への道筋」。

伊藤氏曰く、人的資本の活用は日本の「最後の砦」。
人ほど、自走し自らの資産価値を上げる無形資産は他にはない。
資源のない日本の宝は「人」。

しかし、経営戦略と人材戦略がフィットしていない
日本企業も多い。

政府が進めている人的資本への投資開示は良き流れだ。
世の中に周知されるから高めようと努力する、
フィードバック効果が、期待できる。

中には、都合の悪いことは開示したくない企業もあるが、
開示していない会社には疑念が起き、投資されない、
良き人材が集まらない、ということに繋がる可能性もあり。。

自分たちの期待値からかけ離れていたとしても、
これからどのような変化を起こそうとしているのかという、
ストーリーがあれば、むしろ開示すべき。
会社が社会から信頼を得たいのであればオープンにしよう。

生命を考える

先日のclubhouseは、「生命」について、
改めて対話する時間をいただけました。
福岡伸一氏の話が出たので、後追い検索してみる。

私たちは「生命」を維持する上で、
常に自分自身を壊しながら作り替えている。
いずれは老化・死を迎えるという意味では
エントロピー増大を完全に克服することはできないが、
少しずつ抗い、来たるその時までの時間を稼いでいるのが「生命」。

また、命の重要な特質は、自身を壊しつつ
作りかえる流れの中にある状態の動的平衡と、
それを実現する自己破壊能力。
大きく変わらないために小さく変わり続けるのが生命。

こんな話も出ました。
故日野原重明先生が発足された「新老人の会」。
3つのモットーは以下です。

1.愛し愛されること(to love)
2.創(はじ)めること(to commence or to initiate)
3.耐えること(to endure)

年を重ねていくと、ある日を境に、
昨日までできたことができなくなる。
身近な方との別れもやってくる。
そのような事に耐えること、
そしてどんな状況にあっても周りを愛し、
愛されることを忘れない。
どうせ年だから、などと言わずに、
新たに創めることを大切に。

命の輝きを創出するのは自ら、ですね。

人生の豊かさを信頼する能力

ようやく一段落、と思ったらこんな時間!
いかん、明日は始発だというのに・・。
しかし、書きたいという気持ちを抑えきれず、
パソコンに向かう。

週末は、「組織変革の道(未知)を切り拓く
ティール×エンパワーメント」第2講でした。

第1講では、「仮面をはずし、自分自身を生きる」という
全体性(ホールネス)の話や、「外の基準で生きるのではなく、
自分の内側の声に耳を傾け、勇気を持って一歩踏み出していく」
という言葉が刺さりました。

第2講では以下の言葉に反応。

『結局のところ、大きな阻害要因となるのは「恐れ」なのだ。
組織が暗黙の恐れに立脚しているのではなく、
信頼と責任を育てる構造と慣行の上に成り立っていると、
驚くほど素晴らしい、予想もしないことが起こり始める』。

恐れというのは、どれだけ私たちを
不自由にしているのか?
自分自身を顧みても、そのように思います。

『恐れに置き換わるものはなんだろう?
それは、「人生の豊かさを信頼する能力」だ』。

「人生の豊かさを信頼する能力」!
なんとも豊かな表現です。

心の手入れ

東京へ向かう新幹線車中です。
すっかり人流が戻っているようで、
ずいぶん混み合っています。

日々慌ただしく過ぎていくと、
ついついおなざりになる自分の心の手入れ。

『女性が一日の間に鏡をのぞきこむ回数ほどに、
自分の心をのぞきこみ、内省し、
心の手入れを怠らなかったならば、
どんな高価な化粧品や装身具も
与えることができない美しさが、
いつしかその人に備わることでしょう。
それは年とともに色あせるどころか、
むしろ深まっていく「美しさ」なのです』。

渡辺和子氏の言葉です。

 

目先のことに集中する

先日、地下鉄に乗る際、雨でぬれている階段で
すってんころりん!
「うわああ!」という歓声?を背に受け、
すっくと立ち、何事もなかったかのようにスタスタ歩く(笑)。

幸いなことにケガはなかったものの、
すべりそうな階段にも関わらず、
一歩一歩足を踏み出すことに集中してなかった・・。

「目先のことに集中する」。
これ、日々の中でも大事ですね。

『道なき道を歩んで行く時代、
不安だ、という人も多いけれど、
未来のことなど考えない。
先のことなんてわかりっこないし、
いくら準備をしてたって、
未来は予想した通りにはならない。

でも、未来には楽しいことしかないと思い、
今を一生懸命生きることが大切。

これから生きていく上で大事なことは、
”目先のことに集中する”ということ。
長期計画なんて関係ない。
未来を恐れず、過去に執着せず、今を生きろ』。

ホリエモンの言葉がよみがえります!

振り返る時間

先日の勉強会で聴いて唖然としたこと。

「現代人の集中時間はどんどん短くなっていて、
連続して集中できる時間は、ほぼ8秒」。

金魚の集中は9秒続くのに、
それ以下だといいます・・。

何かに取り組んでいてもついついスマホに手がのびる。
かと思えば、「あ、そうだあの本!」と、
またまた別のことに意識が向いて集中できない。
そのくせ脳内では、いつまでも仕事が終わらない。
だらだらやると、脳のリカバリーも効かずどんどん疲弊。

そこで大事なのが、「振り返る」時間!
脳は1日を振り返り、明日はこうしよう、
というところまで整理できて、
初めて今日の仕事が終わったと認識するのだそう。
明日、やるべきことを整理しておけば、
翌日も集中できるのだと。

「1日の仕事を終えたら、必ずその場で振り返り、
最も印象的だったことを1行でも書くこと」を
推奨しているといいます。
これが5日たまると何らかの気づきがある。
何の感情も生まれない、が続いたら、
惰性になっているかもしれないので、
何かを変えた方がよい。

「やるべきこと」ばかりをやっていると、
心がどんどん疲弊し、依存や逃避が起きることも・・。

1日の振り返り習慣。
大事ですね!