ATD報告②

ATD26APC、2日目。
2日目は6コマを受講しました。
AIのセッションが多い中、
サクセッションプラン(後継者計画)の講座は、
とても印象に残りました。

講師はUC Berkeleyのアンジェラ・ストッパー博士。
来年2月にATDから出版される
『Succession Planning Reimagined』がベースです。

後継者計画というと、幹部が会議室にこもって
「次のリーダーは誰か」を決めるイメージ。
博士はそれを、偏見を再生産し、本人を置き去りにし、
ごく少数で組織の未来を決めてしまう、と指摘します。

博士自身、自分の部署の将来を
何か月も本人抜きで議論され、「経営陣が上に座った岩を、
山に押し上げている気分だった」と。
結局、その会社を去ったそうです。

善意の内々の話し合いが、優秀な人を去らせてしまう。
だからこそ、人を評価する前に、
正直に評価できる文化をつくる。透明な採用・昇進の基準。
キャリアの希望を話しても罰せられない信頼。学び続けられる仕組み。
そのうえで、後継者を三つの層で考えます。

明日、自分が来られなくなったら代わる人。
今すぐ就ける人。
2〜3年後に育つ人。

そして、その計画を本人にもオープンにする。
「力不足の人には、どう伝えるのか」

その問いへの答えが印象的でした。

nice(優しい)は、「あなたは順調よ」と言うこと。
kind(親切)は、「ここを一緒に埋めよう。
あなたの成功は私の成功だから」と言うこと。
「なぜ私じゃないの?」を、「準備のために何ができる?」へ。

別のセッションでは、
AIで仕事そのものが変わり、
職務記述書から見直している企業の話もありました。
将来必要な役割が変われば、育てるべき人も変わる。

後継者計画の重みは、AI時代にむしろ増しているのかもしれません。

締めの言葉は、「パイプラインは、次の正直な会話から始まる」。
別のセッションでは、AI導入の事例が数多く語られていました。
ある企業では、全社員にAI研修をしても、
生産性はさほど上がらなかったそうです。

変わったのは、現場が「何が一番つらいか」を口にできるようになってから。
経営陣も自ら手を動かし、失敗しながら試す姿を見せたことで、
AIは一気に広がったといいます。
AIの浸透も、サクセッションプランも、仕組みやツールだけでは動きません。

本音を言っても大丈夫。挑戦して失敗しても大丈夫。
そう思える組織文化があって、はじめて人が動き、育っていく。

AI時代だからこそ、
組織文化という土台が問われているのだと、改めて思ったのでした

ATD報告①

先週は、ATD 2026 Asia Pacific Conference & Expoに
参加しましたが、台湾からはWordプレスにアクセスできず、
1週間遅れの報告です!

会場は、台北101のすぐ隣にある 台北国際会議センター。
今年のテーマは、 「Connected People: Aligning AI and Strategy」
初日トップバッターでの基調講演はダン・ポンテフラクト氏。
誰もがAIの話をしている中で、 彼はこう切り出しました。

働き方の未来には二つある。 みんなが見ている「AI」と、
見過ごされている「AGE」つまり年齢だと。
日本の65歳以上は29.6%。
台湾の出生率は0.695。

アジア太平洋は急速に 高齢化しているのに、
職場では年齢が まるで負債のように 扱われている。
いちばん心に残ったのは世代ではなく 「キャリアの時代」で
見ようという話です。

組織は若手のRivers(川)、 中堅のRocks(岩)、
熟練のRubies(ルビー)の 組み合わせである、と。

そして、こう続きました。
どのルビーも、 川の流れに時間をかけて 磨かれた岩なのだ。
シニア世代としては泣ける・・。

年齢を「負債」から「経験の配当」へ。
そのための道具として 長寿を企業文化として受け入れる
Longevity Lens、辞める前に知恵を循環させる Wisdom Wheel、
キャリアは梯子ではなく キャンバスだとする Career Canvas、
この三つが示されました。

日本企業こそ、 正面から考えるべきテーマだと 思います。
午後、最初のセッションは ブーシャン・クルカルニ氏。
冒頭の一言が、 これでした。「AIは研修準備を早くするだけ」。
AIのおかげで教材は速くつくれるようになりました。
けれど、それで現場の成果は 変わったのか。
能力が育たない原因として 挙がったのは六つ。

①良い仕事の基準があいまい
② 必要な知識が仕事中に届かない
③ 業務の流れが邪魔をしている
④ 上司が学んだことを実践する後押しをしない
⑤ フィードバックがない
⑥測っているのが研修の受講率だけ

AIが社内に定着しないのも ツールが悪いのではない。
人、業務、ルール、成果が つながっていないから。
導入は目に見える。 けれど価値を生むのは つなぐことのほう。

次のセッションは、 スーザン・ファウラー氏。

やる気を出させる、 というやり方は 実はうまくいかない。
人が本当に生き生きと働けるのは、 三つが満たされたとき。

①自分で選んでいるという感覚
② 人や自分の目的とのつながり
③ 成長している実感

モチベーションはスキルであり、
上司やコーチの関わり方次第で人の活力は変えられる。

4つめは、 日本から登壇された 中原孝子さんのセッション。
Slidoに都度入力するというインタラクティブな進行で楽しかったです!
AIはアウトプット素早く大量に出し続けるけれども、
その裏にある思考プロセスはブラックボックス。
そこで必要になるのが、ブレない基準「アウトカム(成果)」。
AIの出力は変わり続けます。
でも、ビジネス戦略が変わらない限り、
組織が目指す成果は変わらない。

だから、成果物の出来栄えを見るのではなく、
「その成果に対して、AIと人それぞれに何を期待するのか」
と考え方を切り替えよう、という話でした。

そのための考え方が、HPI(ヒューマン・パフォーマンス改善)。
HPIは、パフォーマンスの問題を
「スキルが足りないから研修を」とは考えません。
中原さんの長年のコンサルタント経験では、
問題の原因の80〜85%は、個人ではなく組織の仕組みにあるという。

まずビジネスを理解し、
「期待されるパフォーマンス」をはっきりさせる。
ここが、日本企業ではあいまいなことが多いのだとか。

思い当たる節、確かにあります・・。

アウトカム(成果)→ アウトプット(成果物)→ インテリジェンス(考える仕事)という見方も大切。
成果を生む成果物は何か。
その成果物をつくるタスクの裏で、
どんな思考が働いているのか。
たとえば「影響を要約する」というタスクの裏には、
「重要な情報を抜き出す」という思考がある。
そこまで分解して初めてどこをAIに任せ、

どこを人が担うのかが見えてくる。

そうしないとAIのおかげで「良さそうに見える」だけで
終わってしまう。ツールを入れたことを、
パフォーマンスが上がったことと取り違えてしまう。
定型的で予測しやすい仕事はAIへ。
意味や文脈、例外が多い仕事は人へ。
合言葉は、「AIが材料をそろえ、最終判断は人が持つ」

そんなメッセージの数々が印象に残った初日でした。

ATD再び!

ATDアジア太平洋カンファレンス、 ATD26APCに参加します。
会場は台北、明日からカンファレンスがスタートします。

台風の進路が気がかりでしたが、 どうやら飛べそうで、
ひとまず大丈夫ではないかと。

ATDに参加するのは、実に7年ぶり。
アジア太平洋カンファレンスは初参加です!

「Connected People: Aligning AI and Strategy」

登壇者は70名以上、 セッションは60以上、
参加者は2,000名を超えるとのこと。

基調講演には、 リーダーシップ論で知られる
ハーミニア・イバーラ氏はじめ、
グーグル台湾、 台湾大哥大、 ファイソン・エレクトロニクスの
トップの方々。研究者と経営者がミックスされているのも嬉しいこと。


ハーミニア氏は、ロンドン・ビジネススクールの教授で、
『Act Like a Leader, Think Like a Leader』の著者です。

講演要約を読むと、AI時代、経営者のリーダーシップに必要なのは、
五つの「C」。

横断(Cross-boundary)
多様なネットワークで、
つながり続ける。

組織文化形成(Culture)
AI前提の組織文化に
つくり変える。

協働(Collaboration)
AIを意思決定に組み込み、
率直に言い合える場をつくる。

コーチング(Coaching)
新しいスキルと自信を育てる。

つながり(Connection)
好奇心と共感、
学び続ける姿を自ら示す。

AIを語るだけのリーダーと、
強みに変えるリーダーとの違い。

AIセッションが多いですが、
学びを深めてまいります!

データになるのは答えまで

昨日は、社内でAI勉強会でした。
AI活用の具体法を紹介くださいましたが、
印象的だったのは、 製造業の技術伝承AI。


ベテラン職人が持っている、 手のわずかな感触。
機械が出す切削音を聞いて、 これは危ないと 判断する勘どころ。
そういった暗黙知をデータ化していく。

若手が 「この素材で加工不良が出る」と入力すると、
AIが、その蓄積されたデータから 答えを返してくれる。

「刃の回転数を15%下げ、 冷却液の角度を調整せよ」
まるで、 引退した職人さんが 横に立って教えてくれている ような感覚。

「技能は見て盗め」 と言われてきました。
言葉にできないから、 背中を見せるしかなかった。
けれど現実には、 見せる人が先に いなくなってしまう。
定年、再雇用の終了、 そして後継者不在。

どれだけ貴重な技術もその人が辞めた日に、 会社から消えていく。
それを残せるようになったのは、大きなことだと思います。

しかしながら、 AIが出した答えを そのままコピーするのではなく、
やってみて 自分の手で確かめること。
なぜその回転数なのかを、 腹落ちさせること。

AIが教えてくれたことを自分のものにする工程は、
いつの時代も変わらないと思います。

時間をかけること

今日は広島に来ています。
広島といえば、お好み焼き!
毎回のお約束です。

鉄板前のカウンターに座って、
焼き上がるのを待つ時間が好きです。

薄く伸ばした生地の上に、 キャベツが山のように
積み上げられていきます。
これで大丈夫なのかと 毎回思うほどの量ですが、
それを押さえつけず、混ぜることもしない。

ただ、ふたをして、しばらく置いて、
蒸し上がるのを 待つのです。
蒸すことで、キャベツが甘くなって かさが減っていく。

ほどよいところで、 職人さんがヘラを入れ、
ひっくり返しました。ソバ玉がお約束だと思っていましたが、
うどん玉を頼んでいる人も半分くらいいる。
むむむ、うどん!?次はトライしてみたい。

VIVANT再び

今週も茨城に来ています。
昨日は、鹿島神宮と息栖神社を回ってきました。

さて、3年ぶりに放映されている「VIVANT」に 今シーズンも
はまっていますが、昨日の朝は 日本橋三越本店で開かれている
ポップアップストアと 特別展に行ってきました。本館1階の中央ホール。

劇中の衣装や小道具、 出演者のサイン入りの モニュメント。
天女像の前には、 名場面を再現できる フォトスポットまで。
20分並んで撮ってきました。

限定グッズのレジ待ち行列は40分以上。
さすがに諦めましたが・・。

誰が味方で誰が敵なのか、 最後まで分からないこと。
見ている側が、 ずっと疑い続けることになります。
信じていた人が そうではなかったり、 その逆だったり。
この落ち着かなさが、 たまりません。

もうひとつは、 伏線の張り方。
何気ない場面が、 あとになって まったく別の意味を帯びてくる。
二度目に見ると、 同じシーンが 違って見えるのです。
今回は、 7月から11月までの 2クール連続放送。

あと3回となりましたが、まだどんでん返しがありそうです!

持続可能な未来

今日は奈良に来ています!

西日本経済同友会の
会員合同懇談会、奈良大会。

テーマは、「はじまりの奈良から、
持続可能な未来への挑戦」。

奈良といえば長らく、日帰りされてしまう県と
言われてきました。大仏を見て、鹿とたわむれ、
夕方には京都か大阪へ戻る。

ところが、2025年の県内の延べ宿泊者数は、
約360万人。前年より9.3%増えて、
調査開始以来の過去最多だそうです。

外国人旅行者も
過去最多の約70万6千人。
確かに、ホテルもずいぶん増えました。
街の空気は確かに変わっていて、奈良好きの私としては、
嬉しいことです!

基調講演の演題は、
良品計画・清水社長による
「本業としてのサステナブル、地域共生」です。

パネリストは、星野リゾートの星野代表。
中川政七商店の千石社長。
そして明日香村の森川村長。

その土地ごとに持続可能な価値を
どう生み出すのか。

学び深き1日になりそうです。

ゴールではなくスタート

この3連休は快晴でしたね!
ゴルフに出かけ、 啓発の場にも足を運び、
充実した3日間でした。

さて、今朝は新聞の休刊日でしたが、
電子版を読んでいると目に留まった記事が・・。

今年1月から9月までの 日本企業のM&Aは、 3,883件。
1〜9月としては 過去最多で、 3年連続の記録更新だそうです。
しかし、件数は増えているが、金額は約22兆8千億円で、
前年より2割以上 減っているとのこと。

ということは、大型案件よりは、小さな案件が 数多く
動いている ようです。

事業承継問題は、深刻。
後継者がいない。 けれど技術も顧客も社員もいる。
ならば、 どこかに引き継いでもらおう、と。

かつては、 会社を売るという話に どこか悲壮感が ありました。
身売り、という言葉が 使われたほどです。
けれど今は、 ずいぶん印象が 変わってきました。
畳むのではなく、 渡す。
その選択をする経営者がこれだけ増えている
ということなのでしょう。

しかし、譲渡契約がゴールではなく、むしろスタート。
譲り受けた側が 引き継ぐのは、 設備や取引先だけではなく、
そこで働いてきた人、 その会社のやり方、 そして風土です。

数字の上では ひとつになっても人が納得していなければ、
現場は動きません。
せっかく守ろうとした 技術や強みが、 人と一緒に流出し、
社に残らないのは残念なこと。
M&Aの成否をわけるのは、人なのだと改めて思います。

サイバー攻撃

一週間の行脚を終えて、 東京から京都へ戻る道中です。
東京駅は大混雑!3連休前だからですね。

さて、先日泊まったホテルは、 ランサムウェア攻撃を 受けた
とのことで、端末で予約情報が確認できない。

フロントの方は、 落ちついて対応して くださいましたが、
記録は手書き・・。Wi-Fiも使えず、朝食券も発行不能。
もう10日以上この状態だという。

ここのところサイバー攻撃関連のニュースが増えていますが、
小売・レンタカー・自治体サービスまで、 本当に幅広い。

原因のひとつは、委託先やクラウド経由。
JR東日本も、 自社が狙われたのではなく、
利用していたクラウドサービスが 、
攻撃を受けたことが原因。

ふたつめは、 IDやパスワードの盗用。
誰かから盗んだ正規の鍵で、 正面から入ってくる。
三つめは、 Webの窓口から 大量に抜き取られるもの。

こうも続いたら個人情報があちこちで流出しているのでは
ないかと心配になります。