人は何を見るのか?

「タレントインテリジェンス」 という言葉を、
最近よく目にするようになりました。

これまでのタレントマネジメントは、
社員のスキルや経歴を 一元管理する仕組みでしたが、
さらにAIをかけ合わせることで スキルの需給予測や、
適所適材の配置、 さらには離職リスクの予測まで
導き出そうという考え方です。

社内データだけでなく 社外の人材市場の動きまで
射程に入れるということです。

人のことが これだけデータで わかるようになった時、
人間の上司や先輩は、 何を見ればよいのだろう、と。
研修に伺っていると、数値には決して表れない場面に
たびたび出会います。

ずっと黙っていた方が、 最後のグループワークで
ぽつりと語り始める瞬間。
いつも前向きな方の表情がその日だけ 少し曇っている、
という小さな違和感。

同じ質問をしても去年とは違う答えが 返ってきたときの感触。
こうした 「兆し」のようなものは、 おそらく データにはなりません。
けれど、 人が変わっていくきっかけは、 たいていそういうところに
潜んでいるように思います。

AIは、 確率の高い答えを 示してくれるけれども、
「この人はまだ伸びる」と 信じることは、 まだ人間にしか
できないのではないでしょうか。

データは、 過去の集積です。
一方で育成とは、 まだ起きていない未来に 賭けることです。
離職リスクが高いと 表示された人に、 それでも期待をかけ続けるのか。
その判断だけは、 機械には 任せられないと思うのです。

便利な道具が増えるほど、「人が人を見る」ということの 意味を、
問い直されている気がします。

これは楽しい!

長野4日目の朝です。
今朝は上田市にいますが、昨日もツルヤに買い出しに出かけ、
またまたジャムやドライフルーツやお菓子や調味料などなど、
自宅に配送しました。

さて、出張の多い日々にぴったりな、心躍る楽しいアプリを二つ
教えてもらいました。

ひとつは、 自分の移動履歴が 地図上に記録されていく アプリ「Travy」。
旅ユーチューバーの西園寺氏が開発したそうですが、
通った道筋が、 赤い線となって 日本地図に 描かれていきます。

この1週間は、九州南部→関西→信越と、
あちこちに 線がのびていました。この履歴を見ているだけで、
わくわくします。

もうひとつが、 「エキタグ」という デジタル駅スタンプアプリ。
駅に設置された端末に スマートフォンをかざすと、 その駅のスタンプが
集まっていく仕組みです。

紙のスタンプ帳を 持ち歩かなくて良いので助かります。
昨日は、 長野駅と上田駅の スタンプをゲットしました。
長野駅は、 国宝・善光寺本堂と 北陸新幹線E7系。 標高361メートル。
上田駅は、 真田の六文銭の旗印と、 上田城。 標高446メートル。
ひとつのスタンプの中に、 その土地の物語が きゅっと詰まっているのも楽しい!

収集癖のある私にとっては、 どちらのアプリも最高です。

急がず確かに!

今日は長野に来ています。
今朝は、 善光寺の「お数珠頂戴」に 行こうと思っていました。
お朝事に向かわれる ご住職が、 参道にひざまずく参拝者の頭を、
数珠で 撫でてくださるという儀式で、5:45頃から。

前の晩から、 行くつもりで仕事の段取りを済ませ、
今朝4時半に目が覚めた時、 少し迷い、
結局 睡眠を優先することに しました!

今日一日を、 万全の状態で過ごすことを、
何よりも大事に したい今日この頃。

State、つまり状態が 整っていなければ、
どんなに貴重な体験も、 半分しか 受け取れないと思いますし、
この3日間は出張先でも予定満載。

睡眠を削って臨んだ研修と、
しっかり休んで臨んだ研修とでは、
場の空気の読み方もお一人おひとりへの
向き合い方も違ってくるはず。

来年2027年、善光寺は7年に一度の 「御開帳」の年。
4月4日から6月19日までの 77日間。
絶対秘仏である 御本尊のお身代わり、
前立本尊が公開される 七年目ごとの盛儀です。

さらに同じ2027年には戸隠神社でも、
7年目ごとの 「式年大祭」が 斎行されるとのこと。
諏訪大社御柱祭はこれまた7年に一度。
次は2028年。

長野という土地は、 7年という周期で、
大切なものを 守り継いできたのですね。

日々ばたついている中で、
7年というスケールの 時間の流れがあることに、
なんだか、 ほっとさせられます。

来年の楽しみが ひとつ増えました!

備えること

長野に向かう車中です。福井→富山を過ぎましたが、
8月27日には富山と石川に、 そして30日には福井に、
大雨特別警報が 発表されました。

いずれも警戒レベル5。
「すでに災害が発生している 可能性が極めて高い」 という
最も重い段階です。

福井の勝山市では 12時間の降水量が 279ミリと
観測史上1位を更新。
3市の約30万人に 「緊急安全確保」が 呼びかけられました。

収穫前の稲が 水に浸かってしまった地域も あったと聞きます。
これから実りを迎える、 その直前にと思うと、無念いかばかりかと思います。

今日、9月1日は「防災の日」。
1923年の関東大震災を機に1960年に制定さました。

私たちは、 大きな災害のニュースには とても敏感に反応します。
けれど、日々の備えとなると、 つい後回しに してしまいがちです。
つつながく日々を過ごせている時ほど、
「もしも」への備えは 後回しになりやすい。

避難場所の確認、非常持ち出し袋の中身、家族との連絡法。
どれも 何も起きていない時には 必要性を実感しにくいものばかりです。
けれど本当に必要なのは、 何かが起きてから 慌てて動くことではなく、
平時のうちに、 小さな備えを 積み重ねておくことなのだと思います。

自分自身の備えも、 少し見直してみようと思います。
そして、被害に遭われた地域の 一日も早い復旧を、
心よりお祈りいたします。

表現し続けること

草間彌生氏が、 97歳で亡くなられました。
作品はもちろんのこと、 その生きざまにも惹かれていました。

昨年、京都市京セラ美術館で 開催された
「草間彌生 版画の世界―反復と増殖―」に足を運びましたが、
京都での個展は 実に20年ぶりだったそうです。

水玉やかぼちゃ、 無限に増殖していくモチーフの数々を前にして、
圧倒されると同時に、 不思議な安心感を 覚えたのを覚えています。
幼い頃から幻覚や幻聴に 悩まされ、それを作品に昇華させることで、
自らを救ってきた という方でした。
苦しみさえも、 表現の力に変えてしまう。
その姿勢に感じ入ります。

亡くなる直前まで 絵筆を手放さず、まさに生涯現役。
97年という長い人生を、 最後の最後まで「表現すること」に
捧げ尽くされたことに、敬意を表します。


三方よし

今日は滋賀に来ています。
琵琶湖は本当に美しい!

さて、ふと思い出したのが、30年以上前、
この仕事を始めた頃にお世話になった会社で観た、
近江商人の原点を描いた、なべぶた売り少年の物語。

子どもが、 近所の家々に なべぶたを 売り歩こうとします。
けれど、 誰も買ってくれません。
それでも彼は、 あきらめませんでした。
売り込むのではなく、 まずは、 目の前にある なべぶたを、
黙々と磨き続けたのです。

自分にできることから 始めたことで、いつしか、
「あの子になら」と、 少しずつ 買ってくれる人が 現れるようになった。
そんな物語だったような記憶が・・。

江戸時代、五個荘出身の 麻布商・中村治兵衛は、
若き跡継ぎへの書き置きに「知っている人も 知らない人も、
その土地の人々が 満足することを 優先せよ」と 記しています。
これぞ「三方よし」。

売ろうとする前に、 まず、 目の前の人の役に立つ。
映画の中の少年も、 先人たちも、 同じことを 実践していたのだと思います。
真摯で誠実な姿勢が 巡り巡って、 信頼という形で 返ってくるのですね。

現場力

今日は東京に来ています。

残暑、などという言葉では 片付けられないほどの
厳しい暑さです!

アスファルトの照り返しと、 ビルの間を吹き抜ける 熱風に、
歩くだけで 汗がにじみます。カフェに入り、ちょっと一息。

さて、大手建設会社が、 生成AIアシスタントを
全社導入したという記事が目に留まりました。

導入当初、 2025年4月時点での 利用者は 1,200名ほどでしたが、
半年で4,700名、 1年半で8,800名にまで 拡大したそうです。
驚いたのは、 その広がり方。

経営陣が号令をかけて 一斉導入したというのではなく、
現場が主導する形で 広がっていったのだそうです。

社員一人ひとりが、 自分の業務に合わせて
オリジナルのAI アシスタントを作成し、
その数は 8,000個を超えるとのこと。

技術文書の確認、 社内ルールの参照、 資料作成、
問い合わせ対応など、 日常業務の中で、
必要な形にAIを 育てていったのです。
これぞ 「現場力」!

指示を待つのではなく自分たちで課題に気づき、
使えるかたちに 作り、アップデートしていく力。
自分ごととして 手を加えていくからこそ、
使いこなしていける。

AIも、 結局のところ、 現場の一人ひとりの
主体性にかかっているのですね!

ホリゾンタル・リーダーシップ

お盆明けの1週間は怒涛でしたが、ようやく一段落です。
リーダーシップ関連の研修やセミナーもありましたが、
唯一の定義はありません。

リーダーシップ研究は100年近くなされていますが、
研究者によって「理論」「モデル」「スタイル」「アプローチ」と分類すると、
500近くあります。

特性論 → 行動論 → 条件適合理論 → 変革型・取引型
→ サーバント/オーセンティック → シェアド/分散型 →
アダプティブ・リーダーシップというように、
時代とともに「優れたリーダーとは誰か」から「どう振る舞うか」
「状況にどう適応するか」「組織全体でどうリーダーシップを発揮するか」へ
広がってきたように思います。

そのような中で、「ホリゾンタル・リーダーシップ」 を、
先日初めて知りました!

直訳すると 「水平方向の影響力」。

上司から部下へという 縦の関係ではなく、
横のつながりの中で 発揮する影響力のことです。

世界的なリーダーシップ開発機関 DDIのレポートによると、
これが2026年の 人材育成トレンドの ひとつなのだそうです。
背景にあるのは、 組織のフラット化。
環境変化への対応や、 AIによる効率化などから、
階層を減らしている組織も増えました。

階層が少なくなると、 役職や肩書きに頼らずに、
周囲を巻き込み、 動かしていく力が 求められるようになります。

一方で 昇進のポストも 減っていきますから、
「役職につくことで リーダーシップを学ぶ」 という、
これまでの 育成の道筋も 細くなっていきます。

同じレポートでは、 管理職の71%が 過剰なストレスを感じ、
半数以上が 燃え尽きのリスクを 感じているという
調査結果も紹介されていました。

役職の重みが増す一方で、 支える仕組みが
追いついていないのかもしれません。

だからこそこれからは、 役職がなくても
信頼関係や対話を通じて、 人に影響を与えることが、
求められるのでしょうし、上から答えを示すのではなく、
横に並んで、 一緒に考える。
肩書きではなく、 関係性の質が、リーダーシップの 土台に
なっていくのだとも思います!

次のステージへ


人的資本開示義務化が、 次のステージへ移行しました。
2023年から、 有価証券報告書の 提出義務がある企業、
つまりほぼすべての上場企業を含む 約4,000社には、
「女性管理職比率」 「男女間賃金差異」 「男性育休取得率」の
3項目の開示が 義務づけられていました。

そして今回、 金融庁の内閣府令改正により、
2026年3月期の 有価証券報告書からは、 さらに開示が
拡充されることになりました。

新たに求められるのは、 主に2点。
ひとつは経営戦略と結びつけた 「人材戦略」の説明。
もうひとつは、 その人材戦略を踏まえた
「給与の決定方針」と、 「平均給与の前年比増減率」。

つまり、 ただ数字を並べるのではなく、
「なぜこの人材に投資し それが企業価値の向上に どうつながるのか」を、
言葉で語ることが 求められているのです。

背景には、 日本の人的資本投資が、 主要先進国と比べて
低い水準にとどまっている という現実があります。

一方で投資家の6割以上が 人的資本への投資を
「特に重視すべき」と 考えているというデータもあります。
人を、コストではなく 資本として捉える。
その姿勢を、 数字と言葉の両方で 語れる企業こそが、
これから選ばれていくのだと 思います。