綺麗なこと


今春ドラマの中で、『銀河の一票』にハマっています。
政治家と、日々の暮らしを懸命に生きる人たち。
その対比がとても興味深いです。

一方が悪く、もう一方が正しいのではなく、
立場によって、見えている景色そのものが違うのだと感じます。

「綺麗事じゃないよ。綺麗なことだよ」という言葉が印象的でした。
理想を語ること自体が少し気恥ずかしい空気がありますが、
本当は“綺麗なこと”を信じられる社会の方が、希望があるように思います。

「何のために生きるのか」という問いへの、「念のため」という返答。
つい、立派な答えを考えてしまいそうですが、大きな夢や立派な理由がなくてもいい。
もしかしたら明日、少し良いことがあるかもしれない。
だから、念のため生きてみる。

宮沢賢治の「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」
という言葉が、このドラマの根底にあるテーマのようです。
分断や不安が広がる今だからこそ、この言葉が響きます。

対話の力

最近、「対話」の大切さを改めて感じています。
対話をしていると、当然ながら意見が食い違うことがあります。
立場が違えば、見えている景色も違う。経験してきたことも違う。
だからこそ、「なぜそう考えるのか」が、自分とは異なることは、
自然なことなのだと思います。

以前の私は、対話とは“合意形成”のために行うものだと
思っていた気がします。
どうやって結論を一致させるか。どうすれば納得してもらえるか。
そんなことを重視していました。

けれど最近は、意見が違うこと自体に価値があるのではないか、
と感じています。

もちろん、ただぶつかればいいわけではありません。
大事なのは、相手をリスペクトすること。
「違う意見=間違い」ではなく、その人の背景や経験、
立場があるからこその考え方なのだと受け止めることです。

そしてもう一つ、同じくらい大切なのが、
“自分をサスペクトする”ことなのかもしれません。

自分の考えを、少し疑ってみる。
「本当にそうだろうか?」
「見えていない視点はないだろうか?」
そんな問いを、自分自身に向けてみる。

すると、不思議なことに、対話は“勝ち負け”ではなく、
“価値創造”に変わっていきます。

最初は平行線だったものが、対話を重ねる中で、
どちらでもない第三のアイデアに変わることがあります。
一人では辿り着けなかった視点に出会えることがあります。

組織でも、人間関係でも、対話が減ると、
“わかったつもり”が増えていきます。
でも本当は、違和感やモヤモヤの中にこそ、
新しい価値の芽があるのかもしれません。

だからこそ、ちゃんと悩み、ちゃんと対話する。
簡単に答えを出しすぎず、相手を尊重しながら、
自分自身も問い直してみることが大事ですね。

心の複雑さに向き合う

先日、enfacさん主催の『心の複雑さに向き合うとは、どういうことか 成人発達理論がひもとく痛みと成熟の心理学』翻訳記念出版セミナーに参加しました。

「人はなぜ成長できなくなるのか」「成熟とは何か」という、
人間の根源的なテーマに触れる内容で、とても興味深かったです。


セミナーで繰り返し語られていたのが、「発達と癒しは不可分である」
という言葉です。

例えば、私たちは子どもの頃から“評価されるための学び”を繰り返してきました。
失敗を恐れ、比較され、期待に応えようとする中で、「学ぶこと=苦しいこと」に
なってしまう人も少なくありません。

著者の加藤氏はそのような過去の経験が、大人になってからの挑戦意欲や、
主体性にまで影響を及ぼしていると指摘します。
セミナーでも、「心の傷を理解することなしに、人の発達を支援することはできない」という話が強く心に残りました。

また、もう一つ印象的だったのは「シャドウ」の存在です。
ユング心理学にも通じる概念ですが、自分の中で見たくない感情や
抑圧された側面を指します。対人支援やマネジメントに関わる人ほど、
“相手を変える”ことに意識が向きがちですが、
「まず自分自身のシャドウを見つめること」が成熟への入口。
相手の問題に見えていたものが、実は自分自身の不安や恐れの投影だった――そんなことは、組織の中でも日常的に起きているのかもしれません。

さらに印象的だったのは、「自己効力感は、ただ褒められるだけでは育たない」という話です。本書では、“やり遂げた経験”と“安心して失敗できる環境”の重要性が語られます。今の社会は、失敗を避けることや、正解を出すことばかりが重視されがちです。
しかし、人は本来、冒険し、試行錯誤しながら成長する存在。
だからこそ、失敗や葛藤を含めて、自分自身の複雑さに向き合うことが、
成熟につながるのですね。

700ページ近い書籍ですが、お二方の話を伺い、
読んでみたいと思いました!

引き際を考える

『プラダを着た悪魔2』を観ました。
ネタバレになるので詳しくは書きませんが、
「どう引き際を選ぶのか」を考えさせられました。

年齢を重ねたからこそ見える景色や、仕事との向き合い方。
かっこいい女性たちの姿に背筋が伸びつつ、
圧巻のお洒落な衣装の数々に心が躍りました。

そして、前作との“つながり”も随所に。
20年という時を経たからこそ響く、大人のための続編だった気がします。

若い頃は、「頂点に立つこと」や「走り続けること」が
格好良く見えていたけれど、今はそれだけではないのだと感じます。
どこで立ち止まるのか。何を守り、何を手放すのか。
そんな問いを静かに投げかけられているようでした。

それでも、この映画は決して重たくありません。
テンポの良い会話、美しいファッション、洗練された空気感に
ワクワクしっぱなし。スクリーンに映る一着一着が本当に素敵で、
お洒落って、自分を奮い立たせる力なんだと思います!

人は意味を求めている

長らくお休みをいただいていましたが、
今日から仕事スタートです!

ゴールデンウィークは、バリへ、そして終盤には、
奈良のキトラ古墳を訪れました。

バリでは、毎朝、家々や店先に小さなお供えが並びます。
花やお菓子、香を供え、人々は静かに手を合わせる。
それは特別な行事ではなく、
日常の風景として自然に存在しています。
自然への畏れ、神々への感謝、
あくせくせず、「なるようになる」というおおらかさ。
人は生かされている存在であるという感覚が、
根づいているように感じました。

こうした“目に見えないもの”への敬意が、
いまなお、暮らしの中に当たり前に残っていることに驚きます。

一方、奈良のキトラ古墳でも、似た感覚を覚えました。
1300年以上前に描かれた天文図や四神。
当時の人々もまた、空を見上げ、
自然や宇宙、そして目に見えない世界に、
意味を見出そうとしていたのかもしれません。

人の想いや信頼、
願いの積み重ねを大切にしながら、
前に進んでいきたいと、改めて感じた休暇でした。


ヒヤリとした朝

今朝は日帰りで東京講演へ。
いつものように新幹線に乗り込み、資料の最終確認をしていたところ、
「車両点検のため運転見合わせ」のアナウンス。
当初は10分程度の遅れといわれていたものの、
まったく動かず・・。あせる!!
結局45分遅れで東京に着きましたが、
ずっと、はらはらしていました。

本来の到着予定時刻は、講演開始時間の2時間半前だったので、
最悪2時間止まっても大丈夫。しかしそれ以上動かなかったらどうする?
ハイブリッドの予定をオンラインに変更し、最寄り駅のホテルを予約し、
そこから配信できるだろうか?

不測の事態が起きるのは避けられませんが、
心臓に悪い朝でした。

10の行動規範

福井の朝はすでに20度近く。
今日は暑い1日になりそうです。

さて、Xで、「Googleが10年かけて証明した、マネジャーの10行動規範」
という記事を目にしました。

■ マネジャーの10行動規範(Google Project Oxygen)

・良いコーチである
・チームを信頼し、任せる(マイクロマネジメントしない)
・メンバーの成功と幸福に関心を持つ
・生産的で成果志向である
・コミュニケーションが上手で、よく話を聞く
・キャリア開発を支援する
・明確なビジョンと戦略を示す
・専門性を持ち、適切な意思決定ができる
・チーム横断で協働する力がある
・強い判断力を持ち、方向性を示せる

これはGoogleが社内調査「Project Oxygen」を通じて導き出したものです。
どれも一見シンプルですが、実際の職場で一貫して実践するのは
簡単ではありません。だからこそ、10年という時間をかけて
“有効だと証明された行動”として意味があるのだと思います。

とはいえ、「知っている」ことは「できる」のか?というギャップも感じます。
部下を信頼すべきことも、対話が大切なことも理解しているけれども、
やってみるのは簡単ではない。こうした基本行動を地道に積み重ねることこそが
大事なのだなあ、と思いました。

ぼっちりの幸せ

ウェルビーイング社会の実現、をテーマにした
経済同友会の全国大会が終わりました。

福井県は幸福度ナンバーワンの県。
福井県立大学准教授、高野先生のお話がとても印象的でした。

従業員のウェルビーイングが高い会社ほど
生産性、売上、創造性ともに高い。
そして、幸福度を高める鍵は「安心できる居場所と活躍できる舞台」。

また、他者との競争ではなく、自分の満足度を
軸にした価値観、という意味の土佐弁「ぼっちり」という言葉も
心に残りました。
ちょうどいい、という意味だそうですが、
経済の成長だけではなく、家族や仲間との良好な関係、
人とのつながり、健康に過ごせる心身。

仕事を楽しみ、自己決定できている人は幸福度が高い。
仲間の幸福度を高めることが、私たち経営者の役割なのだという
メッセージにも納得しきりでした。

ウェルビーイングな社会づくりが、各地の経済同友会と官民連携で
始まっていることも印象的でした!

欲望の果てに・・

昨夜、高知に入りました。
はりまや橋と高知城を散歩し、会場に向かおうと思います。

今日から、「第38回全国経済同友会セミナー」が開催されます。
今回の大会テーマは、「幸せの国創りは土佐の山間より
~ウェルビーイングな日本を目指して~」

「幸せ」という極めて本質的なテーマに惹かれました。
基調講演では、NHKの丸山俊一氏が登壇予定。
氏が作られた欲望の資本主義シリーズ、大好きです!

これまでの資本主義は、欲望をエンジンとして成長してきたけれど、
格差は拡大し、社会は分断し、将来への漠然とした不安は
大きくなるばかり。
果たして人間は、欲望を追い続けることで幸せになれるのか?

このことを、高知という地で問い直す。
ここは自由民権運動の地。
「自由は土佐の山間より出づ」の言葉にあるように、
中央ではなく、地方から社会を変えようとした歴史があるだけに、
興味深い議論がなされそうです!

何のために働くのか?どんな社会をつくりたいのか?
そんなことを考える機会になればよいな、と思います。