リーダーシップといえば思い出すのが、
ソニーの創業者、井深大氏が語ったリーダー論です。
この話を思い出すたび、胸が熱くなります。
ソニーの社長時代、
最新鋭の設備を備えた厚木工場ができ、
世界中から大勢の見学者が来られました。
しかし一番の問題だったのが便所の落書きです。
会社の恥だからと、
工場長にやめさせるよう指示を出し、
工場長も徹底して通知を出した。
それでも一向になくならない。
そのうちに『落書きをするな』
という落書きまで出て、
私もしょうがないかなと諦めていた。
するとしばらくして工場長から電話があり
『落書きがなくなりました』と言うんです。
『どうしたんだ?』と尋ねると、
『実はパートで来てもらっている便所掃除のおばさんが、
蒲鉾(かまぼこ)の板2、3枚に、
“落書きをしないでください
ここは私の神聖な職場です”
と書いて便所に張ったんです。
それでピタッとなくなりました』
と言いました。
井深さんは続けて
「この落書きの件について、
私も工場長もリーダーシップをとれなかった。
パートのおばさんこそがリーダーだった。
リーダーシップとは上から下への
指導力、統率力だと考えていましたが、
誤りだと分かったんです。
以来私はリーダーシップを
“影響力”と言うようにしました」。
リーダーシップとは、指導力、統率力、
だけではなく、その人の「仕事に向き合う姿勢」や、
「あり方」そのものもリーダシップになるのだと
深く納得したのでした。