小惑星探査機「はやぶさ」の開発に携わった
川口淳一郎氏の言葉。
『人材育成というのは経験させることであって、
本や文献を読ませても育たないと思っています。
一番大事なのは、昔の徒弟制度で技術は習うのではなく
盗めといわれたように、経験を積んだ人が
仕事をしているその背中を見て育つものだと思います。
上の世代から盗む場を提供すること、
この機会を提供することこそが
一番大事なことだと思います。
JAXAで良い研究ができる最大の要因は
そのような環境があることです。
私がJAXAで学んでいる学生たちと
話のできる時間は本当に少ないので、
彼らの中には自分がここにいるメリットが
分からなくなる人もいる。
けれども研究というのは
教えられるものじゃないんですよね。
それよりも、自分の周りで誰が何をしているのか、
それを見聞きすることが一番の刺激になるんです。
だから学生には積極的にプロジェクトに
参加するように言っているんです。
そこでは自分たちの少し上の准教授クラスの人たちが、
プロジェクトのために無償で一所懸命働いている。
そういう姿を見られる環境というのは
非常に重要だと思っているんです』。
メンバーのありかたそのものが、
影響力であり、場が人を育てるのだと
つくづく思います。