2023年5月22日
働き方改革〜残業時間削減に向けて(1)
生産性向上を実現する残業時間削減とは?
2019年に働き方改革施策が施行された以降、統計上の残業時間は削減されてきましたが、「忙しいのに人がいない」と業務量に対する人員不足感を持っている人は多く、生産性を向上する余地は多分に残されています。
付加価値を生む仕事に集中できるようにすることは、やりがいを高めて優秀な人材を確保する上でも重要なポイントです。本コラムでは、生産性を向上し、付加価値の高い仕事に時間を使うことができるための施策をご紹介いたします。 御社の働き方改革の一助になれば幸いです。
~目次~
残業時間の実態と残業の原因
残業を減らす対策
生産性向上のための施策
1.残業時間の実態と残業の原因
働き方改革〜残業時間削減に向けて:その1
連合(日本労働組合総連合会))の「労働時間に関する調査(2015年1月16日発表)」によると、平均残業時間は一般社員20.5時間/月、課長クラス以上28.4時間/月でしたが、2022年4月現在の「毎月勤労統計調査」によれば、月間の所定外労働時間の平均は「10.7時間」と削減されています。 これは、政府が2019年から順次施行した働き方改革により残業時間を減らす努力の成果が現れた結果であるとともに、経営の悪化などが原因でサービス残業が常態化している企業もあると考えられます。
残業の原因は図表①の通りです。
図表①「残業の原因」
出典:連合(日本労働組合総連合会)(http://www.jtuc-rengo.or.jp)「労働時間に関する調査」 2014年10月31日〜11月5日の6日間にわたり、20歳〜59歳の男女雇用労働者(正規労働者・非正規労働者)3,000名の有効サンプルを集計
残業の原因の上位3位までの回答は、
「仕事を分担できるメンバーが少ないこと」 53.5%、
「残業をしなければ業務が処理しきれないほど、業務量が多いこと」 52.6%、
「職場のワーク・ライフ・バランスに対する意識が低いこと」 23.7%、 であり、これらを解決できれば残業の約7割を削減できます。
2.残業を減らす対策
では、どうすれば残業を減らすことができるのでしょうか。
【1】 時間外労働の実態を把握する
時間外労働を削減するためには、まず時間外労働の見える化が必要です。
どの部門にどのような問題があるのか、人員配置は適切かなどについて、現場の意見も聞きながら改善していく必要があります。
さらに、業務の見える化により業務単位での標準時間を可視化することが重要です。
特に間接部門においては、多くの企業で業務の棚卸しがなされておらず、業務単位での標準時間が決まっていないのが実情です。タイムスケジュールもない状況で残業を削減する行為は場当たり主義と同じです。
ここにメスを入れることが残業削減のキーポイントとなるのです。
【2】 付加価値を生まない仕事をやめる
また、本来の仕事とは付加価値(売上高−コスト)を生み出すことであり、付加価値を生まない仕事はやめる必要があります。
例えば、付加価値を生まないムダな仕事を列記すると、
- 目的や意味のない会議やミーティング
- 会議のための資料作成
- 活用されない資料の作成
- 同じメールを何回も見る
- モノ探し、ファイル探し
- データ入力
- 決裁までの人数が多く、責任の所在がわからない
- ITでできる仕事を手作業でやる
- 指示がないと次の業務ができない
- やり方が人によってバラバラ
- 何回も確認の電話をする
など、いくつも挙げられます。
3.生産性向上のための施策
以上から生産性向上の最も有効な策が見えてきます。
それは、次の2点です。
- タイムマネジメントを行うこと
- ムダな仕事をやめること
生産性向上とは、コスト(残業やムダ)を減らし、その余剰となった時間や資金を売上げ向上のために投資することです(*「生産性の公式」)。経営課題が困難になればなるほど、シンプルに本質を捉え、解決することが求められているのです。
※「生産性の公式」
タイムマネジメントと業務のムリ・ムダ・ムラを無くすための考え方を身に着けることは、生産性向上と残業削減のために不可欠な能力です。 BPSの研修では、この2つの能力を強化・向上し、生産性向上をサポートいたします。