2022年6月12日

変化に強いマインドセットを育てる

変化に強い組織を作ることは喫緊の課題ですが、その実現要因の一つに社員のマインドセットがあります。

今回は、「従来のやり方・考え方を続けるほうが心地よい」という考え方が生まれる理由を考察した上で、従来どおりのやり方・考え方に揺らぎを与え、変化を成長機会に変えるマインドセットを育てる方法を提言します。

~目次~

脱皮できない蛇は滅びる

変化に強い組織の実現を妨げるマインドセット

変化を成長機会に変えるマインドセットを育てる方法

変化に強いマインドセットを育てる

1.脱皮できない蛇は滅びる

「脱皮できない蛇は滅びる」
これは、哲学者ニーチェの言葉です。

世界が大きく変化を遂げている今、変化に強い組織の在り方、個々人の生き方が問われています。

柔軟で多様性を受け容れることができる組織やキャリア形成が必要になり、これまでの働き方、生き方から脱皮することが求められています。

とはいえ、すべての人が変化を受け入れ、挑戦する意欲を持てるわけではありません。

人間には、変化や多様性を楽しむ人(イノベーター)、やむを得ず変化と多様性を受け入れようとする人(フォロワー)、変化や多様性を望まない人が存在します。

変化に強い組織に脱皮するためには、イノベーターがフォロワーに良い影響を与え、変化を望まない人がマインドセットを変える環境を提供し、持続的・主体的に学習する社員を増やすことが必要です。

2.変化に強い組織の実現を妨げるマインドセット

「ラーニング・オーガニゼーション(学習する組織)」という言葉を耳にされたことがあるでしょう。

「ラーニング」という言葉の意味は、変化に対応して、自ら新たな知識・技術・行動・思考・態度・価値観・世界観を獲得したり生成したりすることです。(「学習する組織~現場に変化のタネをまく」 (光文社新書) より引用)

組織も人も、学習して新たな知見を身につけることが、変化の激しい時代を逞しく生きる術です。

ところが、残念なことに、変化を”リスク“と捉える人が一定程度存在します。

今回は、変化をリスクと捉えるマインドセットに揺らぎを与え、変化を成長機会と捉えるマインドセットに変える方法を提言したいと思います。

以下の図は、私たちが変化を受け入れ進化を遂げる際のマインドセットの動きを表現しています。

●コンフォートゾーン

現状維持の領域で、慣れ親しんだ思考・行動パターンから出ない状態です。

本人にとっては、新たなことに挑戦するリスクがないため、快適で安全な領域です。

●ストレッチゾーン

自分を成長させ、進化を遂げる(ストレッチする)領域です。

学習と新たな経験により成長することができますが、リスクを負うことがあり、ある種の痛みを伴います。

●デンジャラスゾーン

現在の能力を大きく超えるハイリスクで無謀な挑戦領域です。

私たちの思考や行動の40~80パーセントは習慣化(パターン化)していると言われています。

習慣化していることのメリットは、過去の成功パターンに従うためリスクが少なく安心と感じ、しかも判断に時間がかからないことです。

一方、慣れたやり方や考え方ばかりを選択すると、「これは、こうあるべき(=当たり前)」という思い込みが生まれ、新しいやり方や他の可能性を排除しようとする状態であり、成功体験に固執し多様性を排除する状況が生まれます。

これは、図で示した「コンフォートゾーン」に留まっている状態で、私たちが変わろうとする意欲を妨げています。

自分の価値観やパターンに囚われると、異なる価値観を受け付けない「柔軟性に欠ける硬いマインドセット=Fixed mindset」が出来上がります。

そのようなマインドセットは多様性を受け入れることを避けて「慣れ親しんだ現状と考え方」を維持しようとします。”慣れ親しんだ現状の維持”を望むマインドセットでは、「現状を続けることが組織にとって望ましいのか」が重要なのではなく、自分にとっての当たり前を維持するほうが低リスクであると考えます。

3.変化を成長機会に変えるマインドセットを育てる方法

Fixed mindsetを持っている人が、新たな知識・技術・行動・思考・態度・価値観・世界観を獲得することを選択し、変化を成長機会に変えるマインドセットを育てる方法として以下を提言します。

・変化の実態を理解する

身の回りでどのような変化が起きており、自分にどのような影響を与えるかを具体的に理解する)

・すぐに結果の出る小さな進化(学習)を体験し、「想像よりリスクが小さく、自分にもできる!」ことを実感する

・自分が変化・進化したことにより充実した結果を得た経験を思い出す

・変化に対応する具体的な行動や学習方法を知る

・「変化・進化」の具体的なメリット(価値)をリストアップする(手の届きそうな身近な事例)

・「変化・進化」を評価する環境を醸成する(変化を推奨する社内風土、変化・進化に積極的な知人を増やす)

・「変化・進化」を遂げることでより良いキャリアを築いた身近な人(モデル)を紹介する

・「変化・進化」に対応しないことがリスク(脅威)である事例を示す

最後の方法はショック療法ではありますが、非常に硬いマインドセットを持った人には有効かもしれません。

BPSの研修には、Fixed mindsetに揺らぎを与え、「小さなことから変えてみよう!」と思える仕掛けがあります。

環境変化を具体的に知り小さな変化を起こす決意ときっかけを作り、成功体験を積むことを通して、変化を受け入れる土壌が生まれます。

BPSが提供する研修は、こちらからご覧いただけます。

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