2026年5月11日
心の複雑さに向き合う
先日、enfacさん主催の『心の複雑さに向き合うとは、どういうことか 成人発達理論がひもとく痛みと成熟の心理学』翻訳記念出版セミナーに参加しました。
「人はなぜ成長できなくなるのか」「成熟とは何か」という、
人間の根源的なテーマに触れる内容で、とても興味深かったです。
セミナーで繰り返し語られていたのが、「発達と癒しは不可分である」
という言葉です。
例えば、私たちは子どもの頃から“評価されるための学び”を繰り返してきました。
失敗を恐れ、比較され、期待に応えようとする中で、「学ぶこと=苦しいこと」に
なってしまう人も少なくありません。
著者の加藤氏はそのような過去の経験が、大人になってからの挑戦意欲や、
主体性にまで影響を及ぼしていると指摘します。
セミナーでも、「心の傷を理解することなしに、人の発達を支援することはできない」という話が強く心に残りました。
また、もう一つ印象的だったのは「シャドウ」の存在です。
ユング心理学にも通じる概念ですが、自分の中で見たくない感情や
抑圧された側面を指します。対人支援やマネジメントに関わる人ほど、
“相手を変える”ことに意識が向きがちですが、
「まず自分自身のシャドウを見つめること」が成熟への入口。
相手の問題に見えていたものが、実は自分自身の不安や恐れの投影だった――そんなことは、組織の中でも日常的に起きているのかもしれません。
さらに印象的だったのは、「自己効力感は、ただ褒められるだけでは育たない」という話です。本書では、“やり遂げた経験”と“安心して失敗できる環境”の重要性が語られます。今の社会は、失敗を避けることや、正解を出すことばかりが重視されがちです。
しかし、人は本来、冒険し、試行錯誤しながら成長する存在。
だからこそ、失敗や葛藤を含めて、自分自身の複雑さに向き合うことが、
成熟につながるのですね。
700ページ近い書籍ですが、お二方の話を伺い、
読んでみたいと思いました!

