2019年7月22日

3つの過剰が奪ったムダ

名古屋での仕事を終え、東京に向かっています!
車中で、敬愛する一橋大学名誉教授、
野中郁次郎氏のインタビュー記事読了。

タイトルは、「3つの過剰に陥った平成の日本企業。
今こそ共感や直観による経営を取り戻せ!」
3つって?と、気になる・・。

バブル崩壊から30年が経過したが、
バブル景気だった1990年度の実質GDP成長率は5.6%。
しかし、2018年度は0.7%。

なぜ、かくも長きにわたって低迷が続いてしまったのか。
最大の原因は「米国発の科学的アプローチに偏りすぎたから」だと、野中氏は説く。
バブル崩壊で経営への自信を失った日本企業は、
米国型マネジメントを積極的に取り入れた。
この偏重が、日本企業から「組織的に新たな付加価値を創出する力」、
つまり「組織的な知識創造力」を奪った。
これは、もともと日本企業が持っていた何より大きな強みだったのに。

さて、3つの過剰とは、オーバープランニング、
オーバーアナリシス、オーバーコンプライアンス。
経営において計画、分析、法令遵守は、
すべて必要な要素ではあるが、忠実に行いすぎたことで、
社員が知識創造を行える自由闊達な環境が失われ、
本来企業の存在意義である「社会のために付加価値を創造すること」が
軽視されるようになった。
合理化が追求され、組織から一定の冗長性(ムダ)を失わせた。

機動的な知識創造を可能にするのは、自律分散型組織だ。
官僚型ではなく、組織のどのレベルでも”入れ子”のような、フラクタル(構造)。

これからは「あれかこれか」、ではなく「あれもこれも」の
経営が必要だ。暗黙知と形式知、感性と知性、
アナログとデジタル、安定と変化、はどれも相互補完関係にあり、
対立しつつも、一つの事象に共存する。
物事を二項対立として捉えるのではなく、二項動態として、
双方を両立させ、全体の調和を追求する。

双方がうまく調和するバランスは、
現実の問題と、全人的に直接向き合い、
仲間と共に一生懸命試行錯誤することで見えてくる。

AI時代の今こそ、人間の共感や直観の能力は、
新たな知識を創造する上で価値を持つ、
という最後の言葉が印象的でした!

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