2018年7月31日

コラム「デザインが持つ変革性」(2018年7月31日)

「デザインが持つ変革性」

■拡張するデザインの領域
デザインと言えば、一般的な工業製品のインダストリアルデザイン、建築・インテリア、ランドスケープなどの空間デザイン、広告やサインなどのグラフィックデザイン、他にファッションデザイン等があり、伝統的分野のデザインを思い浮かべます。
さらに現代では、エクスペリエンスデザイン・UXデザイン、サービスデザイン、ビジネスデザイン、ソーシャルデザインなど、システム全般に亘る、複数の利害関係のある組織・集団・コミュニティなどが関与する、複合的な「仕組み」「システム」の設計にまで、デザイン領域は広がっています。デザインは「人々に考えを伝える」「人を動かす」「人がつながる」、そして「人から環境、社会まで変える」まで影響を与えているのです。

デザインの扱い方次第で、ビジネスが成功するかしないかを決めてしまうことから、デザインをありとあらゆる方面から可能性を探っていきたいと思います。
今回は伝統的分野のデザインの改良、変革でビジネスが成功した例を紹介します。

■デザインで売上げ倍増

JAうご産あきたこまちを美少女イラストの作家・西又葵先生に描いたイラスト「美少女こまち娘」を採用して、1ヶ月で2年分を売り上げたといいます。

 

 

 

 

 

 

1996年発売当時、「ネピア モイスチャーティシュ」の商品名であまり浸透しなかった商品が、2004年に「鼻セレブ」に改名し、パッケージもフワフワの動物に変更すると10倍以上の売上に伸びました。

 

 

 

1986年刊行の『思考の整理学』(外山滋比古・著)が、21年の時を経て2007年にブレイク、今や約190万部を売り上げる大ベストセラーにまで上り詰めました。きっかけは盛岡の書店員による手描きPOP「もっと若い時に読んでいれば…そう思わずにはいられませんでした」が書店来店者の支持を獲得し、出版社がそのPOPの文章を帯に使用して販売したところ、爆発的にヒットしたという事例です。

<帯をつける前の書籍と手書きPOP>

 

 

 

 

 

 

 

<帯をつけた書籍>

 

 

 

 

 

 

 

参照:https://www.gentosha-book.com/column/column116/

このように視点を変えて、デザインやネーミング、アプローチの方法を帰るだけで売上げを倍増するのです。ガンバリズムで業績が正比例しないように、どれだけ付加価値を与えるかが業績アップのポイントになるようです。

■発想を変える〜ヒントはモノではなく、ライフスタイル
“ライフスタイルに合わせ硝子食器の新しい価値を作る”

「フランス料理では、オードブルにはシャンパン、魚料理には白ワイン、肉料理には赤ワインと、料理に合わせたワインとそれ専用のグラスがあるのに、日本酒用の器はどうしていつもお猪口と杯なんでしょう?」と疑問を投げかける木本誠一氏(木本硝子株式会社 代表取締役社長)。
料理も日本酒も、国の垣根を超えて創作やフュージョンを進めているのに、グラスだけ同じなのは、もったいないと嘆く。

「わが社が提案・販売しているのは、グラスではなく、新しいライフスタイルです。料理の皿が出るごとに日本酒を変え、日本酒を変えたらその特徴を引き出すグラスに変える。そのため、現在60種類のグラスを作っていますが、今後はさらに30種の新商品の製作を進めています」。

2008年第5回東京都伝統工芸品チャレンジ大賞”最優秀都知事賞”を受賞したのを皮切りに、数々の賞を受賞した江戸切子「KUROCO」(クロコ)

 

 

 

 

日本酒と料理のペアリングを楽しむためのグラス「XANA」は、ドイツ
のウォルフワーグナー氏によるデザイン。

「日本酒を飲むことはもっとスタイリッシュになるはず」という
メッセージが込められています。

出典:ビジネスサミットOnline 「現代にマッチしたデザインで 伝統工芸に新たな価値を創出」

 

 

 

 

「美少女こまち娘」あきたこまちが、古くから育まれた食文化とポップカルチャーを組み合わせた「日本の伝統×お家芸」であり、木本硝子が手がけた江戸切子「KUROCO」が「伝統工芸×現代デザイン」です。日本の伝統が現代のさまざまな文化や表現媒体と組み合わせることによって異質のモノやライフスタイルが生まれることを発見すると、既存概念から解き放れてより自由な発想を与えてくれます。もっとデザインを活かすことが人口減少によるパイの縮小、高齢化といった日本の社会のマイナス要因を大きく変革する起点となるのです。

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