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コラム「若手の成長をもたらす<リフレクション>」(2018年7月4日)

進歩とは、反省の厳しさに正比例する   本田宗一郎

ある調査によれば、組織内での職位が上がれば上がるほど内省にかける時間が長くなるとのことです。トップが内省を重視していることは、本田氏の言葉からもわかります。上記の名言において本田氏は、「反省」という言葉を用いていますが、意味するところは「リフレクション(内省)」であると考えます。そして、リフレクション(内省)とは自分の体験をふりかえり、そこから気づきや学びを得ていく「学び方」です。

リフレクションは、知識学習とは異なり、起こった事象の捉え方や取り組み方、人との関わり方や価値観についての気づきや学びを促し、自分らしく成長していくことを可能にしてくれます。
しかし、現場ではどうでしょう?目の前の仕事への対応に終始し、リフレクションの機会を得ないことが多いのではないでしょうか。

◆リフレクションは、成長を促進する重要な機会
業務を振り返る際、「●●ができた」「○○はできなかった」だけでなく、「あることに対して工夫したことは何か」「うまくいったことにより、何を学び、どのようなことに気づいたのか?」を考察することにより、自分の思考の癖=パターンに気づくことができます。また、うまくいかなかった場合は、要因分析だけでなく、「何をどのように変えればできるのか?」を考察することが重要です。社会人学習におけるリフレクションの重要性を訴える研究者は多いのですが、ここでは、D.A Kolb(コルブ)の経験学習サイクルを元にリフレクションについて考えます。

◆D.A Kolbの経験学習サイクル
経験から学んだことを【独自のノウハウ(知見)】とするためには、概念化(一般化)が重要です。概念化された経験は、繰り返し活用できるスキルになるからです。コルブの経験学習サイクルは、具体的な経験を観察・内省し、概念化した上で再試行(もう一度やってみる)ことを繰り返すことを推奨しています。
・コルブ(D.A Kolb)の経験学習サイクル

◆経験から学ぶプロセスを考える
1.成長機会を作る「具体的経験」とは?

経験学習サイクルの出発点は経験です。しかし、すべての経験が省察に値するわけではありません。経験から学ぶためには、まずは学ぶ意味を感じる<良質な業務経験>を選択することが必要です。
<良質な業務経験>とは、予測しなかった結果に出会うことができる経験と言われています。ルーティン業務の中では省察の必要性を感じることができません。従来どおりのパターンを繰り返して期待する結果を得られるのであれば、そのほうが合理的だからです。
しかし、これまでのやり方が通用しない業務を経験し、予測しなかった結果に出会うと、それまでの自分自身の行動パターンを批判的に振り返ろうと思います。多くの研究者は、従来の能力が通じない経験のことを「ひと皮むける経験」と呼んでいます。新入社員にとっては、すべての業務が「ひと皮むける経験」かもしれませんが、ある程度のキャリアを重ねた社員にとっては、プロジェクトや異動、日々の業務の改革、改善を経験することが該当するでしょう。

2.「省察」のポイント
省察の際には、メタ認知が必要です。
メタ認知とは、自身の考え方や行動を第三者的視点で客観視することですが、文字で読むほど容易ではありません。私たちは、どうしても自身を正当化してしまい、批判的、客観的に眺めることが苦手だからです。
また、業務を行いながら省察することも容易ではありません。
そのため、研修など日常業務とは離れた環境に身を置いたり、他者から問いかけてもらったりするなど、支援を受けて省察することが有効です。

3.「概念化」のポイント
省察を行った内容は、今後も活用できるようにするために「持論」としてまとめます。概念化とは、他の場面や状況に応用できるある種の教訓です。
例えば、「プロジェクトリーダーとして精一杯やったのに、他のメンバーとの間に意識のギャップが生まれ、プロジェクトを成功に導くことができなかった」という経験を経て、「もっとみんなを巻き込むべきだった」というだけでは、概念化できたとは言えません。概念化とは、例えば、「チーム作りの重要要素は、プロジェクトスタート時にプロジェクトの意義と成功イメージを全員で定義・共有した上で、リスクを予想し、役割分担、スケジュール決定することである」というようなことです。ここまで落とし込むことにより初めて、次のプロジェクトマネジメントに活かすことができる教訓となります。

4.「試行」のポイント
上記のように概念化を行ったとしても、このままでは仮説でしかありません。そのため、本格的に実行する前に検証する必要があり、それが「試行」の意味です。ただし、この場合は、データをとって厳密に検証するのではなく、「やってみる」というレベルで構わないのです。むしろ、緻密さを求めて実行が遅れるよりも、やってみることのほうが重要です。

現場で多くの業務を体験させ、リフレクションは本人任せというのでは、若手の成長を促進することはできません。良質なリフレクションの機会を設定するためには、研修機会や上司、先輩社員がリフレクションの重要性を理解し、若手の経験学習を支援する風土づくりが求められます。