2018年4月26日

コラム「反転学習を取り入れる」(2018年4月26日)

考える教育研修(3)「反転学習を取り入れる」

■反転学習とは

出典:http://flit.iii.u-tokyo.ac.jp/about/index.html

反転学習とは、受講者が事前に自宅で講義内容を予習し、後日の講義で予習を応用した問題を協働して解いたり、議論したりして、より深い学びを得る授業形態のことです。ある場所に集まって行う学習と講義後の復習の順序を反転していることが「反転学習」と呼ばれています。2000年代後半からアメリカの教育現場で導入が進み、注目されはじめています。
従来の学習形態は、教室や研修室などで実際に集まって講義を行い、自宅で復習することで学習内容の定着を図るものでした。
一方、反転学習は、自宅であらかじめ、eラーニングなどのデジタル教材を利用して学習し、受講者が予習することが求められます。
その後、実際に集まった研修では知識の伝達ではなく、予習内容をもとにディスカッションや参加型の学び合いを行うことでより深く知識が定着することをねらいとしています。

『反転授業』の著者達によると、「授業のビデオを作ることが反転学習定義ではない」と指摘し、「ビデオを1本も本書で示した指導アイデアのすべてを実践している教員もいる」と断っています。
著者達にとって、反転学習のアイデアはまずは「学習者と学習に焦点を置く考え方」であり、「学習の主導権を生徒に渡すこと」でした。特に「後者は多くの教師にとって受け入れるが難しいだろう」と語っています。つまり反転学習の趣旨は学習の主役は生徒や受講者であり、能動的な学習を実践させることにあります。
参照:ジョナサン・バーグマ/アロム ジョナサン・バーグマ/アロムズ著『反転授業』( Your Flip Your Classroom: Reach Every Student in Every Class Every Day)(オデッセイ コミュニケーションズ、 2014年 5月)

■反転学習導入のメリットと課題

反転学習の最大のメリットは、予習で得た知識を用いて、能動的に学習に取り組めることです。講義で初めて情報に触れる従来の学習法では、「講師に何を教えてもらえるのだろう?」という受動的な態度が至極当然です。しかし、反転学習では、自分ですでに予習してきたことを講義の場でどう応用するかが問われます。また、わからない点があれば質問ができるのもメリットです。どんな課題や問題でも同じですが、何がわからないかがわからないと質問もできない状況です。自発的に質問ができることは、理解を深める上で大きな意味があるのです。

予習で基礎的な知識を身につけているので、講義の場ではペアやグループでの議論など協働する時間を十分に確保できることも大きなメリットです。受講者は他人との議論を通して解答を見つけていくプロセスを学ぶことができます。

サンノゼ州立大学はMITのコースを活用した反転授業を同大の工学部のコースで実験的に行いました。その結果、反転を行ったクラスの中間試験の成績が従来の講義形式のクラスに比べて上昇したことが確認され注目を集めました(The Chronicle of Higher Education, 2012)。

反対に課題として、教材、動画コンテンツ作成における企業側の負担が大きいこと、eラーニングやシステムのコスト負担もあります。
また受講者が予習をしてこないと、講義を理解できない、わからないことを多くすべて解決できない、などが上げられます。その意味では、学習意欲の差、取り組みの差がそのまま仕事の質や生産性にも影響を与えるという問題点があります。
しかし、これまでの横並び、詰め込み式の一方的な教育・研修スタイルを改善するのが反転学習であり、上手く長所を生かし、自発的に働き、考える社員の育成を促すことです。結果的に企業の業績向上にも寄与するのです。

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