人財育成・企業内研修・公開セミナー・女性の立体自立支援の株式会社ビジネスプラスサポート

News & Topics

コラム「アクティブラーニングを取り入れる」(2018年4月19日)

考える教育研修(2)アクティブラーニングを取り入れる

ラーニングピラミッドはアメリカ国立訓練研究所(National Training Laboratories)によって明らかにされた理論で、7項目の活動における学習定着率を表しています。従来の受動的な学びであるパッシブラーニング:「講義」「読書」「視聴覚」が上段に位置しているのに対し、能動的な学習であるアクティブラーニング:「グループ討論」「自ら体験する」「他の人に教える」という3つの項目では高い学習効果が得られています。学習定着率で最も高いのが「他の人に教える」ことで90%、最も低いのが「講義」で5%です。教育においては受動的に講義を受けるだけでは学習定着率が低いことがわかります。それと比較して、グループワークやクラスディスカッションなど、能動的に講義に参加することにより、効果的な学習を得ることができるのです。

■「ハーバードやMITは古い–スタンフォードこそ本当の“教育の革命”に取り組んでいる」:2012年5月10日 by Gregory

Stanfordの教授たちが、メディカルスクールでは講義を廃止する、という大胆な提案を行った。メディカルスクール副学部長のCharles Proberと、経営学の教授Chip Heathが、The New England Journal of Medicineにこう書いている:

「“20世紀の大半において講義は、効率的な知識移転の方法であった。しかし、知識を完全にビデオで配布できる今世紀においては…テクノロジー、エンタテイメント、デザインなどすべての領域で、YouTubeが数十億のビューをサーブしTEDが数百万人にトークを届けていることに見られるように…講義はむしろ、貴重な時間の浪費ではないのか?”
そして二人が提案しているのは、学習の立体化(多面化)だ。学生は教室で教授の話を聞くだけでなく、YouTube上のKhan Academyのレクチャーを家で見たり、問題を解いたりする。学生たちは、そのアイデアが気に入ったようだ。生物化学のコースで授業内容の立体化を試したところ、出席率が30%から80%に急増した。

読者の中には、Khan Academyは世界的な頭脳と比較にならない、と思う方もおられよう。しかしProberとHeathは、ノーベル賞を受賞した物理学者のクラスと、院生たちの協力を得ながら問題を解くクラスの、1週間の実践結果を報告している。それによると、最後のテストの平均得点は、後者(講義のないクラス)74に対し、前者(ノーベル賞クラス)は41で、倍近い違いがあった。

“後者のクラスの学生たちは、ちょうどライト兄弟がキティ・ホーク号をいじくりながら学んだように物理を学んだのだ”、とProberらは説明している。革命後の組織や機関は、それまでとは似ても似つかぬものになるはずだ。でもHarvardとMITがやろうとしているのは、単に20世紀の教育をオンライン化することだ。一方スタンフォードは、“壇上の賢人”という教育の古いモデルに決別しようとしている。そして学習環境に永遠の生命(いのち)を通わせ、それを世界の情報に結びつけようとしている。」

この記事からわかるように従来の講義型授業では教育の進展はなく、アクティブラーニング型授業こそが教育を改革し、課題発見・解決能力、論理的思考力、コミュニケーション能力や多様な観点から観察する能力を育成するのです。

つまり企業の教育研修においても、アクティブラーニングを導入し、研修効果を高めることです。アクティブラーニングによって、積極的に他者と協力しあい、コミュニケーションをより活発にし、課題を解決できる力を養うことが可能になります。

現代のめまぐるしく変化するビジネス環境で生き残るためには、定型作業をこなすだけではダメで、課題を発見し解決できる力が必要です。指示待ちの人材では組織の活力が衰退し業績が低下します。これからの時代は自ら考え、自律的に動く人材が企業の存続、発展に寄与するのです。アクティブラーニングの思想は人材育成そのものです。

実際に「講義」「グループ討論」「他の人に教える」の3つの項目で具体的に研修手法を考えてみましょう!

■ 「講義」の前に「事前テスト」「グループ討論」を入れる
通常の研修では、講義の後にグループワークやグループディスカッションの時間を設けています。それを逆にすることで受け身の姿勢から能動的姿勢に変化します。なぜなら、はじめに内容がわかると「なぜなのか」深く考えようとする人が激減するからです。そしてグループディスカッションの前に事前テストを取り入れます。

米国ベストセラー『脳が認める勉強法』によると、答えを推測したおかげで、勉強して覚えるときよりも覚えたいという意識が強く働き、正しい答えがより深く脳に刻み込まれる。「間違った推測」をすることで、次のテストでその問題もしくはそれに関係する問題に正解する確率が増す。また、予行演習としてテストを受けることには、教師の手の内を垣間見ることができるというメリットもある。「たとえ答えを間違っても、その後の学習効果は向上すると考えられる」とロバート・ビョークは言い添える。「そのテストによって、理解する必要のあることに意識が向くようになるからだ」

大学入学試験や資格試験での合格体験記での成果が上がる共通点は過去問を解くことです。つまり参考書から問題集へ移るのでなく、いきなり問題集を解くことで「間違った推測」を数多く行い、「問題に正解する確率」が高まるのです。これは経験した人であれば誰もが納得します。

この勉強法を研修に活かします。研修で概論や内容を説明する前に、講義の内容のテストをいくつか出します。それを個人で考え、答えを書きます。その後、ペアやグループでディスカッションし、他人の答えに至るまでのさまざまな思考の違いを学ぶことができます。また「間違った推測」から講義の説明を聞く際、答え合わせや間違えた箇所の確認という側面が加わるため、受け身の姿勢から積極的に説明を聞く姿勢へと変化します。
さらに「事前テスト」→「ディスカッション」→「講義」で終了せずに、その後、応用として「ペア、またはグループディスカッション」「他の人に教える」ことを加えると、学習定着率は90%まで高まる可能性があります。

アクティブラーニングには組み合わせの工夫が必要です。聞くだけの講義もこの流れに沿うだけで、より一層の学習効果を期待できるのです。