2022年9月20日
中流危機
3連休は台風の動きにハラハラする日々でした。
ほぼお籠りでしたが、ドキュメントや映画を観たり、
読書を楽しむことができました。
さて、連休中に放映されたNHKスペシャル。
日本企業が構造的に抱えている問題を、改めて浮き彫りにした内容で、
考えさせられました。2回シリーズですが、後半は今週末放映予定です。
かつて日本は、一億総中流社会と呼ばれたが、
今はそれが次々と崩れている。
一生涯一つの会社で勤め上げる中で、マイホームを得、
子供への教育投資もでき、余暇も楽しむ、という豊かさを享受できたが、
所得中間層がいま、危機に立たされている。
世帯所得の中央値は、この25年で減少の一途。
35歳~44歳の世帯所得中央値は、
1994年の566万から102万減少の464万へ。
45歳~54歳は690万から515万へと175万減少。
その大きな要因が“企業依存型システム”。
社員の生涯を企業が丸抱えする雇用慣行の中、
世界の技術革新の潮流に乗り遅れ、価格競争の波の中で稼げない。
結果、人・設備への投資が減り、イノベーションが起きない。
この負のスパイラルの中で所得は下がり、消費も減少。
このような中で、いよいよこのままでは最悪のシナリオが・・ということで、
企業は活路を模索している。例えば、横並び育成を変え、
選抜者向けやキャリアステージ別への投資を増やすなど、
育成の選択と集中を行うのもその1つ。
政府の”骨太の方針”では、新しい資本主義に向けた改革とし、
人への投資を拡大し、4,000億円規模の予算を投入するという。
個人のリスキリングも欠かせないが、キャリアップのコストやリスクを
誰が担うのか?専門家は人材育成・セーフティネット確保のリスクは
政府が担うべきだと論じていましたが、それだけの余力が国自体にあるのか?
若い人の中には、会社の給与だけでは立ち行かないと、投資を始める人も増えています。
別の企業事例は、新たな価値創造のため中途採用者を増やし、
社内にイノベーションを起こす。人事制度を成果型に変える。
人こそが価値を生み出す源泉であり、価値創出のために制度や仕組み、
体制を構築し直している。
健全な危機感を持って組織も個人も臨むこと。