2020年9月25日
人生の豊かさを生み出す5S
昨日のセミナーでは、5Sの話が参加者の方から
いくつか出てきました。5S,九州といえば、
思い出すのは、工業デザイナー、水戸岡鋭治氏の言葉です。
『私自身はデザインというものを、
「整理整頓」の作業をすることだと考えているんです。
一般的な枠ではなかなか思い切ったことはできませんが、
どうしてここはこんなにすっきりしたんだろうと感じる時、
そこには必ず整理整頓をした人がいる。
それが設計者であったり、デザイナーであったり、
政治家であったりと立場の違いはありますが、
デザインの力によって空間は変化していく。
さらに、そこにいる人たちの意識までが変わっていきます。
だから私たちは現場に行くと、赤・黄・青の三つの紙を用意し、
これはダメという部分には赤、注意には黄、
OKには青を貼っていくんです。
そうやって皆さんに一目で分かるようにし、
色のバランスや形の統一、使い勝手などを調整していく。
要は整理・整頓・清掃・清潔・躾という5S、
日本の会社を立て直す時に用いられてきた五つを、
デザインの中に持ち込んで実践していくんです。
私がJR九州の仕事に携わった30年前には、
日豊本線にせよ鹿児島本線にせよ、
夜乗るとビールの空き缶が床をゴロゴロ転がったり、
つまみが散乱したりしていて、酔っ払いがいっぱいいたんです。
だから子供たちや女性もなおさら嫌がっていたんですね。
その混乱した状態を整理すると、
そういう振る舞いができなくなってくる。
躾けられていくといいますか。
やっぱり環境によって人は育つもので、
そこでマナーやモラルを身につけたり、
ホスピタリティが生まれるところまでいくのでしょう。
デザイナーや設計者はそういった心地よい環境をつくることで
豊かな時間と場所を提供し、それによって
人の行いが変わる可能性を追求しているのだと思うんです』。
水戸岡デザインの観光列車は九州を飛び出し、全国各地に誕生しましたが、
長崎新幹線の車両が楽しみです!