2021年4月9日
人新世の「資本論」
話題の”人新世の「資本論」”読了。
人新生とは、人の経済活動の痕跡が、地球の表面を覆いつくした年代という意味。たとえば、地球のすみずみまで、人間が作った道路やビル、河川敷、農地などがある。海に目を向ければ、海洋プラスチックゴミだらけ。そして、二酸化炭素は増え続け、プルトニウムやセシウムが飛んでいる地域もある。とにかくどこに行っても、人類の活動がなんらかの形で覆ってしまっている。
これをどう見るべきなのか?
この反動として、気候変動の影響で、温暖化、スーパー台風、山火事などの異常気象が発生し、生物の多様性が失われ、多くの場所が人間の住める地球環境ではなくなってしまう。このままでは確実にそのシナリオは進んで行くばかり。
氏は、「脱成長コミュニズムが世界を救う」としています。
これは、成長をやみくもに追求しても、住めない地球になってしまっては意味がない。地球の特定の限界の中で生きていくこと。これが脱成長。必ずしも停滞とか、清貧ということではなく、飽くなき成長を求める資本主義から脱出した方が、人間は豊かになれるはずだ、といいます。脱成長と資本主義の両立は不可能。資本主義を超えるような社会に移行することでしか、脱成長社会は実現できない。その時に重要なのが、資本によって独占されてしまったものを、もう一度、人々のもとに取り返していくということ。
一部に独占された無形の資産や知識を社会に還元していくということか?
新しい社会の見方、もっと別の道を模索するような発想の転換ができるようになると、今の社会にうまく対処できるようになるかもしれません。豊かさを再定義し、新たな価値を生み出していくことなのか?
いずれにしても新しい社会の姿が問われている内容です。
この本が話題になっていること自体、このままではまずい、という問題意識を感じている人が多い証なのかもしれません!