2022年11月21日

生命は

東京の朝は雨模様。
今日から金曜まで5日間東京暮らしなので、
昨夜は海外旅行用のスーツケースで移動。
京都駅はびっくりするほどの人出でした!

さて、先日の講座で紹介されていた、
詩人、吉野弘氏の「生命は」。
特に最後の4行が、じんわり響きました。
「生命は」の詩を、以下に引用します。

生命は

自分自身だけでは完結できないように

つくられているらしい

花も

めしべとおしべが揃っているだけでは

不充分で

虫や風が訪れて

めしべとおしべを仲立ちする

生命は

その中に欠如を抱き

それを他者から満たしてもらうのだ

世界は多分

他者との総和

しかし

互いに

欠如を満たすなどとは

知りもせず

知らされもせず

ばらまかれている者同士

無関心でいられる間柄

ときに

うとましく思うことさえも許されている間柄

そのように

世界がゆるやかに構成されているのは

なぜ?

花が咲いている

すぐ近くまで

虻の姿をした他者が

光をまとって飛んできている

私も あるとき

誰かのための虻だったろう

あなたも あるとき

私のための風だったかもしれない


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