2026年9月7日
人は何を見るのか?
「タレントインテリジェンス」 という言葉を、
最近よく目にするようになりました。
これまでのタレントマネジメントは、
社員のスキルや経歴を 一元管理する仕組みでしたが、
さらにAIをかけ合わせることで スキルの需給予測や、
適所適材の配置、 さらには離職リスクの予測まで
導き出そうという考え方です。
社内データだけでなく 社外の人材市場の動きまで
射程に入れるということです。
人のことが これだけデータで わかるようになった時、
人間の上司や先輩は、 何を見ればよいのだろう、と。
研修に伺っていると、数値には決して表れない場面に
たびたび出会います。
ずっと黙っていた方が、 最後のグループワークで
ぽつりと語り始める瞬間。
いつも前向きな方の表情がその日だけ 少し曇っている、
という小さな違和感。
同じ質問をしても去年とは違う答えが 返ってきたときの感触。
こうした 「兆し」のようなものは、 おそらく データにはなりません。
けれど、 人が変わっていくきっかけは、 たいていそういうところに
潜んでいるように思います。
AIは、 確率の高い答えを 示してくれるけれども、
「この人はまだ伸びる」と 信じることは、 まだ人間にしか
できないのではないでしょうか。
データは、 過去の集積です。
一方で育成とは、 まだ起きていない未来に 賭けることです。
離職リスクが高いと 表示された人に、 それでも期待をかけ続けるのか。
その判断だけは、 機械には 任せられないと思うのです。
便利な道具が増えるほど、「人が人を見る」ということの 意味を、
問い直されている気がします。

