2023年8月4日
会議を見える化し、デザインする〜グラフィックファシリテーション
生産性を向上させるノウハウを活用して残業をなくす
役職者が社内会議や打ち合わせに費やす時間は、年間434時間を超え、無駄が多いと感じている割合は平均27.5%という統計があります。
(出典:パーソル総合研究所/中原淳(2017-8)「時間労働に関する実態調査」)
無駄な会議や打ち合わせを減らすためには、内容を充実させるためのファシリテーション能力が大きなポイントになります。今回は、議論を活性化させるグラフィックファシリテーションをご紹介いたします。形式的な議事録の代わりにグラフィックファシリテーションを活用することで、会議や打ち合わせ、ブレーンストーミングなどの生産性を高める工夫をされてはいかがでしょうか?
~目次~
グラフィックファシリテーションとは?
グラフィックファシリテーションの2つの働き
グラフィックファシリテーションの方法
グラフィックファシリテーションの効果
1.グラフィックファシリテーションとは?
会議やブレーンストーミング、ワークショップなど、議論を活性化させるグラフィックファシリテーションが注目されています。会議を見える化するデザインの新しい形といえます。場の空気も、参画意識のない参加者の意識までも変えるグラフィックファシリテーションの革新性のエッセンスを紹介します。
グラフィックファシリテーションは、対話(はなし)を見える化することで場の活性化や相互理解をうながす技術です。会議やワークショップなどで話される内容を、グラフィックを使いながらリアルタイムに見える化していくことで、場を活性化させ、議論を深め、共感や相互理解をうながすことができます。 その結果、効率的な議論の拡散と収束が可能となり、新しいアイデア発想、合意形成、課題解決など、得たい成果が得られる技術、それが『グラフィックファシリテーション』です。
(参照:「グラフィックファシリテーションとは」一般社団法人 グラフィックファシリテーション協会)
2.グラフィックファシリテーションの2つの働き
グラフィックファシリテーションには、大きく2つの働きがあります。
一つは『活性化』の働き。
グラフィックは人の感性にダイレクトに働きかけます。心を動かし、共感を生み、その結果として対話がはずんだり、アイデアが湧いてきたりする、といった効果があります。
そしてもう一つは『構造化』の働き。 ピクトグラムやフローチャートを活用して整理することで、複雑な内容が構造化され、わかりやすくなります。物事がシンプルに、明確になって、話し合いをきちんと収束させることができます。
時間を記録することで、優先順位のミス、段取りの不足など改善点がわかり、次回の仕事に活かせます。これにより仕事の効率化が進み、時間短縮のノウハウを蓄積できます。業務時間の記録は個人で行うものではなく、部署や会社全体で推進する改善活動の一環として実施し、ノウハウを共有します。
(出典:http://grafaci.or.jp/what)
従来のテキストベースの議論の表現では、イメージが湧かず、相互の関係性を把握する場面では人によって捉え方が異なってしまいます。意見や数字など現実的なことだけを求めると閉塞感を脱しきれず、発想がなかなか広がらないものです。しかし思いや感情、感覚などを見える化して共有すると、二次元のイメージとなり、チームとしての一体感や発想が一気に広がるのです。
3.グラフィックファシリテーションの方法
グラフィックファシリテーションを行う上で必要なツールは、以下のとおりです。
・ホワイトボードor模造紙
・マジックペン(3色以上)
その他に、セロハンテープ、付箋、キッチンタイマーなどがあると便利です。
グラフィックファシリテーションは、次のように行います。
①発言が出やすい座席配置にする(扇中など)
②ファシリテーターを立てる
③グラフィッカーを立てる
④要点を簡潔にまとめる
⑤ファシリテーターの「問い」で議論を分かりやすく整理する
■記録の取り方の種類
- ●箇条書き
最もシンプルな記録方法で、情報を文章で表現するのではなく、簡潔な言葉で記号を付けて列挙します。不要な情報がそぎ落とされるため、ポイントを把握しやすくなることが特徴です。
箇条書きされた項目を上から順番に行う【時系列】形式と、どの順番で行ってもよい【並列】形式を使い分けます。
- ●グルーピング型
バラバラな情報を、類似の要素で組み分けて一つのグループにします。
見出しを付ける、色分けする、線で囲むなどしてグループ分けをすると、分類を把握しやすくなります。
- ●マトリクス型
関連する情報を縦軸と横軸に分類することで、相関関係やポジショニングといった各要素間の関係
を比較しやすくなります。縦軸と横軸にどのような要素を設定するかがポイントです。
- ●マンダラ型
マンダラート(マンダラチャート)とも言われる手法で、アイディアの整理や思考の広がりを図る手軽な発想法として活用されています。マンダラ模様のマス目の中心に話し合いのテーマを書き、それに対する意見を周囲のマス目にグルーピングして書き込んでいきます。
- ●関係図型
重要な部分の相互関係や「原因と結果」といった因果関係を構造的に表現する記録方法です。
ロジックツリーやフローチャート、フィッシュボーンのようなフレームワークを使ってまとめると、情報の抜け漏れを防ぐことができます。
4.ファシリテーショングラフィックの効果
ファシリテーショングラフィックを用いると、議論が一枚の絵となり次のような効果をもたらします。
・話の流れを俯瞰できる
・話の内容が分かりやすく伝わる
・触発されて新しい意見やアイデアが生まれやすくなる
・発言、発想が自由になり、創造的な対話を引き出す
・ギャップやヌケモレが分かりやすくなる
・活発な議論が物語になり、読んで楽しくなる
・記憶として定着し、次につながる
・共通理解と共感から、チームが一つにまとまる
・参加者全員が常に目的、課題解決に向かうため、会議の生産性がアップする ・参加しなかった人もビジュアルに理解でき、意識や行動を変えることにつながる
BPSでは、マンネリに陥りやすい会議やミーティング、朝礼の進行を革新するファシリテーションスキルの研修をご提供しています。ファシリテーションスキルは、会議やミーティング参加者の思考を活性化するだけでなく、お互いに刺激を与え合い、新たな知見を生み出すことができるリーダーに必須のスキルです。会議やミーティング、朝礼を活性化したいとお考えの方は、導入をご検討ください。