2018年9月18日
内省の時間
連休中には、黄檗宗総本山萬福寺に参拝したのち、
近くの宝蔵院へ。
こちらは、印刷技術発祥の地とも言える、
記念すべき場所です!
鉄眼禅師が1669年、一切経(いっさいきょう)を
印刷出版し普及させましたが、
これはまさに人生を賭けた一大事業でした。
当時経典を手にする人は限られていました。
それまでは、主に中国から経本を輸入して、
書き写すのが基本的なやり方でしたが、
これでは普及は叶いません。
そこで鉄眼禅師は、木版印刷での普及を試みます。
版木はなんと6万枚!!
表裏に400字詰め(20行×20行)。
これは現在の原稿用紙の起源とも言われます。
この偉業を17年かけて成し遂げたこともすごいですが、
多くのお布施を集める中、1度ならずも2度までも、
せっかく集まった大金を寄付してしまわれます。
1度目は大洪水、2度目は天災飢饉で苦しむ人のために。
そして3度目の全国行脚を経て、集まったお金を
ようやく印刷に使うことができたのでした。
経典を印刷する本来の目的は「民を救うこと」。
であるならば、目の前で洪水や飢饉に苦しむ民がいたら、
救うのは当たり前のことだ、だからと。
ここに来るまでは、鉄眼禅師という人の、
存在すら知りませんでしたが、
市井にこんな素晴らしい方が
いらしたのだと感じ入りました。
翻って自分は・・と、内省しきりの場となりました。
萬福寺で普茶料理をいただいた折、
玄関に飾ってあった、木彫りの登り龍と降り龍。
昇り龍は、上求菩提(悟りを求め修行に励むこと)の象徴であり、
降り龍は、下化衆生(命あるもの全てに悟りを説くこと)。
この木彫りからも、「ありかた」について、大きな気づきを
いただけたのでした。