2018年2月28日

丁寧に生きる

法相宗の大本山薬師寺と、
律宗の総本山唐招提寺。
仏教興隆のために人生をかけた、
玄奘三蔵と鑑真和上のお心に触れるため、
先日、訪れました。

ジープ島から戻って以来、
「息」の大事さを感じていますが、
この「息を磨く」とは、そういう場所に身を置き、
先人のお心に触れることでもあるのだなあ、と。
また、日々を丁寧に生きることも、、
何かの変化をもたらすのかもしれません。 

丁寧といえば、
染織家で紬織の人間国宝、
志村ふくみ氏の「一色一生」の言葉。

『自分の色というものは、
たった一つしかないのかもしれません。
それを求めてもらいたいと思いますね。

一つしかない色だけど、喜びや悲しみなど様々な感情、
刺激によって輝いていく。
その色に出逢うための人生じゃないですか。

それと同じように、
人の人生も織物のようなものだと思うんです。
経(たて)糸はもうすでに敷かれていて
変えることはできません。

人間で言えば先天性のもので、
生まれた所も生きる定めも、
全部自分ではどうすることもできない。

ただ、その経糸の中に陰陽があるんです。
何事でもそうですが、織にも、
浮かぶものと沈むものがあるわけです。
要するに綾ですが、これがなかったら織物はできない。
上がってくるのと下がってくるのが
一本おきになっているのが織物の組織です。
そこへ緯(よこ)糸がシュッと入ると、
経糸の一本一本を潜り抜けて、トン、と織れる。

私たちの人生もこのとおりだと思うんです。
いろんな人と接する、事件が起きる、何かを感じる。
でも最後は必ず、トン、とやって一日が終わり、朝が来る。
そしてまた夜が来て、トン、とやって次の日が来る。
これをいいかげんにトン、トン、と織っていたら、
当然いいかげんな織物ができる。
だから一つひとつ真心を込めて織らなくちゃいけない。
きょうの一織り一織りは
次の色にかかっているんです』。

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