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コラム「部下に良い影響を与え、変容を促すコミュニケーションとは?」(2018年5月7日)

部下に良い影響を与え、変容を促すコミュニケーションとは?

リーダーシップのポイントは、人間的魅力により相手に良い影響を与え、フォロワーの変容を促すことです。では、私たちは、どのような相手から良い影響を受けるのでしょうか?
進むべき道を示してくれる人、自分を認め、励ましてくれる人、あるべき姿を見せてくれる人・・・様々な要素があるのでしょうが、ここでは、「ある状況下で自身が選択すべき最善の行動に気づかせてくれて、その行動を後押ししてくれる存在」と定義し、そのような存在であるためのコミュニケーション行動を考えます。

生物学の世界では、私たちの身体を構成している細胞が相互にコミュニケーションを行っていることがわかっています。
ある細胞が分泌細胞自体に作用することをオートクライン、比較的近くの細胞に作用することをパラクラインと呼びますが、このような細胞間コミュニケーションが起こる時、情報を発信している細胞自身がレセプターと呼ばれる【受容体】を出し、自分が発信している情報を受信していたことが発見されました。

実は、人間が物事を理解する際にも「オートクライン」と「パラクライン」と呼ばれる仕組みがあります。 自分が発した言葉を最初に聞くのは自分です。
頭の中に浮かんだことを言葉や表情、行動として表出しながら、その言動を通じて「こんなことを話しているのか」と確認することを「オートクライン」と呼び、相手に自分の言葉を伝えて作用を起こそうとすることを「パラクライン」と呼びます。

「話す」という行為は、自分の考えや思いを相手に伝えることを目的としているようですが、実は、自分自身の内なる考えや思いを自己確認する「オートクライン」の行為でもあるのです。

ところで、あなたは、自分が話している時、「あれ、なんでこんなことを話してしまったのだろう?」と思うことや、話の途中で主旨が変わっていくことを体験したことがありませんか?これは、自身の中に生まれたリセプター(受容体)が自分の考えを再確認することによって起こることです。

このように、私たちは、自分の内なる考えを外に出してコミュニケーションを行うことにより自分の考えを改めて認識し、アイディアをまとめたり、発展させたりすることができる生物なのです。

オートクラインは自分のアイディアを明確にするために大切な作用ですが、聴き手の態度によって効果が変わります。
聴き手がリセプターを持って聴いてくれること、さらに、話し手の思考を刺激する発問をしてくれることにより、話し手のオートクライン効果は向上します。
リーダーは、フォロワーの思考を深め、良質なオートクラインを引き起こすコミュニケーションを行うことにより、より良い影響力を発揮することができるのです。

一方、管理職と部下の間に溝が生じるのは、両者が相手に対するリセプターを作っていないことに起因しています。
例えば、こんな会話がないでしょうか?
部下「今回は、私の不注意でミスが起きてしまい申し訳ありませんでした」
上司「はぁ!?ミスはみんなに迷惑をかけるんだよね。しかも、不注意か。」
この会話の場合、部下はストレスを感じるだけで、本来必要な「ミスの防止策」に思考が及びません。悪くすると、次回からミスを報告しなくなるかもしれません。
このように、聴き手にリセプターが作られていない会話は、解決志向にならないのです。

では、リセプターがある会話は、どうなるのでしょう。
部下「今回は、私の不注意でミスが起きてしまい申し訳ありませんでした」
上司「不注意だったのですか?」
部下「はい、そうです。。。」
上司「ミスは予防できたほうがいいよね?」
部下「はい、もちろんです」
上司「どうしたらミスが起こらなくなると思う?」

この会話では、上司のリセプターが部下の言葉を受け止め、そのことにより部下にもリセプターを作らせています。その結果、ミスを責めることに終始せず、ミスが起こらない業務プロセスの改善に話が進みます。
昨今の若手社員は、叱られる、責められることに対するストレス耐性が弱くなっていると言われています。そのような相手を頭ごなしに叱ることは、相手の変容につながらないだけでなく、時には、ストレス過多に追い込むことすらあります。
上司が部下の話しを受け止めるリセプターを持ち、相手のオートクラインを作動させ、部下が自己決定により行動する状況を作ることで、部下は、自分で考え、動く人財に変容することができます。