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パフォーマンスマネジメントの新潮流(コラム2017/11/01)

パフォーマンスマネジメントの新潮流~課題克服でパフォーマンスは上がるのか?

右図のどこが気になりますか? 欠けている部分ではないでしょうか? 私たち日本人の多くは、「欠けている部分=足りない部分を補う努力が美徳」と 考えています。 そして、このことが、子育てや社員の育成に影響を与えています。

最近、様々な人から「○だけを欲しがる子ども」の話を聴きます。 家庭で子どもにドリルに取り組ませて採点をしている時、間違った答えに×をつけようとすると、横に座っている子どもが、「あっ、×は嫌!今、直すから」と言って ×をつけさせないというのです。類似の話しは、塾講師からも聴きます。×をつけられることを嫌がる子どもは、自分の回答に×がつく=自分自身に×がつくように感じているのかもしれません。

では、社会人はどうでしょう? 大人であっても、自分に足りない点を指摘されることが嬉しい人は、ほとんどいません。 嬉しくはないけれど、より成長した自分になるために感謝の気持ちで受け止める方が多いのだろうと思います。 しかし、近年、脳科学的見地から、課題を強調することの問題が指摘されています。 以下、脳科学の視点による「課題指摘の問題点」を紹介し、やる気向上、パフォーマンス向上に寄与する働く環境について考察します。

◆新しい脳と古い脳
右図をご覧ください。人間の脳には、「古い皮質」と「新しい皮質」があります。古い皮質(古い脳)は、潜在意識の座とも言われ、記憶力、理解力、創造力を生み出すやる気の源泉です。古い皮質は、本能の座とも呼ばれ、食欲、性欲、集団欲を支配しています。

また、新しい皮質(新しい脳)は、意識の座とも言われ、知能、情緒、意志を支配しています。善悪の判断や行動を制御する知性、理性の座です。動物の脳では、新しい皮質がほとんど発達していません。

問題は、新しい皮質と古い皮質が同時に活動することができない点です。例えば、思い出せない名前を無理に思い出そうとしても、中々浮かんでこないのはこのためです。潜在意識(古い脳)に記憶されている名前は、意識(新しい脳)が働きを休止すると思い出すことができます。

子どもと同様、我々大人も、欠点やできないことを頻繁に指摘されることにより、恐れ、怒り、不信、不安、警戒心のとりこになると、古い脳が縮み、活動しなくなって固くなるようです。そして、そのことにより、やる気を喪失し、記憶力、理解力、創造力が失われてしまいます。つまり、パフォーマンスが低下するということになります。
※新しい脳と古い脳 「強い子、伸びる子の育て方」 PHP文庫より抜粋・引用

◆脳科学によるパフォーマンスマネジメントの潮流
医学分野では、すでにエビデンス・ベースト・アプローチ(evidence_based_approach=実験や調査に基づく数値的アプローチ)が主流になっていますが、近年は、人材開発分野でも脳科学(ニューロサイエンス)によるエビデンス・ベースト・アプローチが注目を集めています。2017年5月にシカゴで開催された「Performance Management Innovation Conference」では、シスコ社、GAP社、イーライリリー社などのグローバル企業が、エビデンス・ベースト・アプローチによるパフォーマンスマネジメントを取り入れているという報告がされたようです。

◆パフォーマンス向上に寄与する働く環境とは?
新しい脳、古い脳の働きを基に、従業員のやる気を高め、創造性を発揮させ、パフォーマンスを高める環境について考察します。シカゴで開催されたカンフェランスで紹介された各企業の取り組みをまとめると、以下の要素が必要であるようです。

1.日常的かつ頻繁な対話とポジティブなフィードバックにより行動を変える
半期あるいは年に1度の考課とフィードバックではなく、日常的かつ頻繁にフィードバックを行うことにより、従業員のモチベーションが高まる。さらに、フィードバックは、相手の存在や価値を認める内容であることが重要。また、課題を指摘するとしても、相手の不安や恐れ、怒りを煽るような言い方は好ましくない。部下の課題ばかり指摘して可能性を認めない上司の元では、本質的なパフォーマンスを挙げる行動より、自分を評価する上司の顔色を伺い、失敗をしないように行動する習慣がついてしまう。

2.若手のやる気を刺激するには、成果による順位づけよりも、仲間から自らの存在を認められていることの確認と全員がフェアに扱われている(評価が透明である)ことを示すことが大切。

人間は、社会的存在です。周囲の人に存在を認められ、良い影響を与えてくれる人が居ることが、強みを発揮する原動力になります。古い脳の「集団欲」を満足させる働く環境を作ることで、従業員のやる気とパフォーマンスを向上し、生産性の高い働き方を実現できるのではないでしょうか?